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第二十八話(マルサス視点)
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短期間にここまでの人材をよくかき集めたな僕は。
いやー、金がかかって仕方なかったよ。
予定を無理矢理キャンセルさせたり、引き抜くために契約金を払ったり、今回ばかりはアネットに感謝かな。
あいつがマネージャー代わりに事務処理を大体やってくれたから。
「まさか、あの世界的なダンサーで俳優でもあるケヴィン・エルトニーと握手出来るなんて……。若様に仕えて良かったと初めて思いました」
「はっはっはっはっ! まぁ、僕にかかれば世界中のスター軍団を集めるなんて、楽勝だよ、楽勝! んっ? 初めて?」
とにかく劇団マルサスは始動した。
主演は僕がするとして、一流の演出家と脚本家に愛とは何たるかを主張する最高のショーを創ってもらうとしよう。
「劇団マルサスですの? あの、わたくしとリュオン殿下が結ばれるための演出なのですよね?」
「そのとおりです! まぁ、見てみてください! 今からリハやりますので、何かまずいところがあれば修正しますよ!」
とりあえず、明日、リュオン殿下が結婚式に出席するためにルーメリアを訪れるらしいから、オリビア殿下に劇団マルサスのショーを見せることにした。
スポンサーである彼女の希望はきちんと聞こうと思う。やっぱり、プロとして独りよがりは嫌だからね。
そして、実に一時間半に渡る壮大なショーは幕を閉じた。
フラッシュモブの時と違って、練習期間があった分、演技にも磨きがかかったなー。
「マルサス様~~! 感動しましたわー! わたくし、こんなにもロマンチックで楽しい劇を見るのは初めてです」
「そうでしょう、そうでしょう」
ウケたー!
当たり前のことだけど、オリビア殿下は涙を流しながら僕の舞台を絶賛した。
よし、スポンサーからのダメ出しもなかった、最高の滑り出しだ。
「わたくし、泣いてしまいました。それにマルサス様のことが格好いいと思ってしまいまして。リュオン殿下のこと、忘れかけてしまいましたわ」
「ぽえっ!? だ、駄目ですよ、いくら僕が背が高くて、顔も良くて、歌も演技も上手くて、男としてのスペックが高過ぎても、僕には愛する人がいますから」
「自分で言っててむず痒くならないのですか?」
いやー、参ったな。
僕がカッコ良すぎて惚れちゃったんだって。
そりゃあそうだよな。僕って基本的にモテるし。
「姫様! 駄目ですぞ! こんな男にうつつを抜かすなんて! リュオン殿下に失礼です!」
「そ、そうでしたわね。いけませんわ、わたくし」
こ、こんな男に? まぁいいか。とにかくこのあと、僕がおめでとうと言いたい人がいると、オリビア殿下を紹介して、リュオン殿下に告白……という流れを説明しないと。
◆ ◆ ◆
「マルサス様! ありがとうございます! 私たちの式をこんなにも盛り上げようとしてくれるなんて!」
「ぽ、ぽえっ!? え、エリナ!? ど、どうしてここへ!?」
本番もショータイムは最高の出来だった。
しかし、オリビア殿下を呼び出すタイミングでウェディングドレスを着たエリナが僕の前に現れる。
えっ? えっ? 結婚式について詳しく聞いてないけど、エリナの結婚式なの?
あー、やばい。オリビア殿下を呼び出すタイミングが――。
いやー、金がかかって仕方なかったよ。
予定を無理矢理キャンセルさせたり、引き抜くために契約金を払ったり、今回ばかりはアネットに感謝かな。
あいつがマネージャー代わりに事務処理を大体やってくれたから。
「まさか、あの世界的なダンサーで俳優でもあるケヴィン・エルトニーと握手出来るなんて……。若様に仕えて良かったと初めて思いました」
「はっはっはっはっ! まぁ、僕にかかれば世界中のスター軍団を集めるなんて、楽勝だよ、楽勝! んっ? 初めて?」
とにかく劇団マルサスは始動した。
主演は僕がするとして、一流の演出家と脚本家に愛とは何たるかを主張する最高のショーを創ってもらうとしよう。
「劇団マルサスですの? あの、わたくしとリュオン殿下が結ばれるための演出なのですよね?」
「そのとおりです! まぁ、見てみてください! 今からリハやりますので、何かまずいところがあれば修正しますよ!」
とりあえず、明日、リュオン殿下が結婚式に出席するためにルーメリアを訪れるらしいから、オリビア殿下に劇団マルサスのショーを見せることにした。
スポンサーである彼女の希望はきちんと聞こうと思う。やっぱり、プロとして独りよがりは嫌だからね。
そして、実に一時間半に渡る壮大なショーは幕を閉じた。
フラッシュモブの時と違って、練習期間があった分、演技にも磨きがかかったなー。
「マルサス様~~! 感動しましたわー! わたくし、こんなにもロマンチックで楽しい劇を見るのは初めてです」
「そうでしょう、そうでしょう」
ウケたー!
当たり前のことだけど、オリビア殿下は涙を流しながら僕の舞台を絶賛した。
よし、スポンサーからのダメ出しもなかった、最高の滑り出しだ。
「わたくし、泣いてしまいました。それにマルサス様のことが格好いいと思ってしまいまして。リュオン殿下のこと、忘れかけてしまいましたわ」
「ぽえっ!? だ、駄目ですよ、いくら僕が背が高くて、顔も良くて、歌も演技も上手くて、男としてのスペックが高過ぎても、僕には愛する人がいますから」
「自分で言っててむず痒くならないのですか?」
いやー、参ったな。
僕がカッコ良すぎて惚れちゃったんだって。
そりゃあそうだよな。僕って基本的にモテるし。
「姫様! 駄目ですぞ! こんな男にうつつを抜かすなんて! リュオン殿下に失礼です!」
「そ、そうでしたわね。いけませんわ、わたくし」
こ、こんな男に? まぁいいか。とにかくこのあと、僕がおめでとうと言いたい人がいると、オリビア殿下を紹介して、リュオン殿下に告白……という流れを説明しないと。
◆ ◆ ◆
「マルサス様! ありがとうございます! 私たちの式をこんなにも盛り上げようとしてくれるなんて!」
「ぽ、ぽえっ!? え、エリナ!? ど、どうしてここへ!?」
本番もショータイムは最高の出来だった。
しかし、オリビア殿下を呼び出すタイミングでウェディングドレスを着たエリナが僕の前に現れる。
えっ? えっ? 結婚式について詳しく聞いてないけど、エリナの結婚式なの?
あー、やばい。オリビア殿下を呼び出すタイミングが――。
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