【完結】妹の天然が計算だとバレて、元婚約者が文句を言いに来ました

冬月光輝

文字の大きさ
9 / 17

第九話(ヨシュア視点)

しおりを挟む
「で、ヨシュアくんだっけ? 僕の婚約者を殴ろうとしたと聞いたが」

「愚息がとんだ粗相を! 貴様! エレナに続き、アリシアまで! チャルスキー家の恥晒しめ!」

 ど、ど、どうしてこうなったーーーーっ!?
 先日、アリシアの護衛が生意気なことを抜かしたので、締めてやろうと思ったら……。
 本当にアルフォンス殿下が出てきやがっただと!?
 
 ――は、ハッタリって顔していたじゃん!

 そりゃ、一貴族の護衛としてはきっちりした格好をしていたし、只者じゃない雰囲気はしていたけど、アルフォンス殿下の婚約者にあんな数日でなるはずないって思うじゃないか。

 意味が分からない。誰かが俺を嵌めようとしているとしか思えない……。

「何か言わんか! 頭を下げろ! 親にこんなことを言わせるな!」

「……え、えっと、ほ、本当にアルフォンス殿下ですか? ほ、本物……?」

「貴様、何を訳のわからんこと言っとる! この馬鹿息子が!」

「痛っ!」

 あまりに現実味がなくて、俺はついアルフォンス殿下が本物かどうか聞いてしまった。
 すると、親父は怒って杖で俺を殴る。

 いや、だってさ。本当に殿下が文句言いに来るなんて思えないじゃんか。

「僕の顔を覚えていないのか? まぁ、偽物だと思っているなら、そう思っていても構わないよ」

「い、いえ、本物の殿下です。間違いなく」

「当たり前だ! バカタレ!」

「痛っ!」

 くっそーーーー! アリシアの護衛やつ、アルフォンス殿下に告げ口しやがって。
 権力を盾に脅してくるなんて最低じゃないか、こんちくしょう!

「チャルスキー侯爵、あなたは彼を跡取りだと考えているらしいが……」

「は、はぁ……。確かに前々から軽率な態度が目立っていましたが如何せん一人息子だったものですから、つい甘やかしてしまいました」

 くっ……、殿下にお叱りを受けるのは痛いが、この家は俺しか継ぐ者がいないんだ。
 俺には妹はいるが、この家には男子は俺しか居ない。
 父上も結局のところ――

「こうなったら婿養子を取るしかないと決心がつきました。この男だけはチャルスキー家を継がせてはならぬと、ワシも心を鬼にします」

「へっ……? ち、父上……?」

 はぁ! はぁァァァァ! はぁァァァァァァァァァァァァ!!
 む、む、婿養子だと!? 息子がちゃんといるのに婿養子って言ったか!? このクソ親父!
 てか、このクソ親父……そもそもエレナの腹黒にも気付かなかったよな!?
 意味が分からん! どうしてこうなったんだ……?

「……エレナのせいだ」

「なんか言ったか!?」

「い、いえ何も……」

 そ、そうだ。こうなったのも、全部エレナのせいだ!
 あの腹黒性悪女を締めて、全ての悪事を吐かせてやる!
 父上もエレナが自らの悪事を告白したら、俺に同情して廃嫡宣言を取り消してくれるだろうし……。

 見てろ、エレナ! お前のこと、絶対に許さないからな!

 

  
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。 だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。 理由は簡単だった。 「君は役に立ちすぎた」から。 すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、 “静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。 そこで待っていたのは―― 期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。 前に出なくていい。 誰かのために壊れなくていい。 何もしなくても、ここにいていい。 「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」 婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、 何者にもならなくていいヒロインの再生と、 放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。 これは、 “役に立たなくなった”令嬢が、 ようやく自分として生き始める物語。

愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし

香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。  治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。  そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。  二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。  これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。  そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。 ※他サイトにも投稿しています

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜

珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」 「……え?」 幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。 うっとりと相手について語るモニカ。 でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……? ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです

虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を

柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。 みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。 虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

(完)親友なんて大嫌い!ーあなたは敵なの? 味方なの? (全5話)

青空一夏
恋愛
私はセント・マーガレット学園に通うアニエス・フィルム公爵令嬢。私の悩みは親友のベル・シクラメル公爵令嬢のこと。 普段はとても仲が良くて優しいのに、私のボーイフレンドをいつも横取りするわ。両親に言っても、ベルの味方ばかりする。だから私は修道院に入ってやった。これでもうベルなんかと関わらないで済むもんね。 そしたら・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風の残酷なしの恋愛物語。貴族社会でもある程度自由恋愛の許される世界です。幼い頃から婚約者を取り決める風習のない国です。

とある侯爵令息の婚約と結婚

ふじよし
恋愛
 ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。  今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……

処理中です...