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第十話
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ああ、エレナの婚約者を廃嫡まで追い込んでしまいました。
あの子に仕返しをするつもりは無かったのですが、アルフォンス殿下に黙っている訳にもいかず……。
どうにもエレナと顔を合わせるのが気まずいです。
「あら、アリシア姉様、随分と顔色がよくありませんのね。どこか体調が悪いのですか?」
「――っ!? え、エレナ、今日は出かけるとお父様から聞いていたのですが」
窓から外を見ていますと急に背後からエレナに声をかけられて私はびっくりします。
今朝、父から彼女は大事な用事で出かけると聞いていたのでこんなにも早く帰ってくるとは思わなかったのです。
「大した用事で出かけた訳ではありませんの。ヨシュア様と正式に婚約を解消してきただけですから」
「――っ!? そ、そんなの、あなたが直接行かなくても良いではありませんか」
平然とした表情でエレナはヨシュア様と婚約を解消した話を私に伝えます。
まさか、彼と直接会って話し合いなどするとは思いませんでした。
ヨシュア様の口ぶりから逆恨みするタイプにも見えましたし、そもそもエレナの本性に対して怒っていたのですから。
「まぁ、念のため……ですわ。ヨシュア様がか弱いわたくしに逆恨みされて、面倒を起こさぬように多少強めに脅しをかけておきましたの」
「お、脅しを……?」
「あの方、質の悪い連中と付き合いがあるみたいでして、わたくしがその繋がりを侯爵様に伝えたらどうなるのか、イチから教えて差し上げましたわ」
ヒラヒラと彼女が懐から取り出したのは、密偵からの調査報告書みたいでした。
そこにはヨシュア様の交友関係がびっしりと記載されていて、隠し子の存在の仄めかしまで書かれています。
「ですから、先日、申しましたの。外れ男だった、と」
「…………」
恐ろしい子だと思っていましたが、ここまでするなんて……。
ヨシュア様もお気の毒です。この子を敵に回したのですから。
「アリシア姉様もお気になさらずに。どちらにしろ、あの男はわたくしから切るつもりでしたから。こちらが有利な条件で」
「しかし、あなたは侯爵夫人になれなかったのですよ。嫌な気持ちはしていないのですか?」
「嫌な気持ち? たかが侯爵家の嫡男との縁談がダメになったくらいで、このわたくしが? ご冗談でしょう。わたくし、王子様の元に嫁ぐことに決めましたので悪しからず。やはり、それくらいでなきゃ、わたくしと釣り合わないと気付きましたの」
「――っ!? エレナ、あなたまさか……」
ニコリと不敵に笑うエレナの顔は獲物を狙う獣のようにも見えました。
この子、まさか今度はアルフォンス殿下に――。
そんなこと大胆なことをするはずがないと言い聞かせていたのですが、嫌な予感は当たるのが世の常。
エレナはアルフォンス殿下に接触を試みたようでした――。
あの子に仕返しをするつもりは無かったのですが、アルフォンス殿下に黙っている訳にもいかず……。
どうにもエレナと顔を合わせるのが気まずいです。
「あら、アリシア姉様、随分と顔色がよくありませんのね。どこか体調が悪いのですか?」
「――っ!? え、エレナ、今日は出かけるとお父様から聞いていたのですが」
窓から外を見ていますと急に背後からエレナに声をかけられて私はびっくりします。
今朝、父から彼女は大事な用事で出かけると聞いていたのでこんなにも早く帰ってくるとは思わなかったのです。
「大した用事で出かけた訳ではありませんの。ヨシュア様と正式に婚約を解消してきただけですから」
「――っ!? そ、そんなの、あなたが直接行かなくても良いではありませんか」
平然とした表情でエレナはヨシュア様と婚約を解消した話を私に伝えます。
まさか、彼と直接会って話し合いなどするとは思いませんでした。
ヨシュア様の口ぶりから逆恨みするタイプにも見えましたし、そもそもエレナの本性に対して怒っていたのですから。
「まぁ、念のため……ですわ。ヨシュア様がか弱いわたくしに逆恨みされて、面倒を起こさぬように多少強めに脅しをかけておきましたの」
「お、脅しを……?」
「あの方、質の悪い連中と付き合いがあるみたいでして、わたくしがその繋がりを侯爵様に伝えたらどうなるのか、イチから教えて差し上げましたわ」
ヒラヒラと彼女が懐から取り出したのは、密偵からの調査報告書みたいでした。
そこにはヨシュア様の交友関係がびっしりと記載されていて、隠し子の存在の仄めかしまで書かれています。
「ですから、先日、申しましたの。外れ男だった、と」
「…………」
恐ろしい子だと思っていましたが、ここまでするなんて……。
ヨシュア様もお気の毒です。この子を敵に回したのですから。
「アリシア姉様もお気になさらずに。どちらにしろ、あの男はわたくしから切るつもりでしたから。こちらが有利な条件で」
「しかし、あなたは侯爵夫人になれなかったのですよ。嫌な気持ちはしていないのですか?」
「嫌な気持ち? たかが侯爵家の嫡男との縁談がダメになったくらいで、このわたくしが? ご冗談でしょう。わたくし、王子様の元に嫁ぐことに決めましたので悪しからず。やはり、それくらいでなきゃ、わたくしと釣り合わないと気付きましたの」
「――っ!? エレナ、あなたまさか……」
ニコリと不敵に笑うエレナの顔は獲物を狙う獣のようにも見えました。
この子、まさか今度はアルフォンス殿下に――。
そんなこと大胆なことをするはずがないと言い聞かせていたのですが、嫌な予感は当たるのが世の常。
エレナはアルフォンス殿下に接触を試みたようでした――。
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