私より幼馴染を大事にする男と婚約破棄したら、王子様と結婚して幸せになれました

法華

文字の大きさ
2 / 5

第二話

しおりを挟む
「はぁ......」

私は途方に暮れていました。
啖呵を切って出て行ったはいいものの、今夜の宿さえとんと心当たりがありません。オッズ卿は日頃から、私にほとんど現金を与えてくれませんでした。私だって、ただ家事をこなしていただけでなく、あちこち飛び回って彼のために関係づくりに勤しんだりしていたのですがね。

「これから、どうしましょうか」

野宿を覚悟しながら、とぼとぼと街をさまよっていたその時。
突然背中から、私の名前を呼ぶ声がしました。

「リゼさん!?リゼさんじゃないか!?」

眼鏡をかけ、高級そうな服を着た青年。
こんな知り合いいましたっけ、と首をかしげながら、その顔をまじまじと見ていると。

「......まさか、王子様?」

その顔は、昔雑誌か何かで見た、この国の第三王子様の顔のように見えました。貴族の婚約者といえども、簡単に皇族にお会いすることはできないのです。

「まぁ、そうなんだけど。流石に覚えてないよね。僕です、ライル。子供のころ、よく一緒に遊んでた」

王子様は苦笑いをして、そう言いました。
ライル。一生懸命、記憶をたどります。

「......あぁ、ライル!?いっつもかくれんぼしてた!」
「そう、そう!覚えててくれたんだ、嬉しいなぁ」

私が子供のころ、学校から帰る時間になると、いつも誰かに追われているように逃げ回っている少年と出くわしました。
興味を持って話しかけてみると、友達とかくれんぼをしている、というので、とっておきの隠れ場所を教えてあげました。当時私は友達がいなかったので、暇つぶしにその場所で彼と他愛のない話をしたりしていました。
身なりはいいのに、毎日毎日かくれんぼ。変わった子だなぁ、とは思っていましたが、まさか王子様だったとは。

「ところで、どうしたの、こんなところで。買い物?」
「あー、いえ。実は......」

昔を思い出して気が緩んだのか、私はついつい、あれこれ王子様に打ち明けてしまいました。
彼は私の話を最後まで聞くと、にっこり微笑んで言いました。

「それなら、うちにいるといい。リゼさんには恩があるからね」

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

その人が好きなんですね?なるほど。愚かな人、あなたには本当に何も見えていないんですね。

新川ねこ
恋愛
ざまぁありの令嬢もの短編集です。 1作品数話(5000文字程度)の予定です。

婚約者の座は譲って差し上げます、お幸せに

四季
恋愛
婚約者が見知らぬ女性と寄り添い合って歩いているところを目撃してしまった。

婚約破棄?から大公様に見初められて~誤解だと今更いっても知りません!~

琴葉悠
恋愛
ストーリャ国の王子エピカ・ストーリャの婚約者ペルラ・ジェンマは彼が大嫌いだった。 自由が欲しい、妃教育はもううんざり、笑顔を取り繕うのも嫌! しかし周囲が婚約破棄を許してくれない中、ペルラは、エピカが見知らぬ女性と一緒に夜会の別室に入るのを見かけた。 「婚約破棄」の文字が浮かび、別室に飛び込み、エピカをただせば言葉を濁す。 ペルラは思いの丈をぶちまけ、夜会から飛び出すとそこで運命の出会いをする──

婚約破棄ですか、では死にますね【完結】

砂礫レキ
恋愛
自分を物語の主役だと思い込んでいる夢見がちな妹、アンジェラの社交界デビューの日。 私伯爵令嬢エレオノーラはなぜか婚約者のギースに絶縁宣言をされていた。 場所は舞踏会場、周囲が困惑する中芝居がかった喋りでギースはどんどん墓穴を掘っていく。 氷の女である私より花の妖精のようなアンジェラと永遠の愛を誓いたいと。 そして肝心のアンジェラはうっとりと得意げな顔をしていた。まるで王子に愛を誓われる姫君のように。 私が冷たいのではなく二人の脳みそが茹っているだけでは? 婚約破棄は承ります。但し、今夜の主役は奪わせて貰うわよアンジェラ。

【完結】こんな所で言う事!?まぁいいですけどね。私はあなたに気持ちはありませんもの。

まりぃべる
恋愛
私はアイリーン=トゥブァルクと申します。お父様は辺境伯爵を賜っておりますわ。 私には、14歳の時に決められた、婚約者がおりますの。 お相手は、ガブリエル=ドミニク伯爵令息。彼も同じ歳ですわ。 けれど、彼に言われましたの。 「泥臭いお前とはこれ以上一緒に居たくない。婚約破棄だ!俺は、伯爵令息だぞ!ソニア男爵令嬢と結婚する!」 そうですか。男に二言はありませんね? 読んでいただけたら嬉しいです。

悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです

白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」 国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。 目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。 ※2話完結。

私は身を引きます。どうかお幸せに

四季
恋愛
私の婚約者フルベルンには幼馴染みがいて……。

(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!

青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。 図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです? 全5話。ゆるふわ。

処理中です...