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第四話
しおりを挟む「皆の者、今日は無礼講である!飲め飲めい!」
王様は自分が豪快にビールを飲み干した後、そう宣言しました。
今日は、私とライル様の結婚披露宴の日。王城は、多くの参加者たちでごった返していました。
気持ちの整理がつくまでに半年、そこからお互いを知るのにもう半年。
ようやく付き合い初めて、プロポーズを受けるまでに一年。合わせて二年の恋愛は、政略によって決まった婚約者しか知らない私にとって、非常に新鮮で、じれったく、けれど楽しいものでした。
「王様って、派手なお方なんですね。初めてお会いしたので」
「あぁ......。パパはちょっと、変わってるかも」
私は参加者たちに挨拶しながら、あまりに多い人々に圧倒されて、ライル様に何度もこそこそ話しかけます。
ライル様は自分も緊張しているでしょうに、その全てにちゃんと反応を返してくれる。それが、私はとても嬉しいのです。
「あっ......!」
そんな人の群れの中に、見知った顔を見つけました。私の元婚約者、オッズ卿です。
どうやら一人で来ているようで、浮かない顔でワイングラスを傾けています。
「大丈夫」
ライル様は力強く私の手を握ると、彼のもとへぐんぐん近づいていきます。
近づいていくにつれて、彼の周りの貴族たちの、噂話の内容が聞こえてきます。
「聞きました?オッズ卿、昔リゼ様と婚約していたらしいわよ」
「知ってるわよ。でも、婚約破棄されたんでしょう?」
「別の女にうつつを抜かしていたのが理由らしいわよ。でも、その女には結局、お金を持ち逃げされたらしいわ」
「えぇ!?それで、いまだに独身なのね。馬鹿な男ねぇ」
そうこうしているうちに、向こうがこちらに気づいたようです。彼はライル様の方をちらりと見ると、こちらに深々とお辞儀をしました。
「......この度は、本当におめでとうございます」
「いやいや、恐縮です」
ライル様はにこやかに声を掛けます。私は、
『びっくりしました。プラム嬢は貴方ではなく、貴方のお金に気があったのですね』
とはもちろん言わずに、ありがとうございます、と軽く会釈して、その場を立ち去りました。
けれどオッズ卿には、そのそつない対応が逆にこたえたようです。去り際、彼の腕がぷるぷると怒りに震えているのが、見えました。
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