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第一話
しおりを挟む「エレン。僕は本当は、君のことなんて全然好きじゃないんだ。だから、婚約を解消したい」
この方は、何を今更言っているのでしょう。
私の婚約者、アーサー様の発言に、私は唖然とするしかありませんでした。
そもそも、私だって、あなたのことなんて好きでも何でもありません。
私が愛しているのは、マイス様。故郷の町で帽子職人をしている、気弱ですが一生懸命な青年です。
ですが、貴族の娘というのは、思うように伴侶を選べないのが定め。両親に言い出せないでいるうちに、遠方の辺境伯の長男、つまりアーサー様との縁談があれよあれよとまとまり、私とマイス様は涙の別れをしたのです。
この縁談は、アーサー様が望んだというお話でした。ですが、私はアーサー様を恨むことはせず、むしろ選んでくれてありがたいと、そう思うようにして今まで彼に尽くしてきました。
それがどうでしょう。
「実はあのとき、別の縁談の話があったんだ。でもそこの娘さんが、どうもいかつくて好みじゃなくて。でもそんなわがまま、お父様に言いたくないし.....。そんなとき、パーティで君を見かけて。まだ結婚してないっていうんで、あの女よりはましか、と」
ああ、こんな理由で、私とマイス様は引き裂かれたのですか。
はらわたが煮えくりそうな気持ちで、私はアーサー様の話を聞いていました。
「でも、僕は本当の愛を見つけたんだ。紹介するよ、メリィだ」
彼がそう言うと、奥の方からやけに堂々とした態度の女性が現れました。
その服装は派手ではありますが安っぽく、とても高貴な出には見えません。
「はじめまして、エレンさん。私はメリィよ。このふもとの街で、ハウス・スタッフをしていますの」
ハウス・スタッフ......それってつまり、家政婦のことですか。
「僕はメリィと結婚するんだ。お父様も、僕がちゃんと説得する。時間はかかるかもしれないけど、きっと大丈夫。いざとなれば、僕はこの家を出て行って、彼女の仕事をサポートしてもいいとまで思ってる」
自信満々に言うアーサー様。
いいでしょう。そこまで言うなら、私は身を引いてもかまいません。
堂々と不貞を告白されて、しかも婚約破棄まで持ちかけられて、腹が立つには立ちますが、もしかしたら一度は諦めていたマイス様との結婚のチャンスが、再び生まれるかもしれませんしね。
ですが、アーサー様の方は......。
そううまくいくものですかね。私には、すぐに破綻してしまうような気がしてならないのですが。
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