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第二話
しおりを挟む「エレン!帰ってきたんだね!」
マイス様の満面の笑みを見ると、多少の憂鬱など吹き飛んでしまいます。
私はにっこり微笑んで、言いました。
「だめですよ、あんまりそんな顔をしては。一応、私はアーサー様に婚約破棄されて、出戻ってきた女なのですから」
「そっか、ごめんごめん。......それで、さ。君に、まだその気があればなんだけど」
私には、もじもじした様子で頭を掻くマイス様の言いたいことが、手に取るようにわかりました。
そして、それは私がまさしく、言ってほしい言葉でもあったのでした。
「ええ。もしよかったら、是非またお付き合いしたいと思いますわ」
ぱあっと顔をほころばせるマイス様。
この顔を再び曇らせないためにも、ぐずぐずはしていられませんわね。もう言い訳なんてできません。少しでも早く、マイス様との結婚を両親に認めさせなければ。
「お父様、お母様、お話がありますの」
私がそう声をかけると、両親は深刻な顔で私の方を向き直りました。
「私、実は家を出ようと思ってますの」
けれど、私が次にそう言うと、二人は両の眼をまんまるに見開いて、慌てふためきます。
「ど、ど、どうしてだ?アーサー様との縁談を組んだからか?あれは、私が全面的に悪かった。あのボンボンには、ちゃんと対処する。だから......」
「お父様。私が家を出るのは、そのためではありませんわ」
「じゃあ、いったいどうして......」
私は、ひとつ深呼吸をしてから、言いました。
「私は......帽子屋のマイス様と結婚したいのです」
しばしの沈黙。
その後、お父様は口を開きました。
「そうか.....応援するよ。何かあったら、いつでもうちを頼るといい」
「えっ?」
「お前にいい人がいるなんて思ってなかったから、アーサー様との縁談を組んだんだ。一言でも言ってくれればよかったのに」
父は、いたって真面目な顔でそう言いました。
眼を大きく見開くのは、今度はこちらの方でした。
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