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第三話
しおりを挟む「エレン!今すぐ、家に戻ってきてくれないか!?」
血相を変えて懇願するアーサー様。
いったいどういうことでしょう。アーサー様は、メリィさんと仲良くやっているはずでは?
「それが......!メリィが働いていた家が、君のお父さんの別宅だったらしくて」
......話を聞くと、こういうことです。
メリィさんはハウス・スタッフなんて大仰な名前を名乗っていましたが、実際はお父様の別宅を、使われていない間管理しておく、というだけの仕事で、労働時間はわずか。
そもそもメリィさんのおじいさんとお父様につながりがあったらしく、その縁で与えていた仕事だったそうです。
ですが、今回の件でお父様はカンカン。
当然、メリィさんは首になり、無職になってしまいましたとさ。
「ちゃんと対処する」って、こういうことだったんですね。
「だから、メリィとの結婚はもう無理だ。君に戻ってきてもらえないと、僕は家の者から笑いものだ」
いや、知ったことですか。
そもそも、メリィさんに仕事がないのなら、あなたが働けばいいのでは?「本当の愛」というのは、そう簡単に諦めてしまえるほど薄っぺらいものだったのでしょうか。
「あいにくですが、私はすでに結婚しているので、ご期待には添えそうもありません」
冷たく言ってやると、アーサー様は愕然とした顔になる。
「そんな。もう今更、最初の縁談をやり直す、なんてできない。このままじゃ僕は、後継者の座を降ろされてしまうんだぞ!?」
結局、名誉がほしいんですか。
抜けるとまで言っていた家に、そこまでしてしがみつくのですか。
危ないところでした。私は、勘違いでとんでもない男と結婚する羽目になるところでした。
そうなったら、愛する人を失ってしまうのはもちろん、とても幸せな人生は望めなかったでしょう。
だから、私は、もしかしたら。
「あなたに、感謝しないといけませんね。あなたのおかげで私は、『本当の愛を見つけた』のですから」
fin.
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