収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

文字の大きさ
38 / 290

38.新しいスキルは快適でした

しおりを挟む
篠山ダンジョン第一階層。

フィールド型ダンジョンとしては一番オーソドックスなダンジョンで、広大なフィールドを探索しながら下に降りる階段を探さなければならない。

一応フィールドにも端はあるようでそこまでいくと見えない壁に阻まれてしまうんだとか。

階段は端にある場合もあればど真ん中にある場合もあり、定期的に場所が変わってしまうせいで地図の様なものは作れない。

まさに出たとこ勝負のダンジョンというわけだ。

ちなみにここで待ち受けているのはスノーラビット。

その名のごとく雪のように白い毛皮をまとっており、雪に擬態をしながら死角から襲い掛かってくる見かけ以上に凶悪な魔物なのだが毛皮が高値で売れることもありこれだけを狩るためにダンジョンに潜る人もいるんだとか。

「それじゃあ索敵は任せた、俺にはさっぱり見えないがリルの鼻ならどこにいるかわかるだろ。見つけたら攻撃してもいいけどできるだけ殺さないように。」

「わふ!」

頭をなでてやるとリルが勢いよく雪原へと飛び出し、少し遅れてその後ろを追いかける。

ギュムギュムと音を立てながら歩きつつ後ろを振り返ると長い長い足跡がどこまでも続いていた。

武庫ダンジョンが閉鎖的な空間だっただけにこういう開けた感じはなかなか慣れないなぁ。

上を見上げると空っぽい淡い水色の天井が広がっているけれど太陽はない。

一目で偽物の空だとはわかるけれど寒さだけは本物で、リル追いかけているとみるみるうちに手足が冷たくなっていくのがわかる。

もちろん事前準備ということで寒冷地仕様の手袋をつけているし雪用ブーツの中にはカイロを入れているから防寒の万全。

それでも寒いものは寒いわけで、無意識に手をこすりながら雪原を進み続けた。

右を見ても左を見ても雪ばかり、そんな中何の迷いもなく突き進んでいたリルが突然サイドステップをしたかと思うと急反転して雪に向かって飛びかかった。

「ピィィィ!」

間髪入れず何かの悲鳴が響き鮮血が雪原を染めていく。

慌ててそこに向かうと口元を真っ赤にしたリルが同じく赤く染まったスノーラビットの喉元に噛みついていた。

今まで何度もじゃれながら甘噛みされたことがあったが流石オオカミ王、あの鋭い牙は飾りじゃなかったようだ。

「よくやった!そのまま抑えとけよ。」

ぶんぶんと尻尾を振って返事をするリルの横に膝をついて未だ敵意を失っていないスノーラビットに手を添える。

「ドロー。」

【スノーラビットのスキルを収奪しました。保温、ストック上限はあと三つです。】

新しいスキル名がアナウンスされる。

保温、保温か。

確かにコレだけモコモコならあり得なくもないが、ホーンラビットと同じく突進攻撃をしてくるからてっきりどっちかと思ったんだけど。

未知のダンジョンだけに攻撃スキルが欲しかったところだけど今回からリルがいるから臨機応変にやっていくしかない。

効果はなんとなくわかるけどとりあえず使ってみるとしよう。

【スノーラビットのスキルを使用しました。ストックがありません。】

頭の中でスキルを発動、するとさっきまで感じていた手や顔の冷たさがみるみるうちになくなっていく。

なんだろう体の内側からあったまっているような感じ、コレが保温なのか。

さっきまでの寒さが嘘のように手足に熱が戻り、棒を振り回しても違和感がない。

下に降りれば降りるほど寒くなる篠山ダンジョンにおいて寒さは一番の大敵、でもこのスキルさえあれば臆することなく戦いに集中できるというわけだ。

問題はどのぐらい長続きするかだな。

「リル、もういいぞ。」

ふと視線を感じて足元を見るとどうしたらいいのかというリルと目があったので指示を出してトドメをさしてもらった。

深く牙を差し込んだと思ったらバキッという音共にスノーラビットが痙攣し、鮮血がに染まった雪の下に吸い込まれていった。

残ったのは美味しそうな肉と真白い毛皮。

どれだけ派手に攻撃しても魔法で燃やしても綺麗なまま毛皮が残るのは何故なんだろうか。

まぁそのおかげで上質な素材をゲットできるわけだけども。

足元に落ちた新鮮な肉を前にリルがよだれを垂らしながら欲望と戦っている。

別に躾けたわけじゃないんだけども一生懸命我慢しているのがまた可愛らしいなぁ。

「それは食べていいぞ。」

「わふ!?」

「その代わり次のは俺の分だからな。」

返事代わりに尻尾をブンブンと振りながら肉にかぶりつく頭を撫でる。

リルのおかげで探索は楽だけど次は追い込んでもらって自分で仕留めたいなぁ。

保温スキルも上限いっぱいまで確保しておきたいし、下に降りる階段を探しながら優先的に戦うとしよう。

そんな感じでルフがスノーラビットを見つけるたびに交代で攻撃してスキルと素材を確保、最終的に12匹を倒したぐらいでやっと下に降りる階段を発見した。

保温スキルのおかげで寒さに震えることなく比較的快適に探索できたのがありがたい。

どんどん寒くなることを考えると篠山ダンジョンではまず保温スキルを獲得してから下に潜っていく感じになるんだろうなぁ。

持続時間もかなり長いようでいまだに切れる気配はない。

「とはいえ毎回コレをやると思うと大変だなぁ。」

武庫ダンジョンでは行く道が決まってる分いずれ下に降りる階段に到達できるが、篠山ダンジョンでは気づかないうちに何度も同じところを通っている可能性が高く階段を探すのが非常に難しい。

足跡をたどろうにも気づけば降ってきた雪に足跡が消されている場合もあるため、今後はそれ対策が必要になるだろう。

「ま、なるようにしかならないか、リル次も行けるか?」

「わふぅ!」

「元気いっぱいって感じだな、よろしく頼む。」

あれだけ雪の上を歩き回ったというのにリルは全く疲れを感じさせない足取りで階段を下りていく。

さっき以上の冷気が下から上がってくるのを感じながらすら場ないように気を付けつつ無事に二階層に到着。

フィールド型なのはさっきと変わりないけれど、今度は雪原というよりも雪の岩場という感じの景色になっている。

ところどころ茶色い地肌が見えていてよく見るとそこそこアップダウンがあるように感じる。

ただでさえ雪で踏ん張りが効かないのにさらに足場の悪いところで戦わなければならないのか。

心無しか寒さも感じるし・・・ってもしかして階層が変わると効果が切れるのか?

明らかに寒さを感じ慌てて保温スキルを発動、すると見る見るうちに手足の先端が温かくなってきた。

ふむ、このまま様子を見てもしまた下に降りて寒さを感じるのならば保温スキルが階層単位という証明になるだろう。

現在のストック数は4、武庫ダンジョン同様に3階層ずつ転送装置があるので寒さで困ることはなさそうだ。

「さて、とりあえず進みますか。さっきと同じく魔物を見つけたら攻撃してもいいけど倒すなよ。」

ぶんぶん。

やることはさっきと同じでリルを先頭に索敵してもらいながらの各個撃破。

とはいえ出てくる魔物は先程とは比べ物にならない強さなので注意が必要だ。

一階層と二階層の差が激しすぎるってのが篠山ダンジョンの問題点だが、俺とリルに死角はない。

さて、次の階段を探してすすみますか!
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

処理中です...