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第10章「奈落の告白」
189話
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エリザベータside
外の様子を語り終えたユリウスは、忌々しげに唇を噛んでいる聖女に向かって笑みを浮かべた。
「人間は貴女が思っているほど甘くはありませんよ。心が折れていない者が居る限り、この国が終わることはないでしょう。」
「…。」
お父様たちが、西と東からの侵攻に耐えている。
絶体絶命の暗闇に、希望の光が差し込んだ。
まだ皆生きている。ユリウスの言う通り、まだ終わりじゃない。
胸が熱くなる一方で、私だけ何も知らずにいたというどうしようもない疎外感が込みあがり、密かに拳を握り絞めた。
「…理解できません。」
溜息まじりにそう言った聖女は、私たちを鋭い視線で貫いた。
「この国…いえ、この世界に、そこまでして守る価値なんてあるんですか?」
聖女の行動原理は、この世界から旅立つこと。世界に絶望し見放した彼女からすれば、抵抗する意味が分からないのかもしれない。
「正直、守る価値なんてありませんよ。」
「世界なんかクソくらえだな。」
ユリウスと殿下の発言に、私は目を剥いた。
何故今ここで聖女の肩を持つような発言を…!?
聖女も意外だったのか、謀反に限りなく近い発言にキョトンと目を見開いている。
「世界なんてどうでもいいんです。ただ僕は、自分の手が届くくらいの小さな世界が守れれば、それで十分です。」
「…。」
静かに、そしてはっきりと聖堂に響いたユリウスの言葉は、まるで自分自身に語り掛けているようだった。
「……ふっ…ふふふ…アハハハハハハハハ!」
思わず、といったように鼻から漏れた聖女の笑いは、やがて聖堂内にキンキンと響く高笑いへと変わった。
「壊すことしか能のない男が、なに自惚れたことを言っているんですか!!小さな世界??ふふふっ!!そんな世界何処にも存在しませんよ!アハハハハ!!」
笑い続ける聖女は、ユリウスに嘲罵を浴びせ続けた。けれど、ユリウスの顔色は変わらない。
ずっと涼しいまま笑みをたたえていたユリウスは、そっと口を開いた。
「死んでいる貴女には、永遠に分からない世界でしょうね。」
「アハハ…はは…は………………………は?」
嘲笑を浮かべる聖女の顔が固く強張った。
いや、聖女だけでない。ユリウスと殿下を除いた、この場に居る全員の顔が強張った。
聞き間違え…?いや、ユリウスははっきりと言った。
死んでいる貴女には、と…
「……何を言っているんですか?」
強張った笑みを張り付けた聖女の身体は、小刻みに震えている。
「私が死んでいるわけないじゃないですか。こうやって立って話しているんですよ?」
聖女の言う通り、誰が見ても彼女は生きているようにしか見えない。しかしーーー
「演技なのか、はたまた本当に自覚がないのか…。流石の僕もそこまでは分かりませんでいた。なので正直に言って下さい。」
「正直にって......そうやって意味の分からない話で、私を惑わそうとしているようでしたら無駄でーーー」
「意味の分からない?」
聖女の言葉を静かに遮ったユリウスは、すっと自身の頭を指差した。
「では、その傷口から流れている青い血は、一体何なんでしょう?」
そう言って微笑むユリウスの瞳は、一切笑っていなかった。
外の様子を語り終えたユリウスは、忌々しげに唇を噛んでいる聖女に向かって笑みを浮かべた。
「人間は貴女が思っているほど甘くはありませんよ。心が折れていない者が居る限り、この国が終わることはないでしょう。」
「…。」
お父様たちが、西と東からの侵攻に耐えている。
絶体絶命の暗闇に、希望の光が差し込んだ。
まだ皆生きている。ユリウスの言う通り、まだ終わりじゃない。
胸が熱くなる一方で、私だけ何も知らずにいたというどうしようもない疎外感が込みあがり、密かに拳を握り絞めた。
「…理解できません。」
溜息まじりにそう言った聖女は、私たちを鋭い視線で貫いた。
「この国…いえ、この世界に、そこまでして守る価値なんてあるんですか?」
聖女の行動原理は、この世界から旅立つこと。世界に絶望し見放した彼女からすれば、抵抗する意味が分からないのかもしれない。
「正直、守る価値なんてありませんよ。」
「世界なんかクソくらえだな。」
ユリウスと殿下の発言に、私は目を剥いた。
何故今ここで聖女の肩を持つような発言を…!?
聖女も意外だったのか、謀反に限りなく近い発言にキョトンと目を見開いている。
「世界なんてどうでもいいんです。ただ僕は、自分の手が届くくらいの小さな世界が守れれば、それで十分です。」
「…。」
静かに、そしてはっきりと聖堂に響いたユリウスの言葉は、まるで自分自身に語り掛けているようだった。
「……ふっ…ふふふ…アハハハハハハハハ!」
思わず、といったように鼻から漏れた聖女の笑いは、やがて聖堂内にキンキンと響く高笑いへと変わった。
「壊すことしか能のない男が、なに自惚れたことを言っているんですか!!小さな世界??ふふふっ!!そんな世界何処にも存在しませんよ!アハハハハ!!」
笑い続ける聖女は、ユリウスに嘲罵を浴びせ続けた。けれど、ユリウスの顔色は変わらない。
ずっと涼しいまま笑みをたたえていたユリウスは、そっと口を開いた。
「死んでいる貴女には、永遠に分からない世界でしょうね。」
「アハハ…はは…は………………………は?」
嘲笑を浮かべる聖女の顔が固く強張った。
いや、聖女だけでない。ユリウスと殿下を除いた、この場に居る全員の顔が強張った。
聞き間違え…?いや、ユリウスははっきりと言った。
死んでいる貴女には、と…
「……何を言っているんですか?」
強張った笑みを張り付けた聖女の身体は、小刻みに震えている。
「私が死んでいるわけないじゃないですか。こうやって立って話しているんですよ?」
聖女の言う通り、誰が見ても彼女は生きているようにしか見えない。しかしーーー
「演技なのか、はたまた本当に自覚がないのか…。流石の僕もそこまでは分かりませんでいた。なので正直に言って下さい。」
「正直にって......そうやって意味の分からない話で、私を惑わそうとしているようでしたら無駄でーーー」
「意味の分からない?」
聖女の言葉を静かに遮ったユリウスは、すっと自身の頭を指差した。
「では、その傷口から流れている青い血は、一体何なんでしょう?」
そう言って微笑むユリウスの瞳は、一切笑っていなかった。
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