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64.結婚式が始まる
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あとはベールをおろすだけになって、ドアがノックされる。
入ってきたのは伯父様と伯母様だった。
「準備はできたかい?」
「ええ」
伯父様の声に振り返ると、伯母様が口元を両手で押さえる。
「まぁぁ。本当に綺麗ね……ロズリーヌに見せたかったわ」
「お母様に……」
「きっと、見てると思うよ。ロズリーヌも」
「ええ、そうね。きっと見ているわね」
泣きだしてしまいそうな顔した伯母様を
背中を支えるようにして伯父様が慰めている。
お母様はお父様とは家族になれなかったけれど、
伯父様や伯母様にはこんなにも愛されていた。
最後の時間をレドアル家で過ごせたのは、
お母様にとっても幸せなことだっただろう。
「伯父様、伯母様。私、伯父様たちみたいに幸せな夫婦になりたいわ」
「ふふっ。きっとなれるわ」
「そうだな。私たちよりもずっと幸せになるといい」
「それは難しそうだわ」
三人で笑い合っていると、時間になったことを知らされる。
「時間だな。そろそろ行こうか」
「じゃあ、ジュリアンヌ。ベールをおろすわよ」
「ええ」
伯母様にベールをおろしてもらい、伯父様の手を取って立ち上がる。
伯母様は私を見て満足そうな顔をしてから、先に謁見室へと向かった。
「そのドレスは少し歩きにくいだろう。
ゆっくり進むが、早かったら言ってくれ」
「はい」
伯父様にエスコートされるのは初めてだ。
本当なら、お父様がエスコートするはずだけど、
お父様は私やレイモン兄様よりも愛人とシュゼット様を選んだ。
もうそのことに未練はないし、会いたいとも思わない。
私を育ててくれたのは伯父様と伯母様。そしてジェラルド兄様だった。
「……うちはジェラルドだけだったから、
こうして花嫁の父親になれるとは思わなかったよ。
うちの子になってくれてありがとう、ジュリアンヌ」
「……いいえ、私こそ、お礼を言わなくちゃ。
伯父様と伯母様がいてくれて、本当によかった。
今まで育ててくれてありがとう……って、これからも一緒に住むのよね。
これからもよろしくお願いします、お義父様」
「っ!!そうか、そうだよな。
これからは義父となるのか。
……ジェラルドとジュリアンヌのおかげで死ぬまで楽しく生きられそうだ」
「もう、言い過ぎだわ」
「本当だよ。あぁ、コリンヌ嬢は先にお待ちのようだ」
見れば、謁見室のドアの前でコリンヌが待っている。
エスコートしているのは父親のマロール伯爵だろう。
緊張しているのか、顔が強張っている。
王宮につとめている優秀なマロール伯爵だが、
さすがに娘が公爵家に嫁ぐとは思っていなかったらしい。
レイモン兄様が伯爵家に求婚を申し込んだ時、驚きのあまり倒れたと聞いている。
今日も倒れられたら困るが……大丈夫だろうか。
「マロール伯爵、待たせたかな」
「いえ、あの!問題!ありませっ」
「ああ、大丈夫だ。落ち着いてくれ」
「は、はひっ」
本当に大丈夫なのか心配になるけれど、
おかげでコリンヌは父親が心配過ぎて本人は緊張していないようだ。
「ジュリアンヌ様、父がご迷惑を」
「大丈夫よ。もう、中に入るだけだもの。なんとかなるでしょう」
「それならいいのですが」
困ったような顔をするコリンヌだが、今日はレイモン兄様の色にあわせて、
薄い緑色のドレスを着ていてとてもよく似合っている。
「とても綺麗だわ」
「それはジュリアンヌ様のほうです」
「ふふふ。ありがとう」
微笑み合っていると、時間になったようだ。
伯父様と私、コリンヌとマロール伯爵が横並びになる。
同じ公爵家に嫁ぐとしても、私とコリンヌの家格は同じではない。
謁見室のドアが開けられた後、伯父様と私から先に歩み始める。
ゆっくりとしか歩けない私にあわせて、伯父様がゆっくりと進む。
謁見室の玉座の前にはレイモン兄様とジェラルド兄様。
そのどちらも心配そうに私を見守っている。
時間をかけてジェラルド兄様の前まで行くと、
伯父様の手を離れ、ジェラルド兄様の手を取る。
「父上、ありがとう」
「ああ、こちらこそありがとう。
お前のおかげでジュリアンヌの父になれるんだからな」
「……なるほど」
本当なら父親から義息子へ託す言葉を言うのだろうけど、
伯父様とジェラルド兄様だからか、会話がのんびりしている。
伯父様が離れていくと、そっとジェラルド兄様が私のベールをあげる。
「……綺麗だ」
「兄様も綺麗だわ」
「俺が綺麗だと言われるのは納得いかないが……。
ジュリアンヌは今すぐ連れて帰りたいくらい綺麗だ」
そんな風に言うけれど、ジェラルド兄様が綺麗なのは本当のことだ。
銀色の肩章がついた貴族服は正式な行事でしか着ないもの。
差し色の紫が入った白い貴族服を着たジェラルド兄様が綺麗で、
ずっと見ていたいくらいだった。
ぼうっとしていると、すぐ隣でマロール伯爵の声がした。
いつの間にかコリンヌがレイモン兄様のところまで来ていた。
マロール伯爵はコリンヌを嫁がせるのが心配なのか、
レイモン兄様の手をぎゅっと握ってコリンヌのことをお願いしている。
「心配ならいつでもイフリア家に来てください。
コリンヌを幸せにすると約束します」
「ありがとうござ……います……よろしくお願いいた…します」
「ええ、任せてください」
涙で顔がぐしゃぐしゃになっても、マロール伯爵は頭をさげている。
本当の父親なら、こんな風に泣いて送りだしてくれるんだろうな。
ほんの少しだけ寂しく思ったのが伝わったのか、ジェラルド兄様に手を握られる。
見上げたら心配そうな顔の兄様。
それを見て、こんなにも大事に思ってくれる人がいるのに、
父親の愛情まで求めるのは欲張りだと思う。
大丈夫と笑いかけたら、兄様がほっとしたのがわかる。
ジェラルド兄様と私、レイモン兄様とコリンヌがそろい、
玉座に座るアドルフ様へと顔を向ける。
入ってきたのは伯父様と伯母様だった。
「準備はできたかい?」
「ええ」
伯父様の声に振り返ると、伯母様が口元を両手で押さえる。
「まぁぁ。本当に綺麗ね……ロズリーヌに見せたかったわ」
「お母様に……」
「きっと、見てると思うよ。ロズリーヌも」
「ええ、そうね。きっと見ているわね」
泣きだしてしまいそうな顔した伯母様を
背中を支えるようにして伯父様が慰めている。
お母様はお父様とは家族になれなかったけれど、
伯父様や伯母様にはこんなにも愛されていた。
最後の時間をレドアル家で過ごせたのは、
お母様にとっても幸せなことだっただろう。
「伯父様、伯母様。私、伯父様たちみたいに幸せな夫婦になりたいわ」
「ふふっ。きっとなれるわ」
「そうだな。私たちよりもずっと幸せになるといい」
「それは難しそうだわ」
三人で笑い合っていると、時間になったことを知らされる。
「時間だな。そろそろ行こうか」
「じゃあ、ジュリアンヌ。ベールをおろすわよ」
「ええ」
伯母様にベールをおろしてもらい、伯父様の手を取って立ち上がる。
伯母様は私を見て満足そうな顔をしてから、先に謁見室へと向かった。
「そのドレスは少し歩きにくいだろう。
ゆっくり進むが、早かったら言ってくれ」
「はい」
伯父様にエスコートされるのは初めてだ。
本当なら、お父様がエスコートするはずだけど、
お父様は私やレイモン兄様よりも愛人とシュゼット様を選んだ。
もうそのことに未練はないし、会いたいとも思わない。
私を育ててくれたのは伯父様と伯母様。そしてジェラルド兄様だった。
「……うちはジェラルドだけだったから、
こうして花嫁の父親になれるとは思わなかったよ。
うちの子になってくれてありがとう、ジュリアンヌ」
「……いいえ、私こそ、お礼を言わなくちゃ。
伯父様と伯母様がいてくれて、本当によかった。
今まで育ててくれてありがとう……って、これからも一緒に住むのよね。
これからもよろしくお願いします、お義父様」
「っ!!そうか、そうだよな。
これからは義父となるのか。
……ジェラルドとジュリアンヌのおかげで死ぬまで楽しく生きられそうだ」
「もう、言い過ぎだわ」
「本当だよ。あぁ、コリンヌ嬢は先にお待ちのようだ」
見れば、謁見室のドアの前でコリンヌが待っている。
エスコートしているのは父親のマロール伯爵だろう。
緊張しているのか、顔が強張っている。
王宮につとめている優秀なマロール伯爵だが、
さすがに娘が公爵家に嫁ぐとは思っていなかったらしい。
レイモン兄様が伯爵家に求婚を申し込んだ時、驚きのあまり倒れたと聞いている。
今日も倒れられたら困るが……大丈夫だろうか。
「マロール伯爵、待たせたかな」
「いえ、あの!問題!ありませっ」
「ああ、大丈夫だ。落ち着いてくれ」
「は、はひっ」
本当に大丈夫なのか心配になるけれど、
おかげでコリンヌは父親が心配過ぎて本人は緊張していないようだ。
「ジュリアンヌ様、父がご迷惑を」
「大丈夫よ。もう、中に入るだけだもの。なんとかなるでしょう」
「それならいいのですが」
困ったような顔をするコリンヌだが、今日はレイモン兄様の色にあわせて、
薄い緑色のドレスを着ていてとてもよく似合っている。
「とても綺麗だわ」
「それはジュリアンヌ様のほうです」
「ふふふ。ありがとう」
微笑み合っていると、時間になったようだ。
伯父様と私、コリンヌとマロール伯爵が横並びになる。
同じ公爵家に嫁ぐとしても、私とコリンヌの家格は同じではない。
謁見室のドアが開けられた後、伯父様と私から先に歩み始める。
ゆっくりとしか歩けない私にあわせて、伯父様がゆっくりと進む。
謁見室の玉座の前にはレイモン兄様とジェラルド兄様。
そのどちらも心配そうに私を見守っている。
時間をかけてジェラルド兄様の前まで行くと、
伯父様の手を離れ、ジェラルド兄様の手を取る。
「父上、ありがとう」
「ああ、こちらこそありがとう。
お前のおかげでジュリアンヌの父になれるんだからな」
「……なるほど」
本当なら父親から義息子へ託す言葉を言うのだろうけど、
伯父様とジェラルド兄様だからか、会話がのんびりしている。
伯父様が離れていくと、そっとジェラルド兄様が私のベールをあげる。
「……綺麗だ」
「兄様も綺麗だわ」
「俺が綺麗だと言われるのは納得いかないが……。
ジュリアンヌは今すぐ連れて帰りたいくらい綺麗だ」
そんな風に言うけれど、ジェラルド兄様が綺麗なのは本当のことだ。
銀色の肩章がついた貴族服は正式な行事でしか着ないもの。
差し色の紫が入った白い貴族服を着たジェラルド兄様が綺麗で、
ずっと見ていたいくらいだった。
ぼうっとしていると、すぐ隣でマロール伯爵の声がした。
いつの間にかコリンヌがレイモン兄様のところまで来ていた。
マロール伯爵はコリンヌを嫁がせるのが心配なのか、
レイモン兄様の手をぎゅっと握ってコリンヌのことをお願いしている。
「心配ならいつでもイフリア家に来てください。
コリンヌを幸せにすると約束します」
「ありがとうござ……います……よろしくお願いいた…します」
「ええ、任せてください」
涙で顔がぐしゃぐしゃになっても、マロール伯爵は頭をさげている。
本当の父親なら、こんな風に泣いて送りだしてくれるんだろうな。
ほんの少しだけ寂しく思ったのが伝わったのか、ジェラルド兄様に手を握られる。
見上げたら心配そうな顔の兄様。
それを見て、こんなにも大事に思ってくれる人がいるのに、
父親の愛情まで求めるのは欲張りだと思う。
大丈夫と笑いかけたら、兄様がほっとしたのがわかる。
ジェラルド兄様と私、レイモン兄様とコリンヌがそろい、
玉座に座るアドルフ様へと顔を向ける。
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