クズ王子から婚約を盾に迫られ全力で逃げたら、その先には別な婚約の罠が待っていました?

gacchi(がっち)

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20.別邸にて

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大公家の別邸で過ごすようになって三日が過ぎた。
ここに来てからもずっとジルから魔力を受け続けていた。
完全に魔力を戻して、そこから少しずつ自分の魔力が戻っていくらしい。

同じ部屋で過ごすことに抵抗はあったが、
私が動けるようになるまでずっと同じ寝台にいたのに今更と言われ、
それもそうだと思ってしまったことで押し切られてしまった。
魔力を使い切るということがいかに危険かよくわからなかった私でも、
ジルがあまりにも離れようとしないのを見て、
魔力が戻ってもまだ私の身体は危ない状態なのだと知った。


「ようやく俺の魔力で満たせたよ。これほど時間がかかるとは思わなかった。
 あとは少しずつ俺の魔力を消費してリアの魔力に変換されて行く。
 それが終わってリアの魔力が全部変換出来たら、あとは問題ないはずだ。
 ただ、これだけ魔力量が多いと、器が傷ついていないか心配だし、
 俺からだと説明しきれていないところも多いから、
 診察ついでに魔力について説明を受けるといいよ。
 明日大公家の医術士が来るから。」

「説明?今回のことだけじゃなくて?」

「ああ。どうやらこの国では常識なことでもリアは知らないことが多いようだ。
 でも俺だと説明が偏ってしまいそうだから、ケニー先生に聞くと言い。
 俺も幼少期からお世話になっている医術士なんだ。」

「そうね。隣国だし、そんなに違いは無いと思ってたけど、
 気が付いていないだけで大きな違いがあるかもしれない。
 一度きちんと説明を聞いてみる。」


次の日に会うことになったケニー先生は茶髪の髪を一つに束ね、
にこっと笑うと幼く見える不思議な人だった。
ジルの幼少期から医術士だったというなら、いったい何歳だというんだろう。
年齢不詳な上に中性的でもあるケニー先生に少し驚いたが、
向こうもなぜか私に驚いているようだ。

「あぁ、なるほど。そういうことでしたか。
 初めまして、ケニーです。
 大公家の医術士ですが、普段は魔術具の研究を主にしています。
 何かあればこうやって医術士の仕事もしますけどね。」

「リアージュ・イルーレイドです。
 隣国から留学してきて、大公家でお世話になっています。」

「ええ。この国の魔力と結婚についての常識を説明するようにと聞いています。
 一通り説明しますので、その後に質問してもらえますか?」

「わかりました。」


「それでは、この国で特に高位貴族間での結婚では、
 魔力交換と属性の通知が行われます。
 魔力交換はお互いの魔力を半分ずつ交換することで、
 夫婦間の魔力の差を無くすことが目的です。
 なぜ魔力差を無くすかと言うと、魔力差があるままでは子供ができにくいからです。
 属性通知は魔力交換の際に知ってしまうので、これはおまけみたいなものですね。
 魔術を使っているうちにわかってしまうことも多いですし。
 まぁ、大ぴらに公表する人はいないので、夫婦間の秘密の共有みたいなものです。」

だから魔力を入れた時に属性を教えてくれたのね。
ジルの属性は水と氷と闇だって言ってた。闇か…私の光とは逆なんだ。

「この国には言い伝えがありましてね、昔話と言いますか。」

ん?ケニー先生が何か語り始めた。昔話?

「あるところに高貴な生まれの少年がいました。
 その少年はとても魔力量が多く、結婚相手が見つかりそうにありませんでした。
 しかも闇属性を持っていたため、他の魔力とは反発してしまい、
 他人にふれることも難しかったのです。
 その少年が大きくなるまで、誰一人その少年を癒すことができませんでした。
 ところがある日、一人の少女がその少年にふれることができたのです。
 その少女は魔力量が少年と同じくらい多く、
 しかも闇属性を中和できる光属性を持っていたからです。
 少年は喜んで少女を嫁にもらい、二人は仲良く暮らしたとさ。
 めでたしめでたし。」

「…それは何の昔話ですか?」
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