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21.ジルの事情
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「…それは何の昔話ですか?」
「この国の王族の昔話ですよ。実際にあったそうです。
この国が魔力重視の国なのはわかったでしょう?
ですが、そうやって魔力を半分にしていくと、
子どもは産まれても魔力量は少しずつ減っていきます。
そうして王族の魔力が弱まっていくと、
突然魔力がけた違いの男の子が産まれるんです。」
「ただの昔話じゃないんですね?」
「はい。そしてその少年は必ず闇属性を持っていまして、
王族の血筋のどこかで産まれている光属性の少女と出会うんです。
あまりに魔力量が違い過ぎると魔力交換に相手が耐えきれなくなって器が壊れます。
まして闇属性は光属性以外の属性の者に流すことが難しい。
運命の少年は運命の少女としか結婚できないのです。」
「闇属性と光属性…。」
「もうわかりましたよね?ジル様は運命の少年です。
産まれた時点でわかっていたので、王家は必死に光属性の少女を探していました。
ですが、光属性であっても魔力量が普通だったり、
魔力量は多くても光属性じゃ無かったり。
今代は何か間違いがあって少年だけ産まれてきたと思われていました。
ですが、隣国とは言え、リアージュ様は王家の血筋です。
隣国では魔力鑑定はほとんどしないと聞いています。
ですから見つけることができなかった。
リアージュ様が留学して来てくれて、本当に良かったです。」
「ジルと私が運命の相手だって言うんですか?
でも、初対面でわかるものなんですか?」
だって、ジルは初対面の私に婚約を申し込んだ。
シャハル王子から助けてくれるために婚約したと思っていたけど、
もしかして最初から知っていて婚約した?
「ジル様にふれて気持ち悪くなったり、反発するような魔力を感じますか?」
「いいえ?」
むしろふれていて気持ちいいくらい。反発するどころか引き寄せられるように思う。
「それだけでも運命の相手だとわかるものですが、
ジル様の結婚への障害はそれだけではないのです。
ジル様の眼鏡を外した姿を見たことがありますよね?」
「はい、ありますよ?私と二人の時は外してますね。」
「ジル様の目は魅了眼です。見た人を惑わせるんです。
ジル様は闇属性なので、惑わされたとしてもさわることすら難しい。
なのに魅了された人間はジル様を捕まえようとします。
捕まえて閉じ込めて鑑賞しようとするもの、いっそのこと殺そうとするもの、
まだ幼少期のジル様をです。
大公家の使用人は平民ではありません。それなりに魔力量も多い。
それでもジル様の魅了眼に抵抗できるものがいませんでした。
だから今は平穏に暮らすために魅了眼封じの眼鏡を常時使用しています。
使用人は数を減らし、一緒にいるリンとファンは侍従ですが侯爵家の次男です。」
「え。リンとファンって侯爵家なの?」
「そうです。下手に下位貴族の者では眼鏡があっても一緒にいるのが難しいのです。
ご家族や高位貴族の者であっても、眼鏡がなければ会話もできません
あの眼鏡の魔術具を作ったのは私ですが、
魔力に制限をかける魔術具なのでつけているだけで苦痛があります。
少しでも苦痛を和らげようと研究は続けていますが、魔力量が多すぎて難しいです。
眼鏡なしで会話ができ、ふれても体調に影響が出ないのはリアージュ様だけです。
お二人の時に眼鏡を外しているのは、それだけ安心しているということでしょう。」
「だから、運命の相手…。」
いろんな情報が一気に入ってきて、うまく感情が追いつかない。
もうすでにジルから魔力をもらっていて、属性も聞いていて。
ジルが結婚できるのは私だけで…。
うれしいのに複雑なのはどうしてだろう。
「ジル様から魔力を受けたのは聞きました。
魔力を返すかどうかはリアージュ様の気持ち次第です。
一応、返し方は伝えておきますね。
明日あたりからじわじわとご自身の魔力に変換されて行くと思います。
その魔力が全部自分の属性に変わったら、ジル様に魔力を流してください。
無くなった部分に埋めていく感じですので、抵抗はされないと思います。
半分魔力を渡すと自然に魔力は止まりますので、それで終わりです。
お互いの魔力が安定すれば婚姻が完了したことになります。」
「婚姻が完了?手続きとかは無いんですか?」
「一応ありますよ。終わった後で完了届を出して登録するんです。
この国は離縁がありません。
隣国は経済優先のために政略結婚も第二夫人も認められていますよね。
そのため魔力交換での結婚をしないのでしょう。
魔力交換をしてしまえば他と子供を作るのは不可能になりますから。」
「隣り合っている国だから似ていると思っていたのに、結構違うんですね。」
「そうですね。他に質問はありますか?」
質問…知りたいのはジルのことだけど、
それはケニー先生に聞くことじゃない気がする。
「いいえ、大丈夫です。」
「じゃあ、最後に器が壊れていないか診察して終わりますね。」
診察の結果、器は壊れておらず、魔力が溢れていることも無いそうだ。
このまま変換できれば問題なく過ごせるだろうと言われ、少しホッとした。
「この国の王族の昔話ですよ。実際にあったそうです。
この国が魔力重視の国なのはわかったでしょう?
ですが、そうやって魔力を半分にしていくと、
子どもは産まれても魔力量は少しずつ減っていきます。
そうして王族の魔力が弱まっていくと、
突然魔力がけた違いの男の子が産まれるんです。」
「ただの昔話じゃないんですね?」
「はい。そしてその少年は必ず闇属性を持っていまして、
王族の血筋のどこかで産まれている光属性の少女と出会うんです。
あまりに魔力量が違い過ぎると魔力交換に相手が耐えきれなくなって器が壊れます。
まして闇属性は光属性以外の属性の者に流すことが難しい。
運命の少年は運命の少女としか結婚できないのです。」
「闇属性と光属性…。」
「もうわかりましたよね?ジル様は運命の少年です。
産まれた時点でわかっていたので、王家は必死に光属性の少女を探していました。
ですが、光属性であっても魔力量が普通だったり、
魔力量は多くても光属性じゃ無かったり。
今代は何か間違いがあって少年だけ産まれてきたと思われていました。
ですが、隣国とは言え、リアージュ様は王家の血筋です。
隣国では魔力鑑定はほとんどしないと聞いています。
ですから見つけることができなかった。
リアージュ様が留学して来てくれて、本当に良かったです。」
「ジルと私が運命の相手だって言うんですか?
でも、初対面でわかるものなんですか?」
だって、ジルは初対面の私に婚約を申し込んだ。
シャハル王子から助けてくれるために婚約したと思っていたけど、
もしかして最初から知っていて婚約した?
「ジル様にふれて気持ち悪くなったり、反発するような魔力を感じますか?」
「いいえ?」
むしろふれていて気持ちいいくらい。反発するどころか引き寄せられるように思う。
「それだけでも運命の相手だとわかるものですが、
ジル様の結婚への障害はそれだけではないのです。
ジル様の眼鏡を外した姿を見たことがありますよね?」
「はい、ありますよ?私と二人の時は外してますね。」
「ジル様の目は魅了眼です。見た人を惑わせるんです。
ジル様は闇属性なので、惑わされたとしてもさわることすら難しい。
なのに魅了された人間はジル様を捕まえようとします。
捕まえて閉じ込めて鑑賞しようとするもの、いっそのこと殺そうとするもの、
まだ幼少期のジル様をです。
大公家の使用人は平民ではありません。それなりに魔力量も多い。
それでもジル様の魅了眼に抵抗できるものがいませんでした。
だから今は平穏に暮らすために魅了眼封じの眼鏡を常時使用しています。
使用人は数を減らし、一緒にいるリンとファンは侍従ですが侯爵家の次男です。」
「え。リンとファンって侯爵家なの?」
「そうです。下手に下位貴族の者では眼鏡があっても一緒にいるのが難しいのです。
ご家族や高位貴族の者であっても、眼鏡がなければ会話もできません
あの眼鏡の魔術具を作ったのは私ですが、
魔力に制限をかける魔術具なのでつけているだけで苦痛があります。
少しでも苦痛を和らげようと研究は続けていますが、魔力量が多すぎて難しいです。
眼鏡なしで会話ができ、ふれても体調に影響が出ないのはリアージュ様だけです。
お二人の時に眼鏡を外しているのは、それだけ安心しているということでしょう。」
「だから、運命の相手…。」
いろんな情報が一気に入ってきて、うまく感情が追いつかない。
もうすでにジルから魔力をもらっていて、属性も聞いていて。
ジルが結婚できるのは私だけで…。
うれしいのに複雑なのはどうしてだろう。
「ジル様から魔力を受けたのは聞きました。
魔力を返すかどうかはリアージュ様の気持ち次第です。
一応、返し方は伝えておきますね。
明日あたりからじわじわとご自身の魔力に変換されて行くと思います。
その魔力が全部自分の属性に変わったら、ジル様に魔力を流してください。
無くなった部分に埋めていく感じですので、抵抗はされないと思います。
半分魔力を渡すと自然に魔力は止まりますので、それで終わりです。
お互いの魔力が安定すれば婚姻が完了したことになります。」
「婚姻が完了?手続きとかは無いんですか?」
「一応ありますよ。終わった後で完了届を出して登録するんです。
この国は離縁がありません。
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そのため魔力交換での結婚をしないのでしょう。
魔力交換をしてしまえば他と子供を作るのは不可能になりますから。」
「隣り合っている国だから似ていると思っていたのに、結構違うんですね。」
「そうですね。他に質問はありますか?」
質問…知りたいのはジルのことだけど、
それはケニー先生に聞くことじゃない気がする。
「いいえ、大丈夫です。」
「じゃあ、最後に器が壊れていないか診察して終わりますね。」
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