お飾り王妃のはずなのに、黒い魔法を使ったら溺愛されてます

りんりん

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四十三、レオ王の告白

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「じゃあ、本当は流行病じゃないのですか」

「ああ。
当時第一側妃だった母が毒殺したそうだ。
私に王位を継がせたいばかりにな」

怒りを押さえているような低く強い声がする。

自分の母親が殺人を犯した。

それを告白するのは、どんなに辛いことだろう。

「証拠はない。
ただの噂だ。
けれどその噂のせいで母は私を遠ざけ、
レイサ第一王子ばかりを可愛がっていた」

「息子を犠牲にしてまで、全力で噂を否定したかったのですね。
きっとお母様は、殺人なんか犯していないわ。
繊細な優しい方だったのよ。
けどあなたはとてもお寂しかった。
そうですよね」

ゆっくりと言葉を選びながら、レオ王の額に自分の額をよせてゆく。

幼い頃泣きじゃくっていると、よくお母様はこうやってなぐさめてくれたものだ。

気がつけば自分も同じことをしていた。
 
「それは自分でもわからない。
ただ、ほとんどの人間が兄に同情していた。
そんな王宮の居心地は悪いものだ。
結局低位貴族だった私の母エレーナが、王妃におさまったのだ。
反発は無理もないが」

「どこの王宮も身分に厳しいのですね」

「ああ。
そのうえ兄まで、病でなくなったのだ。
肺病と公表されても、貴族達の母への疑惑はますますふくれあがっていった」

「そうでしょうね。
そんな中、突然ご両親が馬車の事故でなくなった。 
孤立無援の中の即位。
私なんかにはわからないご苦労がおありでしょう」

「ナール宰相やユリア騎士がいてくれるものの、やはりストレスは半端ない。
どうしようもない時は、ひそかに王宮をぬけだし気ままに馬で駆け巡った。
そしてだ。
ある村を走る抜けていた時、ひょんなことからオニキス女官と出会ってしまった」

レオ王はいったんここで言葉をおく。

「出会ってしまったんですね。
離れられない運命の人と。
それをどうしても、結婚式の前に私に伝えたかったんですね。
やはり、オニキス女官はただの女官じゃなかった」

とまどいの色を瞳にうかべ、急に押し黙るレオ王に力なく微笑んだ。

これで私がレオ王に選ばれた本当の理由が、わかってしまった。

もしダリアがレオ王に嫁いでいたら、ただではすまない。

ダリアを溺愛しているお父様は、戦争さえおこしかねないだろう。

良縁が殺到しているダリアが馬鹿にされたと、お母様や重臣達だって怒りにふるえていたはずだ。 

ポプリ国とストーン国の友好関係にひびがはいり、両国は不利益をこうむることになる。

けど、ポプリ国の落ちこぼれ王女の私なら、大丈夫とふんだのね。

多少なりとも魔力も備えているから、重臣にもギリギリ顔がたつし。

熟考して、役者顔負けの名演技で私の心をわしづかみにしたのだ。

レオ王は腹黒で、私は間抜けってわけね。

「ものわかりがいいな」

冷たい声がグサリと心臓をつきさした。 

一度も否定してくれないなんて、軽く見られたものだ。

「ご心配なく。
今さら祖国へ帰る気は、サラサラありません。
私は私なりに、ここで生きていくつもりです」

「そう言ってくれれば助かる。
こちらも、できるかぎりのことはする。
欲しいものがあれば、なんでも言って欲しい」

ダリアにさんざんいじられて、打たれ強くなっていたおかげね。

すぐに立ち直れた。

いえ。立ち直れた振りができたの。

「そうですね。
宝石もドレスもいらないけれど、薬草園は欲しいかしら」

「なら母が作ったものがある。
母も薬草が好きだったんだ。
今は荒れているから、ちゃんと整えておく」

「では、お願いします。
できれは、なるべく早くしてくださいね。
お母様と言えば、お母様の肖像画はどれですか」 

「実はな」

またレオ王が声をひそめる。

まだ何かあるのかしら。

身構えていると、耳元を声がかすめた。

「母の遺体はまだ見つかってない。
だからまだ、ここに肖像画は飾れない」

なんですって。

思ったより、レオ王の闇は深そうだ。
   
 





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