ヴァイオレットは幸せですか?

藤川みはな

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ボスを飼いたい

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「レティーーーーーー!!!」

お父様の声がした。

「えっ、お父様?」

「きゃっ」
すごい勢いで馬車が近付いてくる。

〈おい、このままだとぶつかるぞ……〉

ボスがつぶやいた。

馬車から身を乗り出したお父様と目が合う。

「レティ!」

馬車がすんでのところで止まった。

そして、お父様が馬車から降りる。
馬車にはフロルちゃんのお父さん、ジョンさんも乗っていた。

「レティ!こんな遅くまで何をしてたんだ!」

お父様が泣きそうになりながら、わたしを叱る。

それを見て、申し訳ない気持ちになった。

「ごめんなさい、お父様。言いつけを破ってしまいました。」

「あのっ、私が悪いんです。私がレティちゃんを連れ出したりしたから……」
フロルちゃんが泣きそうな顔で言った。

「フロルちゃんは悪くないよ!」

「ハハハッ!まぁいいじゃねーか、
アルフレッド。怪我もしてないし」

ジョンさんが笑い飛ばす。

「ジョン……お前ってやつは……」
お父様が呆れたような顔をした。

そして突然、ギュッと抱きしめられる。

「無事で良かった……」
涙声のお父様。
申し訳なくて涙がポロポロ落ちた。

「お父様、心配かけてごめんなさい」

わたしはお父様をギュッと抱きしめ返したのだった。

          ◯◯◯

「まぁ、森でそんなことがあったの?」

屋敷に帰り、お父様とお母様に森での出来事を話すと
お父様とお母様は驚きの表情を浮かべた。

「で、その魔獣がボスか……」

お父様がジロリとわたしの腕の中のボスを見やる。

「ヴァイオレットを危険な目に合わせるとは
いい度胸だな……」

お父様が短剣をボスの鼻先に突きつける。

「お父様!落ち着いてください!!」

「この罪 万死に値するぞ」

〈親ばかだな、コイツ〉

「アルフレッド、やめなさい」

お母様が言うとお父様は渋々短剣をしまった。

「レティが、ボスと話せるのは恐らく……」

お母様がお父様を見る。

「あぁ、その可能性が高いな」



「一体何の話をしてるんですか?」

「時が来たら、教えてあげるわ」

お母様は微笑み
わたしの頰に手をやる。

「レティ。あなたは
これからきっとたくさんの友達に出会うわ。
その友達を味方につけなさい。そうしたらみんなが
あなたを助けてくれる。」

「はい!心配はいりませんよ。ボスもフロルちゃんもいますし、お父様とお母様もいます!
心配をおかけしました!」

「ふふふ。未来の夫にも出会ったことだしね」

「うぅっ!娘はやらんぞ!!」
お父様が唇を噛み締める。
般若のようで少し怖い。

「お父様、お母様、
一体誰のことを言ってるんですか?」

「レティちゃんが出会った王子様のことよ」

えっ!

「やめてください カイル……殿下はワガママで口が悪いんですよ!そんな人を
夫にするつもりはありません!」

「そうね、レティにはまだ早いわね」

お母様がふふふと笑った。

「ところで、ボスは飼っても良いですか?」

「ダメだ!」
お父様がカッと目を見開いた。

「えーーっ! どうしてですか?」

「ソイツはレティを危険な目に合わせたんだ。
信用できん」

〈それは申し訳ないが……〉

ボスがうなだれる。

「ボスも反省してるし、もう許してあげてください
ボスが可哀想です。」

「そうよ、こんなに可愛らしいクマちゃん見たことないわ。わたしからもお願いよ」

二人してお願いポーズをするとお父様は一瞬怯んだ。

「許してくれたらほっぺにチューしてあげるわよ」

お母様が言う。

よし、もう一撃!

「わたしもチューしてあげます!」

お父様はデレっとした顔になる。

「ホントに?」

「ええ」
「もちろんです!」

「仕方ないなぁ」

やった!許しを得た!

「良かったね、ボス」

〈この恩は必ず返す〉

「それで、チューは?」
お父様が子供のように言う。
それがおかしくてわたしとお母様はクスリと笑い
お父様の頰にキスを落とした。

「アルフレッド 大好きよ
 お父様       だよ」

こうしてボスとの生活が始まったのだった。







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