クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

文字の大きさ
65 / 287

旅立ち! 目指せ無人島! 船旅かと思いきや...まさかの!

しおりを挟む
 翌日。
 必要な装備を全て整え、外へ向かった。

「じゃあ、行ってくる」
「了解! 気を付けてね……って、変かもだけど、気を付けてね」
「ああ、ありがとう、リコ」

 他のみんなとも挨拶を交わし、俺は天音の手配してくれたマイクロバスに装備一式を積載していく。

 運転手も天音父の会社の関係者らしく、爽やかなオジサンだった。信用はできると言っていたので、大丈夫だろう。

 リュック等を積み込み終わり、バスへ乗車した。

 バスは港へ向かっていく。
 北上の借りたという『漁船』へ乗り、無人島へ向かうのだ。

 指定した場所へ向かうバス。


 やがて海が見えてきた。


「……もう直ぐ到着です」
「北上さん、なんだか楽しそうだね」
「ええ、久しぶりにワクワクしています。あたしは基本、野生児なので」

 なるほどね。
 その気持ち、分からないでもない。
 今回は旅行に行くのとは違うし、お宝目当てなので冒険だ。少しは楽しいことがあるといいけどなぁ。

 祈るようにしていると、やがてバスは港に――あれ?

 港を避けちゃった。

「ねえ、北上さん。港から離れてない?」

 天音の言う通りだ。
 船で行くのではなかったのか?


「ああ、漁船と言っていましたが……アレは嘘です」

「「はぁ!?」」


 後部座席に座る大伊、琴吹、草埜も驚いていた。
 みんな船で行くと思っていたからな。

 バスは山の方へ向かっていく。

 どこへ行くつもりだ?
 てか、そっちに行っても無人島へ行けないじゃないか。

 そう思っていたが、ある場所が見えてきた。


「……ここって、まさか」
「琴吹さん、知ってるのか」
「早坂くん、ここ来たことないの? この先には『空港』があるんだよ」

「く、空港!? マジか。知らなかったよ」


 普段こんな山の方なんて来ないからな。
 バスは坂道を登り続け、三十分ほど走り続けた。やがて、空港が見えてきた。……あれか。


「到着です。みなさん、飛行機に乗ってください」

「「ひ、飛行機!?」」


 北上以外、全員が驚くしかなかった。
 まてまて、当初の予定と違い過ぎる。漁船はどこ行った!?

 空港で降りて、荷物を降ろしていく。

「ね、ねえ……早坂くん」
「どうした、琴吹さん」
「絆から、このこと聞いてた?」
「いや、たった今知った」
「……相変わらずの秘密主義かぁ」
「そうなのか」
「うん。秘密にするの大好きだからね、絆って」

 秘密ねえ、なにかとんでもない秘密もあったら困るんだけどな。
 とにかく荷物を持ち、空港の中へ。

「北上さん、ひとつ聞きたいのだが飛行機では無人島へ行けないんじゃ?」
「プライベートジェットですよ」
「プライベートジェット!?」
「はい。父の知り合いの軍人に依頼したんですよ。十人ほど乗れる大きいヤツですよ」

 凄すぎだろ、それ。
 天音もその手があったのかぁ……と、ちょっと惜しそうにしているし。まさか、天音の家にもプライベートジェットがあるのか……そこまで金持ちなのか。

 専用の通路を歩き、飛行機へ向かう。

 すると、プライベートジェット機の前に立つ軍人らしきサングラスの男がいた。

「待っていたよ、キズナ」
「お久しぶりです、マーカス。直ぐ飛べますか?」
「ああ、準備は万端さ。これでメンバーは全員か?」
「はい。紹介は省きますが、お宝探しの仲間です。マーカス、これからお願いします」


 マーカスという軍人は、俺の方へ向かってきた。握手を求めてきた。……うわ、筋肉ムキムキでおっかねぇ。明らかにアメリカ人っぽいな。しかも、日本語が流暢だ。


「君がハヤサカだね」
「……そ、そうですが、なぜ俺の名前を?」

「知ってるさ。キズナから散々聞かされたからね」

 そうだったのか。俺のなにを話したのやら。

「俺からもよろしくお願いします」
「任せてくれ。これでも本国アメリカでは輸送機パイロットでね。湾岸戦争やアフガンで戦ったことがある」

 ガチの軍人じゃないか。
 ということは『アメリカ空軍USAF』所属……すげえや。本物と初めて会った。

「大変心強いです。我々をどうか無人島まで運んでください」
「よし、さっそく出発しよう」


 俺たちはプライベートジェットに荷物を運んでいく。


「わぁ、私……飛行機は始めて」
「そうなのかい、草埜さん」
「ていうか、早坂くんって落ち着きすぎじゃない!? なんでそんな冷静でいられるの。私、てっきり船かと思っていたのに……いきなり飛行機とかさ」

 俺だってビビってる。
 いきなり空港に連れてこられて、いきなり本物の軍人が現れて……意味わかんねぇよ。北上さんが何を考えているのかもな。

 だけど、船で行くよりは安全かもしれない。

 そう、流される心配がないからだ。

 転覆とかそういうリスクがないし。
 飛行機なら飛ぶだけだ。
 落ちることさえなければ、なんてことはない。

 むしろ、空の旅なんて想定外だったから、ちょっと楽しみだ。

 プライベートジェットの中はなかなか広かった。座席が八はあった。俺は真ん中あたりの窓際に座った。すると、隣を巡って女子たちが言い争っていた。

「おいおい、みんな。ケンカしている場合じゃないだろ。公平にじゃんけんだ」

「仕方ないね。早坂くんの言う通り、じゃんけんにしましょ」


 天音が絶対に勝つと闘志を燃やしていた。


 ――じゃんけんの結果……。


 俺の隣は北上となった。
 勝負事は本当に強いな。


「やりました」


 普段は見せないようなドヤ顔で勝ち誇っていた。
 他のみんなは悔しそうにそれぞれの席へ。

 飛行機はついに滑走路を走る。

 ……おぉ、重力を感じ始めてきた。

 いよいよ飛ぶのか。


「北上さん、よく飛行機を手配できたね」
「実を言うと漁船の方は不穏な動きがあったのですよ」
「不穏な動き?」

「ええ、なにやら我々を嗅ぎまわっている連中がいるようです。危険と判断して、止めました」

「そういうことだったのか。それで飛行機か」
「はい。こちらの場合、費用が掛かるので……できれば避けたかったのですがね」

 それもそうか。
 プライベートジェットを動かすだけで、何十万、何百万と掛かりそうだ。どうやら、北上は財宝で賄うつもりらしいが……払えなかったらどうするんだよ。

 そして、ついに飛行機は空へ飛び立った。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...