176 / 287
反撃の一撃
しおりを挟む
千国爺さんの頼みを受け入れ、俺は部屋へ戻った。
万由里さんはまた後で合流するということで、いったんは別れた。
「綺麗な人だったね、早坂くん」
「え……ああ、まあ」
「むぅ!」
「天音、顔が怖い」
「だって!」
気持ちは分かるけど、千国爺さんの頼みとあっては断れない。けど、天音の機嫌も直してやらないとな。今後が危険だ。
「落ち着けって、天音。まずは昼ご飯にしよう。ほら、なんでも好きなのをウーハーイーツで頼んでいいぞ」
「ほんと~?」
「ほんとほんと」
「じゃあ、おっけ~」
案外簡単に機嫌を直してくれた。ふぅ。
ていうか、こんな危険なところにウーハーイーツ来てくれるのかな……?
自室へ戻り、俺は昼飯を頼んでいく。
北上さんや千年世、他のメンバーも分も注文した。
さすがに人数分ともなると時間が掛かりそうだ。
一時間後、注文した品が届いた。
玄関に向かうと、配達員の男が立っていた。俺は飯を受け取ろうとした――が。配達員の様子がおかしかった。
「……」
「あ、あの……受け取っても?」
「見つけたぞ、早坂 啓」
「へ……」
「死ねええええええええええ!!!」
配達員は懐から銃を取り出して――って、ヤベェ!!!
取り出される前に俺は護身術で、男の銃を弾き飛ばした。
「おりゃああああッッ!!」
「――がぁッ!?」
そうか……コイツは配達員を装った“刺客”だったのか。どこから情報が漏れたか知らんが、油断していたな。
「お前、ロシア人か!」
「……あぁ、そうだ。お前を殺し、あの方に首を捧げる!」
日本語を流暢に話すロシア人。
今度はナイフを取り出す。
素早い攻撃を繰り出してくるが、俺は回避した。
「訓練を受けている割りにたいしたことないな」
「くそっ! お前本当に人間か!」
「悪いが人間だ。そして、お前がナイフなのに対して……俺は銃だ」
「……!! スターム・ルガーSP101……」
「そうだ。これが俺の今の相棒さ」
引き金を引こうとするが、男は両手を挙げた。
「…………」
「降参とはなんのつもりだ」
「命が惜しいのさ。俺を捕虜にしろ」
「ふざけんな。お前たちロシア人は、俺と天音の命を狙い、ホテルを爆撃しようとさえした。そんなテロ組織に慈悲など必要はない。だから……」
「や、やめろ……!! 俺を殺せば組織の情報は手に入らないぞ……!!」
「どうせ向こうは俺たちを監視しているんだろ? なら、いつか勝手に現れるはずだ。お前のようにな」
「やめろ! やめろ!! やめろおおおおおおおおおおおお!!」
俺は、男に向け手スターム・ルガーの引き金を引いた。
放たれる弾丸は避けようもなく、彼の胸部に命中。倒れて――息絶えた。
「これが俺の“覚悟”だ」
今後、ロシア人が戦争のように攻め込んできたとしても、俺は戦う。
直後、櫛家から黒服が多数駆けつけてきた。
「大丈夫ですか、早坂様」
「大丈夫だ。それより、この不法侵入してきたロシア人の死体を片付けてくれ」
「分かりました。……おっと、これは男の身分証のようです」
死体をまさぐって黒服は、身分証を俺に渡してきた。もちろん、ロシア語でさっぱりだ。読める者を探して翻訳してもらうか。
――となると、北上さんあたりか。
和室へ戻ると全員が心配そうに俺に視線を送ってきた。
「早坂くん! 玄関でなにがあったの?」
「ロシア人に襲われたんだ、天音」
「え!?」
「大丈夫だ。先に排除した」
「そ、そう……。ケガはない?」
「ない。それより、北上さんにこれを翻訳して欲しい」
玄関で拾った身分証を渡す。
「ロシア語ですね」
「さっき倒した男の身分証だ。名前とか所属とか分からないか?」
「名前はヴァーシリーですね。所属はNKVDです」
「は……? まて、北上さん! NKVDはソ連時代の秘密警察だろ!?」
「その通りです。しかし、そう書かれています」
そんな馬鹿な。
ネットで調べてみると、1946年に解散しているぞ。
まさか、秘密裏に復活していたのか……?
万由里さんはまた後で合流するということで、いったんは別れた。
「綺麗な人だったね、早坂くん」
「え……ああ、まあ」
「むぅ!」
「天音、顔が怖い」
「だって!」
気持ちは分かるけど、千国爺さんの頼みとあっては断れない。けど、天音の機嫌も直してやらないとな。今後が危険だ。
「落ち着けって、天音。まずは昼ご飯にしよう。ほら、なんでも好きなのをウーハーイーツで頼んでいいぞ」
「ほんと~?」
「ほんとほんと」
「じゃあ、おっけ~」
案外簡単に機嫌を直してくれた。ふぅ。
ていうか、こんな危険なところにウーハーイーツ来てくれるのかな……?
自室へ戻り、俺は昼飯を頼んでいく。
北上さんや千年世、他のメンバーも分も注文した。
さすがに人数分ともなると時間が掛かりそうだ。
一時間後、注文した品が届いた。
玄関に向かうと、配達員の男が立っていた。俺は飯を受け取ろうとした――が。配達員の様子がおかしかった。
「……」
「あ、あの……受け取っても?」
「見つけたぞ、早坂 啓」
「へ……」
「死ねええええええええええ!!!」
配達員は懐から銃を取り出して――って、ヤベェ!!!
取り出される前に俺は護身術で、男の銃を弾き飛ばした。
「おりゃああああッッ!!」
「――がぁッ!?」
そうか……コイツは配達員を装った“刺客”だったのか。どこから情報が漏れたか知らんが、油断していたな。
「お前、ロシア人か!」
「……あぁ、そうだ。お前を殺し、あの方に首を捧げる!」
日本語を流暢に話すロシア人。
今度はナイフを取り出す。
素早い攻撃を繰り出してくるが、俺は回避した。
「訓練を受けている割りにたいしたことないな」
「くそっ! お前本当に人間か!」
「悪いが人間だ。そして、お前がナイフなのに対して……俺は銃だ」
「……!! スターム・ルガーSP101……」
「そうだ。これが俺の今の相棒さ」
引き金を引こうとするが、男は両手を挙げた。
「…………」
「降参とはなんのつもりだ」
「命が惜しいのさ。俺を捕虜にしろ」
「ふざけんな。お前たちロシア人は、俺と天音の命を狙い、ホテルを爆撃しようとさえした。そんなテロ組織に慈悲など必要はない。だから……」
「や、やめろ……!! 俺を殺せば組織の情報は手に入らないぞ……!!」
「どうせ向こうは俺たちを監視しているんだろ? なら、いつか勝手に現れるはずだ。お前のようにな」
「やめろ! やめろ!! やめろおおおおおおおおおおおお!!」
俺は、男に向け手スターム・ルガーの引き金を引いた。
放たれる弾丸は避けようもなく、彼の胸部に命中。倒れて――息絶えた。
「これが俺の“覚悟”だ」
今後、ロシア人が戦争のように攻め込んできたとしても、俺は戦う。
直後、櫛家から黒服が多数駆けつけてきた。
「大丈夫ですか、早坂様」
「大丈夫だ。それより、この不法侵入してきたロシア人の死体を片付けてくれ」
「分かりました。……おっと、これは男の身分証のようです」
死体をまさぐって黒服は、身分証を俺に渡してきた。もちろん、ロシア語でさっぱりだ。読める者を探して翻訳してもらうか。
――となると、北上さんあたりか。
和室へ戻ると全員が心配そうに俺に視線を送ってきた。
「早坂くん! 玄関でなにがあったの?」
「ロシア人に襲われたんだ、天音」
「え!?」
「大丈夫だ。先に排除した」
「そ、そう……。ケガはない?」
「ない。それより、北上さんにこれを翻訳して欲しい」
玄関で拾った身分証を渡す。
「ロシア語ですね」
「さっき倒した男の身分証だ。名前とか所属とか分からないか?」
「名前はヴァーシリーですね。所属はNKVDです」
「は……? まて、北上さん! NKVDはソ連時代の秘密警察だろ!?」
「その通りです。しかし、そう書かれています」
そんな馬鹿な。
ネットで調べてみると、1946年に解散しているぞ。
まさか、秘密裏に復活していたのか……?
5
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる