あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗

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【244】 レベル売買の価値

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 今や故郷である帝国・レッドムーンを離れてから久しぶりの冒険旅。目指すは未知の『バイオレットダンジョン』なのだが、最近発見されたばかりで極端に情報が少ない。

 今のところ判明しているのは【中立国・サテライト】付近に出現したという情報と、そのダンジョンのボスモンスターが謎の力『星力テア』を持つという噂。

 あるギルドが挑んでボスモンスターの解析だけ成功したらしく『エレメント』を落とすという事実が発覚した。


「てか、エレメントって何だよ」
「えー、お兄ちゃん。エレメントを知らないのー!」
「知らん。詳しく」

「えっとね、情報だけなんだけど~」


 ――と、ミーティアは大賢者の杖『インフィニティ』を召喚し、振うと『緑色の魔導書』を更に召喚した。なんだその器用な真似。


 それがペラペラっと……自動でめくれたわけだが、こんな芸当が出来たのか。ダークエルフ特有のスキルなのかもしれないな。


 そして、その詳細ページが現れた。なるほど、この魔導書は『アイテム図鑑』って所だろうか。ミーティアのヤツ、趣味で色々集めているって言っていたけど、これだったとは。


[アイテム:エレメント]
[分類:元素 / 補助]
[説明:あらゆる武具の素材となるエンチャント素材。この【エレメント】を使用して武器を精錬した場合、スキルの攻撃力を上昇させる。防具の場合、スキル耐性を上昇させる]

[武器のスキル攻撃力上昇:20%アップ]
[防具のスキル耐性上昇:20%アップ]


 図鑑にはそう書かれていた。
 そういう事か!

 冒険者がこぞって新ダンジョンに挑戦している理由は間違いなくこの『エレメント』のせいだろう。こんな素材アイテムが手に入れば強くなれるだけじゃない……金持ちにもなれる。


「こりゃ凄いな。スキル自体の攻撃力と耐性がアップするんだな」
「うん。だからね、今、その『バイオレットダンジョン』って、凄い混雑しているんだってさ。でも、ボスモンスターが強すぎて誰も倒せないとか何とか。そこでお兄ちゃんの出番じゃない!?」


 そうワクワクした瞳を俺に向ける妹。

 マテマテ。俺がいくらレベルを操れると言っても『商人』である。もう一度言う。戦闘向けではない『商人』なのである。騎士でも戦士でもないのだ。


 正直、めんどくさ――


「……うぅ」


 ミーティアが泣き出しそうになっていた。
 瞳をウルウルさせて……あぁ、人の心読んだな。ミーティアは、そういう読心術に長けているようだった。何かのスキルだろうな。

 最近では、世界最強ギルドだったシャロウのメンバーであるコレリックのスキルすらも習得してしまったようだしな。なんだっけ――『ラディウス』だったか。


「分かった分かった。今回は、ミーティアの提案だしな。たまには皆で何処かへ行って楽しむのもいいだろう。それに、その『エレメント』は興味深いな。そんな凄いアイテムが眠っていたとは。
 こりゃ、まだ誰も倒せていないボスモンスターを倒してやるのも面白いかもな」


「そうだよ! 一番乗り出来れば名も上がるし、お兄ちゃんのレベルを求めてくるお客さんも増えるかもよ!?」


 ニマッとミーティアは、的を得た発言をした。それもそうか! ここで俺がズバッと新ボスモンスターをぶっ倒せば、それだけで話題になる。話題になるという事は、それだけ知名度もアップ。つまり、イルミネイトの宣伝になるわけだ。


 そうなれば、最近は落ち着いて来た『レベル』も飛ぶように売れるかもしれない。そうだ、これはただの遠征じゃない。俺や皆、お店の為なんだ。


「ミーティア、よくぞここまで引っ張ってくれた。お前は最高の妹だよ」
「ううん、まだめるのは早いよ! これから、中立国・サテライトの何処かを探さなきゃだから、情報を集めないとねっ」


 その通り。まだ情報が少なすぎる。
 この『セイフの街』なら冒険者も多いし、明日、歩き回って情報をき集めるのも良いかもしれない。いや、そうしよう。さっさと向かわないと、ボスを討伐されちまうかもだからな。


「よーし! 目標は定まったな。ルナとソレイユとも情報を共有する。……と、言っても二人ともお風呂だからな」

「それまで甘えていい!?」
「仕方ないな。いいぞ、おいで」
「わーい! お兄ちゃん、大好き~」


 ご機嫌な妹から抱きつかれ、俺は可愛がりまくった。思えば帝国からノリで飛び出した時は、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ後悔もあった。大切な商売を投げ出してまでどうかとも思ったさ。でも、今は心より楽しいって思えた。

 忘れかけていた探求心を俺は取り戻しつつあったからだ。ああ、そうだ、商人ってのは安定した日々を手に入れちまうとついつい失敗リスクを恐れ、保守的になっちまう。


 それじゃあダメだ。


 俺の『レベル売買』が如何に価値あり、重要なのかをもっと世に知らしめる為にも、今回の新ダンジョン攻略は避けて通れない修羅道となろう。


 俺は決心した。


 レベルの在庫を『100万』にすると――。
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