ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗

文字の大きさ
29 / 47

第29話 全身をメッタ刺し(愛)

しおりを挟む
 重大なことに二つ・・気づいてしまった。

「そういえば、パパさんって遥のメイド服に何も言わなかったな」
「そ、そうだね。もしかするとだけどパパと一緒に住んでいた時、日常的にコスプレしてたからかも」

「え? そうなのか?」

「うん。ほら、オタク女子の友達がいるって言ったでしょ。その子に頼まれてよくメイド服を着ていたから」

 そのオタク女子は、いったい何者なんだ。仮にもお嬢様である遥に同人誌を見せたりしているようだけど。でも、納得した。そうか、それで遥のパパさんは気にしていなかったのか。

 さて、あともう一つ・・・・だ。

「俺の飯が食われてしまった」

「そうだ、パパが食べちゃったから……う~ん。分かった、わたしのと半分こしようよ」

「いいのか?」
「うん、いいよ。一緒に食べよう」

 手招きされて、俺は遥の横に座る。遥は、直ぐに“あ~ん”をしてきた。レンゲには、黄金チャーハン。なるほど、そう来たか。

 もちろん、ありがたく頂く。

 ぱくっと食し、幸せと共に噛みしめる。次第に涙がボロボロあふれて俺は泣いた。さっきの遥パパさんのようにナイアガラの滝状態だ。


「うまっ……」
「遙くん、泣きすぎ~。じゃあ、今度はわたしに“あ~ん”して」

「なっ! 俺が遥に?」
「うん、わたしにも食べさせて」

「そんな甘えた声で強請ねだられると断れないな」


 俺が作った料理を遥に“あ~ん”して食べさせてあげられるなんて、なんたる僥倖ぎょうこう。ハッピー! 断る理由なんてない。

 今度は俺がレンゲを手にし、パラパラのチャーハンをすくう。適量を乗せ、そのまま遥の口元へ。

 ゆっくりとゆっくりと近づけ、零さないよう緩慢かんまんな動作で近づけていく。優しく、そっと――けれど確実に。


「あ~ん……うんうん。美味しいっ!」
「口に合って良かった。ほら、味付けが濃いだろ。これ、親父から教わった秘伝だから、男好みっていうかね」

「濃い方が好き。それに“あ~ん”してもらったから、余計に美味しく感じたよ。遙くんの料理を食べれて、わたし幸せ」


 ほっぺたが落ちるような笑顔。どうやら満足いただけたようだ。それから、食べさせ合いっこは続き――特製中華そば共々完食。お腹はすっかり満たされた。


 * * *


 疲労がピークに達している。

「――ふぅ」

 湯船に浸かり、溜まりにたまった疲れを癒す。今日は恐ろしい程に色々あった。今までこんなトラブルに見舞われた一日はなかった。

 教頭に生徒会長に、風紀委員長。そして、遥のパパさん。これから、一体どうなってしまうんだろうと想像もつかない。せめて、この生活だけは邪魔されないよう心がけねば。

『遙くん、湯加減どう~?』

 遥だ。脱衣所越しで聞いてきた。

「丁度いい湯だよ。悪いけど、もう少し入らせてくれ」
『うん、わたしも今入るからね』

「……はい!?」

『大丈夫。ちゃんと水着をつけるから』
「あ、ああ……」

 しばらくして水着姿の遥が現れた。黒色の紐付ひもつきビキニ。シンプルだが――遥が着ると凄まじくエロスを感じた。グラビアアイドルかよっ。


「お待たせ、遙くん。あれ、スマホで何見てるの? まさか、えっちなサイトじゃないよね」
「目の前に現役女子高生がいるんだぞ。その必要ないし」

「あー、そか。って、遙くん、わたしをオカズにしてるの!?」
「バ、バカ! そんなわけあるか!」
「え、別にいいのに。ほらほら、谷間~」

 うわっ、近っ!
 たゆんたゆんの胸が目の前で暴走していた。な、なんて光景だ。水着越しとはいえ、破壊力が凄まじい。

「は、はしたないぞ遥。もっと見せろ」
「遙くんのえっち。でもいいよ、いっぱい見てね」
「お、おう……ぶくぶくぶく」

 まったく、下半身がそれどころじゃないってーの。ジロジロ見るわけにもいかず、俺はスマホに視線を向けた。

「そういえばさ、遙くんって生徒会長さんと仲良かったっけ」

「ん。いやー、話したことなかったけどな。今日、突然話しかけられて俺もビビったよ。あの高嶺たかねの花とか言われてる生徒会長が俺に興味を持つとか、どうなってるんだ」

「なんか遙くんって、わたしと結婚してから妙にモテるようになったよね」
「なんでだろうな。俺も不思議だよ」

「可愛い女の子ばかり近寄ってくるし……浮気したら、問答無用で容赦なく刺すから」

「え」

「誰かに奪われるくらいなら、遙くんの全身をメッタ刺しにして、わたしも最期に死ぬの」

 腕を丁寧に洗いながら、遥は“病む病む”を発動。最近、どんどん悪化しているような。こりゃ、下手な行動は死を招くな。


「ひとつ教えてくれ、遥。どうして、そんなおっかない行動をするんだ」
「……だって、遙くんを誰かに取られちゃったら生きていけないもん。それが他人の女とか絶対に許せない。だったら、遙くんも相手の女も抹殺まっさつする」

「抹殺すなー! いや、けど……そこまで言ってくれるのか。嬉しすぎるよ、それ」

「うん。プロポーズされたあの時から、わたしはずっと遙くんばかり見てる。日常が大きく変わって、毎日がドキドキ。一緒にいると楽しいの。だから、離れてると辛いし、遙くんのことが気になって不安になっちゃう」


 なんだ、気持ちは一緒だったんだな。それを聞けて俺は安心した。俺も近頃は、遥に依存しつつあったんだ。

 ……そうか、日に日に気持ちが変化しているし、強くなっていたんだな。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

義妹と旅する車中泊生活

桜井正宗
青春
 義妹の『歩花』(あゆか)は、兄である大学生の『回』(カイ)が大好きで、どこでもついて行く。ある日、回が普通自動車免許を取った。車を買うお金はなかったけれど、カーシェアリングでドライブへ出かけた。帰りに歩花が宝くじを購入。それが高額当選した。そのお金でキャンピングカーを買い、大好きな兄へ送った。  回は、夏休みを利用して可愛いJK義妹と共に全国を巡る旅に出る――。 ※カクヨムでも掲載中です

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...