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第30話 生徒会長の猛反撃
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熱々の風呂から上がってベッドへ直行すれば、瞼が急激に重くなった。遥はまだお風呂。上がってくるのに、まだ時間が掛かりそうだ。
ウトウトしていると――俺は、我慢しきれず寝落ち。眠ってしまった。
至って普通の朝を迎え、何事もなく通学。今日こそは普通の日常を送れるはず。遥とラブラブな学生生活を楽しめる。そう信じていたのだが……遥は、朝っぱらから面談があるらしく、離れ離れになった。なんの面談だよ。
苛立っていると、ついに昼休みを迎えた。遥のヤツ、戻ってこないじゃないか。
さすがに心配になっていると、教室に長い赤髪を靡かせる生徒会長がズカズカとやってきた。こっちへ直行コースだぞ。
会長はニヤリと笑うと、俺の前にズンズンと詰め寄ってきて、顔を近づけてきた。……だから、顔近いって。なんでそんなキスの距離感なんだ。
「な……なんです?」
「天満くん、私の愛人になりなさいよ」
「はい!?」
いきなりなんだ。
この前はペットになれだとか足を舐めろだとか、この人、ぶっ飛びすぎだろう。
「ただの挨拶よ」
「そんな挨拶あるかっ! ……って、用件はなんですか」
「小桜さんの姿がないでしょ」
「な、なんで生徒会長が知っているんですか」
「その前に待って。私と天満くん、同級生よ。敬語じゃなくていい」
「……分かった。で、遥の何を知っているんだ」
聞き返すと、生徒会長こと深海は俺の腕を引っ張った。うわ、いきなり。この人、やることなすこと突然だな。
強引に廊下へ引っ張られ、今度は壁ドンされた。なぜにっ。
「天満くん。私を信じる?」
「信じるも何も、会長の考えていることがよく分からない。俺をからかって何が楽しいんだ」
「からかっているつもりはないの。私っていつでも真剣なの。そうでなければ、生徒会長なんてやってないわ」
今のところ何が言いたいのかサッパリ分からない。……だけど、なんだろう。この自信に満ちた顔。物凄く頼り甲斐のあるオーラ。ついて行きたいと思う謎の信頼感、カリスマ性。
よく分からんけど、もしかしたら、遥に繋がる情報を持っているのか。
「分かった。会長を信じるよ」
「……ふっ、良い返事ね。それじゃあ、生徒指導室へ参りましょうか」
また腕を引っ張られ、なぜか生徒指導室へ連行されていく。おいおい、なんでそんな物騒なところへ?
どんどん住んでいくと、部屋の前についた。すると、なんだか重苦しい空気に包まれていた。なんだ、何が起きている。
生徒指導室の中へ入ると、そこには遥がいた。
「なっ!」
教頭と風紀委員長の椎名、それに……あの優男は、まさか!
「――だから、わたしは普通に遊んでいただけです!」
なにかを必死に叫ぶ遥。
俺が部屋の中に入ると、静まり返った。
「な、なんで教頭とか風紀委員長が……それに、お前!」
そう、学校にいるはずのない男がいたのだ。そいつは遥のお見合い予定だった『田村 聯太郎』だった。なんでここにいるんだ。
「僕は何度も申し上げましたよ。昨日、遥さんが誰かとカラオケ店へ入り、いかがわしい行為をしていたとね!!」
コイツ……昨日、つけていたのか。しかも、キスシーンを目撃していたのか。って、まさか、椎名の他に、この田村ってヤツも尾行していたのかよ。
田村の発言を聞いた教頭はうなずく。
「それはいけませんね。小桜さん、もしがこれが事実なら大変ですよ。学校帰りにそんな言えないような行為をしていたと発覚すれば大問題。退学処分も考えねばなりません」
「え……」
大柳教頭は、やっぱり敵か。
どこで会ったか知らないけど、昨日にでもこの田村と意気投合したってところか。
「それで田村くん。小桜さんは、誰といかがわしい行為をしていたのかな。是非、事細かに聞かせて欲しい」
「――いや、それが通路も部屋も薄暗くて、相手の顔までは……だけど、犯人は分かっていますよ。そこの天満ってヤツでしょう!」
名指しされ、俺に注目が集まる。
まあ、当然そういう流れになるよな。
結婚しているという情報は、この田村と教頭だけが知っている。つまり、田村が俺を犯人呼ばわりするのは自然。だけど、椎名と会長は知らない。この状況が吉と出るか……凶と出るか。
教頭は、険しい視線を俺に向けた。
「そうなのか、天満くん」
「そ、それは……」
これは素直に言うしかないのか。いや、事実だけど……認めれば、遥は退学になってしまう? 嫌だ。そんなのは絶対に。
だけど、それじゃあ……遥の相手は誰だったんだって話にもなるのか。どちらにしても逃げられない……?
教頭のヤツ、このことを見越して大事にしたのか。そうか、俺が認めようが認めまいが、遥を追い込む気だ。
俺と別れさせる気なのか!?
――クソッ、クソ、クソォ!!
冷や汗を垂らし、手汗を握っていると……突然、ありえないほど大きな音が響いた。扉を『バン!』と叩いたんだ。あの……生徒会長が。
「失礼。教頭先生、その犯人は私なんです」
「「「「「はあ!?」」」」」
俺も遥も、教頭も椎名も……あの田村でさえも驚いていた。いったい、何を言うんだ、この会長!
「深海さん、なにを言い出すんだね」
「私、小桜さんと友達なんです。だから昨日の帰りは一緒にカラオケへ行ったんですよ。……それで、ちょっと気分が高まっちゃってキスしたんです。そう、私は女の子が好きなです」
な、な、なんですとー!?
いやいや、冷静になれ俺。これは会長の嘘だ。俺と遥の為に、わざわざ自分の名誉を顧みずとった行動。……すげぇや、尊敬する。
「し、しかし……女の子同士とは……」
「なんです、教頭先生。今はご時世、普通のことはありませんか。それを否定なされると!?」
「ぐっ、ぐぬぬ……。そんな真剣な眼差しで申されては信じるほかあるまい」
あの威圧的だった教頭が黙ってしまった。会長すげぇ……。田村も『そうだったの!?』的な目線を遥と会長に送っていた。あーあ、頭抱えてるよ。
「それじゃ、あたしが昨日見たキスシーンは……小桜さんと会長だったのぉー!?」
椎名も慌てふためく。
……はぁ、会長のおかげで俺と遥はなんとか危機を脱した。それにしても、どうして助けてくれたんだかな。
メリットなんて何一つないはずなのに。
会長は、俺の肩に手を置く。
で、小声でこう言ったんだ。
「信じる者は救われるの。天満くん、私ね、貴方を本気で気に入っているの。なぜかって? 捨てられた子犬みたいだからね。可哀想な子を拾いたくなっちゃう性分なの」
俺って、そういう対象だったのかよ。なんだか会長って特殊性癖の持ち主なのかもしれない。変な人だけどなんだか憎めないし、後味の悪さもない。
とんでもないのに好かれちゃったな。
ウトウトしていると――俺は、我慢しきれず寝落ち。眠ってしまった。
至って普通の朝を迎え、何事もなく通学。今日こそは普通の日常を送れるはず。遥とラブラブな学生生活を楽しめる。そう信じていたのだが……遥は、朝っぱらから面談があるらしく、離れ離れになった。なんの面談だよ。
苛立っていると、ついに昼休みを迎えた。遥のヤツ、戻ってこないじゃないか。
さすがに心配になっていると、教室に長い赤髪を靡かせる生徒会長がズカズカとやってきた。こっちへ直行コースだぞ。
会長はニヤリと笑うと、俺の前にズンズンと詰め寄ってきて、顔を近づけてきた。……だから、顔近いって。なんでそんなキスの距離感なんだ。
「な……なんです?」
「天満くん、私の愛人になりなさいよ」
「はい!?」
いきなりなんだ。
この前はペットになれだとか足を舐めろだとか、この人、ぶっ飛びすぎだろう。
「ただの挨拶よ」
「そんな挨拶あるかっ! ……って、用件はなんですか」
「小桜さんの姿がないでしょ」
「な、なんで生徒会長が知っているんですか」
「その前に待って。私と天満くん、同級生よ。敬語じゃなくていい」
「……分かった。で、遥の何を知っているんだ」
聞き返すと、生徒会長こと深海は俺の腕を引っ張った。うわ、いきなり。この人、やることなすこと突然だな。
強引に廊下へ引っ張られ、今度は壁ドンされた。なぜにっ。
「天満くん。私を信じる?」
「信じるも何も、会長の考えていることがよく分からない。俺をからかって何が楽しいんだ」
「からかっているつもりはないの。私っていつでも真剣なの。そうでなければ、生徒会長なんてやってないわ」
今のところ何が言いたいのかサッパリ分からない。……だけど、なんだろう。この自信に満ちた顔。物凄く頼り甲斐のあるオーラ。ついて行きたいと思う謎の信頼感、カリスマ性。
よく分からんけど、もしかしたら、遥に繋がる情報を持っているのか。
「分かった。会長を信じるよ」
「……ふっ、良い返事ね。それじゃあ、生徒指導室へ参りましょうか」
また腕を引っ張られ、なぜか生徒指導室へ連行されていく。おいおい、なんでそんな物騒なところへ?
どんどん住んでいくと、部屋の前についた。すると、なんだか重苦しい空気に包まれていた。なんだ、何が起きている。
生徒指導室の中へ入ると、そこには遥がいた。
「なっ!」
教頭と風紀委員長の椎名、それに……あの優男は、まさか!
「――だから、わたしは普通に遊んでいただけです!」
なにかを必死に叫ぶ遥。
俺が部屋の中に入ると、静まり返った。
「な、なんで教頭とか風紀委員長が……それに、お前!」
そう、学校にいるはずのない男がいたのだ。そいつは遥のお見合い予定だった『田村 聯太郎』だった。なんでここにいるんだ。
「僕は何度も申し上げましたよ。昨日、遥さんが誰かとカラオケ店へ入り、いかがわしい行為をしていたとね!!」
コイツ……昨日、つけていたのか。しかも、キスシーンを目撃していたのか。って、まさか、椎名の他に、この田村ってヤツも尾行していたのかよ。
田村の発言を聞いた教頭はうなずく。
「それはいけませんね。小桜さん、もしがこれが事実なら大変ですよ。学校帰りにそんな言えないような行為をしていたと発覚すれば大問題。退学処分も考えねばなりません」
「え……」
大柳教頭は、やっぱり敵か。
どこで会ったか知らないけど、昨日にでもこの田村と意気投合したってところか。
「それで田村くん。小桜さんは、誰といかがわしい行為をしていたのかな。是非、事細かに聞かせて欲しい」
「――いや、それが通路も部屋も薄暗くて、相手の顔までは……だけど、犯人は分かっていますよ。そこの天満ってヤツでしょう!」
名指しされ、俺に注目が集まる。
まあ、当然そういう流れになるよな。
結婚しているという情報は、この田村と教頭だけが知っている。つまり、田村が俺を犯人呼ばわりするのは自然。だけど、椎名と会長は知らない。この状況が吉と出るか……凶と出るか。
教頭は、険しい視線を俺に向けた。
「そうなのか、天満くん」
「そ、それは……」
これは素直に言うしかないのか。いや、事実だけど……認めれば、遥は退学になってしまう? 嫌だ。そんなのは絶対に。
だけど、それじゃあ……遥の相手は誰だったんだって話にもなるのか。どちらにしても逃げられない……?
教頭のヤツ、このことを見越して大事にしたのか。そうか、俺が認めようが認めまいが、遥を追い込む気だ。
俺と別れさせる気なのか!?
――クソッ、クソ、クソォ!!
冷や汗を垂らし、手汗を握っていると……突然、ありえないほど大きな音が響いた。扉を『バン!』と叩いたんだ。あの……生徒会長が。
「失礼。教頭先生、その犯人は私なんです」
「「「「「はあ!?」」」」」
俺も遥も、教頭も椎名も……あの田村でさえも驚いていた。いったい、何を言うんだ、この会長!
「深海さん、なにを言い出すんだね」
「私、小桜さんと友達なんです。だから昨日の帰りは一緒にカラオケへ行ったんですよ。……それで、ちょっと気分が高まっちゃってキスしたんです。そう、私は女の子が好きなです」
な、な、なんですとー!?
いやいや、冷静になれ俺。これは会長の嘘だ。俺と遥の為に、わざわざ自分の名誉を顧みずとった行動。……すげぇや、尊敬する。
「し、しかし……女の子同士とは……」
「なんです、教頭先生。今はご時世、普通のことはありませんか。それを否定なされると!?」
「ぐっ、ぐぬぬ……。そんな真剣な眼差しで申されては信じるほかあるまい」
あの威圧的だった教頭が黙ってしまった。会長すげぇ……。田村も『そうだったの!?』的な目線を遥と会長に送っていた。あーあ、頭抱えてるよ。
「それじゃ、あたしが昨日見たキスシーンは……小桜さんと会長だったのぉー!?」
椎名も慌てふためく。
……はぁ、会長のおかげで俺と遥はなんとか危機を脱した。それにしても、どうして助けてくれたんだかな。
メリットなんて何一つないはずなのに。
会長は、俺の肩に手を置く。
で、小声でこう言ったんだ。
「信じる者は救われるの。天満くん、私ね、貴方を本気で気に入っているの。なぜかって? 捨てられた子犬みたいだからね。可哀想な子を拾いたくなっちゃう性分なの」
俺って、そういう対象だったのかよ。なんだか会長って特殊性癖の持ち主なのかもしれない。変な人だけどなんだか憎めないし、後味の悪さもない。
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