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第一章 幼少期
第二矢 町
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「…、…菊丸、芳菊丸!」
パチ
俺が目を覚まし顔を上げると、目の前に丸坊主の男が至近距離にいた。
(なんかデジャヴ…)
「カトセン…?」
「寝ぼけておるのか、拙僧は承菊じゃ。かとせんとやらではないぞ。」
(あ、そうだ。俺戦国時代にいるんだった。)
「では、ここをもう一度…」
転生してきてからはや一週間、俺は承菊とマンツーマンで勉強をしていた。
勉強といっても、現代のものとは全く違った。
言語学や哲学はもちろん、仏教哲学や法律などの難しそうな分野まで幅広い分野を学ぶのだ。だが、まだそれだけならよかった。
「てかさー俺、僧侶になるんだよね?」
「そうだが?」
「じゃあ何で明らかに僧侶になるのに要らなさそうなやつを学んでいるの?」
そう、俺はそれらに加えて武士が習うような兵法や剣術までもを学ぶはめになっているのだ。現代でも勉強嫌いだった俺にとっては唯一楽しいのは剣術だけだ。
「それはおぬしが国主の子だからじゃ。やはり、国主の子たるもの武士としての教養を身につけていた方がいいだろう。」
どうやら国主の子というのはなかなか面倒くさい役柄らしい。
(まあ、でも生きていくにはある程度は勉強しないとだしな。それに、護身術として剣術を覚えとけばどっかで役に立ちそう。)
俺は再び兵法書に目を通す。が、やっぱり理解できないものは理解できない。頭がショートしてふいっと兵法書から目を逸らした。
翌日、承菊は息抜きとして俺を町に連れ出してくれた。
緩やかな寺の坂を下りていき少し歩くと、にぎやかな町が見えてきた。町には、着物を来た老若男女がガヤガヤと大通り沿いにずらりと立ち並ぶ店に出入りをしていた。
(やっぱ俺、戦国時代に来てんだなあ…)
俺が改めて転生したことを実感していると、
「何を突っ立っておる。」
と、承菊が俺の手を引っ張って町へと入っていった。
「あれを食べよう。」
承菊は近くにあった団子屋へと俺を連れて行く。
「みたらし団子を二つくれるか?」
「あいよー。」
承菊は金を払い、みたらし団子を二本受け取る。
「ほれ。」
承菊はみたらし団子を一本俺に渡すと、みたらし団子をほおばりながら歩く。
俺も承菊に続いて、みたらし団子をほおばる。
口の中に甘みが広がる。
「おいしい。」
「ははは、そうであろう。あそこは拙僧のお気に入りなんだ。」
その後も呉服屋や茶屋などたくさんの店を回った。通り過ぎる人や店員は皆、戦乱の時代とは思えない明るい顔をしていた。
帰り道―
承菊は俺に話しかけていた。
「どうだ、戦乱の世とは思えんほど人々に笑顔があっただろう。」
「うん。」
「それもこれも、全ておぬしの父上が尽力なされたからだ。」
「父が?」
「ああ、この国は氏親様が定めた今川仮名目録という法によりどの国よりも治安がいい。誰が何を言おうが、おぬしの父上は国主として立派な方だ。」
そうして、俺たちは寺へと帰っていった。
パチ
俺が目を覚まし顔を上げると、目の前に丸坊主の男が至近距離にいた。
(なんかデジャヴ…)
「カトセン…?」
「寝ぼけておるのか、拙僧は承菊じゃ。かとせんとやらではないぞ。」
(あ、そうだ。俺戦国時代にいるんだった。)
「では、ここをもう一度…」
転生してきてからはや一週間、俺は承菊とマンツーマンで勉強をしていた。
勉強といっても、現代のものとは全く違った。
言語学や哲学はもちろん、仏教哲学や法律などの難しそうな分野まで幅広い分野を学ぶのだ。だが、まだそれだけならよかった。
「てかさー俺、僧侶になるんだよね?」
「そうだが?」
「じゃあ何で明らかに僧侶になるのに要らなさそうなやつを学んでいるの?」
そう、俺はそれらに加えて武士が習うような兵法や剣術までもを学ぶはめになっているのだ。現代でも勉強嫌いだった俺にとっては唯一楽しいのは剣術だけだ。
「それはおぬしが国主の子だからじゃ。やはり、国主の子たるもの武士としての教養を身につけていた方がいいだろう。」
どうやら国主の子というのはなかなか面倒くさい役柄らしい。
(まあ、でも生きていくにはある程度は勉強しないとだしな。それに、護身術として剣術を覚えとけばどっかで役に立ちそう。)
俺は再び兵法書に目を通す。が、やっぱり理解できないものは理解できない。頭がショートしてふいっと兵法書から目を逸らした。
翌日、承菊は息抜きとして俺を町に連れ出してくれた。
緩やかな寺の坂を下りていき少し歩くと、にぎやかな町が見えてきた。町には、着物を来た老若男女がガヤガヤと大通り沿いにずらりと立ち並ぶ店に出入りをしていた。
(やっぱ俺、戦国時代に来てんだなあ…)
俺が改めて転生したことを実感していると、
「何を突っ立っておる。」
と、承菊が俺の手を引っ張って町へと入っていった。
「あれを食べよう。」
承菊は近くにあった団子屋へと俺を連れて行く。
「みたらし団子を二つくれるか?」
「あいよー。」
承菊は金を払い、みたらし団子を二本受け取る。
「ほれ。」
承菊はみたらし団子を一本俺に渡すと、みたらし団子をほおばりながら歩く。
俺も承菊に続いて、みたらし団子をほおばる。
口の中に甘みが広がる。
「おいしい。」
「ははは、そうであろう。あそこは拙僧のお気に入りなんだ。」
その後も呉服屋や茶屋などたくさんの店を回った。通り過ぎる人や店員は皆、戦乱の時代とは思えない明るい顔をしていた。
帰り道―
承菊は俺に話しかけていた。
「どうだ、戦乱の世とは思えんほど人々に笑顔があっただろう。」
「うん。」
「それもこれも、全ておぬしの父上が尽力なされたからだ。」
「父が?」
「ああ、この国は氏親様が定めた今川仮名目録という法によりどの国よりも治安がいい。誰が何を言おうが、おぬしの父上は国主として立派な方だ。」
そうして、俺たちは寺へと帰っていった。
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