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第一章 幼少期
第三矢 蹴鞠
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俺は当初、あまりにも勉強内容が解らなすぎて眠ったりボーッとしたりすることがあった。
しかしそれでも、承菊の上手い教え方と勉強、勉強、勉強の毎日のかいがあって、兵法や学問を少しずつだが理解できはじめていた。とは言え、勉強嫌いである俺にはその日々はきつく、ゲンナリとしていた。
「今日はここまでにしよう。」
承菊がいつもよりも早めに勉強を切り上げた。
承菊は部屋から出て行くと、茶色のボールのようなものを持ってきて俺を連れて広い庭に出た。
「今日は蹴鞠をする。」
「蹴鞠って何?」
俺が聞き返すと、承菊はおおざっぱに蹴鞠について説明をした。
「蹴鞠は武士や貴族の伝統的な遊びだ。最近は勉強ばかりしておったから、気分転換にやろうと思うてな。」
承菊はさらに蹴鞠のルールを説明する。
「決まりとしてはこの玉を地面に落とさずに高く蹴り上げ続ければよい。先に落とした方が負けだ。」
「へえー」
(要はサッカーのリフティングみたいなものか。面白そう。)
「蹴鞠には少々コツがいる。まずは鞠なしで動作を覚えよう。」
承菊は俺の前に立つと蹴鞠をする際の動作を教えてくれた。
足首を直角に保ち、膝は曲げず、股関節だけを動かす。
一連の動きを入念に覚えたところで、練習用の鞠を使ってやってみた。
まずは鞠を蹴り上げる。
「あれ?」
だが、鞠はあさっての方向に飛んでいく。
慌てて追いかけるも間に合わず、鞠は地面に落ちてしまった。承菊は鞠を拾い上げて俺に渡した。
「はっはっは、なかなか上手くいかんだろう。最初はそんなものだ。」
鞠はサッカーボールよりも弾力があるゆえに跳ねやすく、上手く蹴らなければ思った方向に飛ばないのだ。
その後、何度か挑戦するが上手くいかない。
「もう日が暮れる。今日はここまでに…」
ずっと見守っていた承菊がそう言いながら俺に近づこうとした時、その時は突然訪れる。
最後の一回として鞠を蹴り上げる。
鞠は俺の少し前方に落ちてくる。
俺は余裕を持って鞠を再び蹴り上げた。
「できた!」
「…!」
その後、順調に蹴り続けて十回できたところで鞠は地面に落ちた。
見事、鞠を二回以上蹴り続けることに成功したのだ。
たった一回の、まぐれかもしれない成功。だがそれでも俺は達成感に溢れていた。
一方、承菊は自らの弟子に驚愕していた。
本来なら一日二日で蹴鞠を習得することはほぼ不可能。
だが、それを回数を重ねるごとに少しずつ蹴り方を修正していき、最終的には鞠を上手く当てて、思い描いた方向に飛ばした。
ずっと見守っていたからこそ、この僅かな変化に気づけた。
思えば、剣術の時もそうだった。最初は全くと言っていいほど話にならなかったものが、一週間にして武士の子らと大差ない実力を身につけた。
興味のあるものに対しての突出した探究心と集中力。
「それが勉強にも活かせればよいのだが…」
そんな承菊を差し置いて、俺はルンルンで部屋に戻っていく。
(蹴鞠…めっちゃ面白い!)
その日から俺は蹴鞠にハマった。
しかしそれでも、承菊の上手い教え方と勉強、勉強、勉強の毎日のかいがあって、兵法や学問を少しずつだが理解できはじめていた。とは言え、勉強嫌いである俺にはその日々はきつく、ゲンナリとしていた。
「今日はここまでにしよう。」
承菊がいつもよりも早めに勉強を切り上げた。
承菊は部屋から出て行くと、茶色のボールのようなものを持ってきて俺を連れて広い庭に出た。
「今日は蹴鞠をする。」
「蹴鞠って何?」
俺が聞き返すと、承菊はおおざっぱに蹴鞠について説明をした。
「蹴鞠は武士や貴族の伝統的な遊びだ。最近は勉強ばかりしておったから、気分転換にやろうと思うてな。」
承菊はさらに蹴鞠のルールを説明する。
「決まりとしてはこの玉を地面に落とさずに高く蹴り上げ続ければよい。先に落とした方が負けだ。」
「へえー」
(要はサッカーのリフティングみたいなものか。面白そう。)
「蹴鞠には少々コツがいる。まずは鞠なしで動作を覚えよう。」
承菊は俺の前に立つと蹴鞠をする際の動作を教えてくれた。
足首を直角に保ち、膝は曲げず、股関節だけを動かす。
一連の動きを入念に覚えたところで、練習用の鞠を使ってやってみた。
まずは鞠を蹴り上げる。
「あれ?」
だが、鞠はあさっての方向に飛んでいく。
慌てて追いかけるも間に合わず、鞠は地面に落ちてしまった。承菊は鞠を拾い上げて俺に渡した。
「はっはっは、なかなか上手くいかんだろう。最初はそんなものだ。」
鞠はサッカーボールよりも弾力があるゆえに跳ねやすく、上手く蹴らなければ思った方向に飛ばないのだ。
その後、何度か挑戦するが上手くいかない。
「もう日が暮れる。今日はここまでに…」
ずっと見守っていた承菊がそう言いながら俺に近づこうとした時、その時は突然訪れる。
最後の一回として鞠を蹴り上げる。
鞠は俺の少し前方に落ちてくる。
俺は余裕を持って鞠を再び蹴り上げた。
「できた!」
「…!」
その後、順調に蹴り続けて十回できたところで鞠は地面に落ちた。
見事、鞠を二回以上蹴り続けることに成功したのだ。
たった一回の、まぐれかもしれない成功。だがそれでも俺は達成感に溢れていた。
一方、承菊は自らの弟子に驚愕していた。
本来なら一日二日で蹴鞠を習得することはほぼ不可能。
だが、それを回数を重ねるごとに少しずつ蹴り方を修正していき、最終的には鞠を上手く当てて、思い描いた方向に飛ばした。
ずっと見守っていたからこそ、この僅かな変化に気づけた。
思えば、剣術の時もそうだった。最初は全くと言っていいほど話にならなかったものが、一週間にして武士の子らと大差ない実力を身につけた。
興味のあるものに対しての突出した探究心と集中力。
「それが勉強にも活かせればよいのだが…」
そんな承菊を差し置いて、俺はルンルンで部屋に戻っていく。
(蹴鞠…めっちゃ面白い!)
その日から俺は蹴鞠にハマった。
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