悪役令嬢の名誉を挽回いたします!

みすずメイリン

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第15話、社交界に来た魔族

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 そういえば、最近、社交界にも行ってないしハインリヒ王子ともレオンハルトにも会っていないなぁと思った。社交界の案内は無視しちゃっているし、学校では相変わらず一人だし。一人というか相変わらずルイーゼがグリュックシュロス高等学園を牛耳っていた。
 今朝、ハインリヒ王子からの社交界の案内書を読んだらなんと魔族の公爵子息も来ると書いてあったので、さっそくジークフリートに話しかけなきゃと思いながらグリュックシュロス高等学園の制服に着替えて自室から出て、お父様とお母様と一緒に食事を取った。
 食事を取った後は学校へと登校し、いつものあのロココ建築のような校舎の中へと入っていった。
 タイミングよく今日はジークフリートが学校に来ていた。だいたいいつもは遅刻寸前なのに。
 「おはよう、リリアンナ」
「おはよう、ジークフリート」と挨拶したのち引き続き私は「実は、今日は社交界に行こうと思っているから、今日はギルドに行けないの。それにこんな社交界の案内書がきていて」といいながら私はその社交界の案内書をジークフリートに見せた。
 ジークフリートはその案内書を読んでいるうちにますます目を見開いていた。
 「マジかよ?! 魔族の方から人間の貴族社会に来るだなんて!」と驚いていた。
 「リリアンナはその社交界に行くのか?」
「追伸にハインリヒ王子がその魔族の人が私に興味があるから是非ともきてほしいと書いてあったから、まぁ、行くしかないかな。使用人のへレーネにドレスの用意をさせなきゃ」と私はやる気がないようにジークフリートに告げた。
 ジークフリートは「もし、魔族の住んでいるところがわかったらすぐさま教えてくれよ」と興奮気味に目を輝かせていっていた。
 そしたら、偶然ストロベリーブロンドと緑と青のオッドアイが印象的なフレイヤが通りかかってきて質問してきた。
 「リリアンナ・フォン・リヒテンベルク伯爵令嬢、初めましてというよりかは、まだ名乗っていなかったね。私はフレイヤ・フォン・ゼーグリュン伯爵令嬢だよー。さっきの今回の社交界に魔族が来るってマジ? 何の外交をするの?」
 私は今までフレイヤが初めて話しかけてきたことに驚いた。
 「さ、さぁ。わからないけれど」と困ったようにいったら、フレイヤは「魔族の領地はルイーゼに任せた方が良いと思うけど。ハインリヒ王子はどうするんだろ? それにルイーゼは、常に私たちに『あなたは特別だ』と言ってくれるんだよね。だからルイーゼのそばにいると、どんな不安も消え去るような気がするから、魔族の領地はルイーゼに任せた方がいいと思うなぁ。それじゃあ、リラが来たからまたね」といってフレイヤは私に手を振って去ってしまった。案外優しい子だなぁと私はフレイヤに対してそう思った。
 次はルイーゼが颯爽と現れた。
 「おはよう、リリアンナ」
「おはよう、ルイーゼ」と挨拶を返してアルブレヒト様の様子について聞いてみようかと思った。
 「アルブレヒト様は元気?」
「元気よ。彼ってば、フェンシングに夢中になってたまにあの長い毛をポニーテールにしてまとめていたりするのよ」とルイーゼは嬉しそうだけど、私には何故か私に対して勝ち誇っているようかに見えた。ルイーゼは話題を変えて、「今日の社交界に魔族の方が来るそうよ、リリアンナ。リリアンナは絶対に来るわよね?」と聞かれたので、私はなんとなく微笑んで「そうだね。今回は社交界に行くよ」といって先に教室に入った。

 教室に入った後の数十分後に朝礼が始まり、テストの話が出てみんなが「えー」と声を出しているのが聞こえた。
 そして、テスト実施の通知が終わって朝礼が終わると、午前の授業が始まった。
 午前の授業はどんなドレスで行こうかと悩んでいた。この前、エルフの聖域を領地化した後にヴァルデマールさんと会った時のドレスと同じようなパステルカラーのドレスにしようか悩んでいた。
 ドレスのことやテストのことを考えながら授業を受けていると午前の授業の分は終わった。
 お昼休みになって食堂へ行くと、ジークフリートが話しかけてきた。
 「よっ! リリアンナ! 今日の社交界のことを明日、学校かギルドで教えてくれよな」
 「うん。わかった。あ、そういえば、フリーダはこの学校には通っていないの? 私たちと同じぐらいの歳に見えたんだけど」
「あぁ、フリーダは魔法学校に通っているぜ」
 私はジークフリートの話を聞いてこの世界に魔法学校があることに驚いた。
 「じゃあ、勇者の学校とかもあるの?」と聞いたら、ジークフリートは首を横に振って「勇者の学校はねーよ。むしろ勇者とか剣術などを専門とした学校はないな。スポーツとして嗜むぐらいだからな。鍛冶職人になるための専門学校とかはあるんだけどなー」といっていた。
 「でも、ギルドは剣術のプログラムがあるし、なんなら冒険に出て自分で鍛えることもできるし、俺は将来に備えて、万が一の時に備えて普通の学校に行っているだけだ」と引き続き、ジークフリートは語っていた。

 昼休みも終わって午後の授業が始まり、午後の授業は魔族のことについて考えていた。魔族の人たちってどんな見た目をしているんだろう? とか。
 そうこうしているうちに午後の授業も終わって終礼の時間になり、再びテストのお知らせだけで終礼は終わって放課後になった。
 放課後になると、ルイーゼが私に声をかけてきた。
 「ねえねえ、リリアンナ。魔族の人に社交界に会う前に教会に行かない?」とルイーゼが誘ってきた。
 私は「うん、いいよ。ハンスさんの教会にいこう」といって、私たちはハンスさんがいる教会に行った。

 教会は相変わらず迫力があって驚いたけれども、ハンスさんに会えて良かった。
 「あ、こんにちは。リリアンナさんと誰でしたっけ?」
「ルイーゼ・ツー・ロザリントです。公爵令嬢だとこの前、自己紹介したはずなんですが……」とルイーゼは残念がっていうと、ハンスさんはかなり申し訳なさそうに「あぁ、申し訳ございませんっ! ルイーゼさんでしたね。覚えています。今日は何しにここへ来たのですか?」と謝って質問をしたら、ルイーゼは真っ先に「実は、社交界に魔族の方が来るらしくて。魔族って僧侶の方にとっては天敵にあたる存在ですよね? なので先にお祈りしたくてここに行くようにとリリアンナを誘ったんです」といったんだけど、なんかちょっと話が違うような気がしたけれど、まぁいいかと思い私はルイーゼの話を聞き流していた。
 そしてハンスさんは「じゃあ、お祈りをして心を落ち着かせましょう」といい、私たち三人はお祈りをした。
 そこまでする必要はあるのかな? と思ったけれど、一応、流されるようにお祈りをしといた。それが何になるかわからないし、ルイーゼが珍しく不安がっているのかも怪しかったけれど。
 お祈りを終えるとハンスさんは微笑んで「二人の社交界がうまく行きますように祈っていますよ。それでは、お気をつけて」といって、小さく手を振って教会のそのまた奥へと去ってしまった。

 私たちは各自、自宅に帰ることになった。私が家に着いた時、玄関にお父様がいてお父様は嬉しそうに「今日は社交界へ行くんだな。魔族の方にご無礼のないようにな」と注意をしてくれた。私は「はい。なるべく気をつけます。お父様」といいながら自室に入って、お風呂に入った。
 お風呂から上がった後は、香水をつけて使用人のへレーネに薄い水色のプリンセスドレスと銀色のティアラを用意させて、私はその服装に着替えた。
 へレーネからは「お似合いですね。リリアンナ様。前の落ち着いた色味のドレスはお召しにならないのですか?」と聞かれたけれど「今は、もう良いの。ルイーゼが作った流行に興味がなくなったの」といったら、へレーネは落ち着いた表情をして「そうでしたか」と一言呟いた。

 社交界に行く時間になって久しぶりの王宮へ行くことになり、私は少し緊張をした。馬車から見える王宮は相変わらず、大理石でできたバロック様式の王宮で迫力があった。
 王宮に着くと、そこにはレオンハルトがいたので、レオンハルトにエスコートされるように手にとって馬車から降りて、私はレオンハルトに声をかけた。
 「久しぶりだね。レオンハルト」
「そうですね、リリアンナ様」と少しレオンハルトの口角が上がったような気がした。そして引き続き、レオンハルトは「リリアンナ様、最近、アーチェリーを嗜んでいらっしゃるのでしょうか? 失礼ですが以前と体つきや体幹が違うように見えます」と質問してきた。
 私は笑顔で「うん。そうなの。最近、エルフのヴァルデマールさんから教えてもらっているの。ギルドにも入っているのよ」と答えると、レオンハルトは若干ムッとした表情をして「リリアンナ様、あなたは伯爵令嬢ですよ。失礼ですが、ご自身の立場をわきまえてください。ギルドに入るなんて危険です」といった。
 そして私の背後から誰かが来る気配がしたので振り返ると、ヴァルデマールさんと同じような耳をしていて羊のような焦茶色の角を生やした褐色の肌をした黒髪で赤い目をした男性が私の背後に立っていた。
 私は直感でこの人が噂の魔族の方なのかと思った。
 その角を生やした黒髪の褐色の男性は、私に声をかけてきた。
 「お嬢さん、お一人ですか?」
「そうですけど……」
「私の名前はカインと申します。以後、お見知りおきを。せっかくですし、私がお嬢さんのエスコートをしましょうか」と誘われたので、私は「はい。よろしくお願いいたします」と彼からの誘いに乗った。

 魔族のカイン様と一緒に王宮に入ると、ハインリヒ王子が若干怒っている雰囲気を醸し出しながらも笑顔で「ようこそ、お越しくださいました。カイン様。それにリリアンナへのエスコートまでしてくださいまして、ありがとうございます」とお礼の言葉を述べていた。
 そして引き続き、ハインリヒ王子は「久しぶりだね。リリアンナ。調子はどうだい?」と質問してきたので「ギルドに入って冒険するようになったので、毎日疲れていますね」と正直に答えると、ハインリヒ王子は心配そうな顔をして「そうか。まぁ、ほどほどに」といっていた。
 しっ、視線が痛い。魔族のカイン様とハインリヒ王子と一緒にいるせいか、他の貴族の女性からの視線が痛かったけれど、カイン様はそんなことはどうでも良さそうな笑顔を向けていた。
 ハインリヒ王子は「リリアンナ、またドレスの雰囲気が変わったな。僕はそっちの方が好きだよ」と褒めてくれたので、私はつい照れてしまい俯いてしまったけれどカイン様はそんな私を少しいかがわしい目つきで見ているように見えた。カイン様は多くは語らなかったけれど、なんだか色っぽいんだけどどこか俗っぽい雰囲気を醸し出していた。

 ハインリヒ王子とカイン様は離れて話していると、アルブレヒト様にエスコートしてもらいながらルイーゼは現れた。ルイーゼは一人でいる私に話しかけてきた。
 「さっきの見たわよ。魔族の方に初対面でエスコートしてもらえるだなんてすごいわね。リリアンナ」
 「え、そんなぁ。偶然だよー。あ、お久しぶりです。アルブレヒト様」と私はアルブレヒト様にお辞儀をした。
アルブレヒト様は「お久しぶりです。リリアンナ。お元気していましたか?」と私に質問してきたので「おかげさまで。最近はアーチェリーも始めましたの」と答えた。
 アルブレヒト様は「そうですか。それは良かったです」と笑顔でいっていたけれど、私には無関心なように思えた。




 それから社交界が始まり、ルイーゼはアルブレヒト様を置いてハインリヒ王子とカイン様がいるところに話しかけたりして、私は久しぶりにアルブレヒト様と話していたけれど、公爵同士だからスムーズに結婚の話が進んでいるかと思いきや、あんまり進んでいなくてむしろルイーゼの方が長引かせている様子だった。
 そして、ルイーゼはアルブレヒト様の前に戻ってくることもなく、社交界は終わってしまった。
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