悪役令嬢の名誉を挽回いたします!

みすずメイリン

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第14話、冒険と弓矢

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 ジークフリートの新しいギルドのメンバーはハンスという男性の僧侶で、黒縁のメガネをしていて短髪の癖っ毛で灰色とベージュが混ざったようなグレージュという髪色で灰色の瞳をしていた。ハンスさんは物腰が柔らかそうで聞き上手っぽそうな人だった。もう一人の魔導師の女の子は、私と同じぐらいの年齢の女の子で、少し耳が尖っているハーフエルフで髪は白くて前髪を揃えていて姫カットにしているストレートヘアの目が赤いアルビノの女の子だった。魔導師らしい服装もしており、彼女はフリーダだと名乗った。フリーダはなんだか寡黙で内気っぽそうだった。
 私も一応、ハンスさんとフリーダに挨拶をした。
 「初めまして。私は、リリアンナ・フォン・リヒテンベルクといいます。貴族としての階級は伯爵令嬢です」といったら、これまたハンスさんとフリーダはおどろいて、ジークフリートは自慢げに「俺の学校の友達なんだぜ」といっていた。
 そして、ジークフリートは私のギルドとしての職業について悩んでいた。回復魔法は僧侶のハンスさんがやってくれるし、戦闘時の魔法攻撃は魔導師のフリーダがやってくれるし、ジークフリートは腕を組んで眉間に皺を寄せて目を閉じて考えていたら、何か閃いたように「じゃあ、弓使いでいいか?」と私に聞いてきたけれど自信はなかった。
 私は「弓使いでも良いけれど、私は弓使いは上手くないよ」というと、ジークフリートは笑顔で「この前のエルフに教えてもらえばいいじゃん」といっていた。
 さっそくヴァルデマールさんがいるところに行こうとすると、ハンスさんは「すみません、エルフの聖域へ行く前にお祈りしに行きませんか?」と私たちを教会へ行くように誘った。ジークフリートは嫌々ながらも「仕方ねえな。じゃあ願掛けしにいくか」といって、ハンスさんが勤めている教会へいくことになった。

 私たちギルドの一向は教会に着いた。私はその教会の見た目に驚いた。まるで前世で見たことがある建物の造りだったからだ。ハンスが勤めている協会は私の前世でいうところのオーストリアのウィーンにある、聖シュテファン大聖堂みたいな建物だった。
 ジークフリートは私に「なんだぁ? 教会の迫力に驚いてんのかぁ?」と聞いてきたので正直に「そうだよ」と答えて、ハンスさんに教会の中に案内された。
 教会の中は前世で聖シュテファン大聖堂の中をネットで画像検索して見た通りだった。天井がかなり高くて、色使いも落ち着いていてくらまるで本当に天使が舞い降りてくるような教会だった。
 その時だった。ルイーゼがグリュックシュロス高等学園の制服を着たまま、教会に現れた。
 ルイーゼは、私たちを見て驚いていてただ小声で「え、もうあのリリアンナが隠れ攻略キャラのハンスと出会っているの?」とまるでハンスさんのことを知っているような口ぶりをしていた。
 私は不思議に思ったけれど何もいわないで、ただルイーゼに話させようかと思って黙っておいた。
 そういえばてっきり忘れていたけれど、この世界ってゲームの世界の話だったよね。
 「こんにちは、初めまして。私は、ルイーゼ・ツー・ロザリントと申します。貴族としての地位は公爵令嬢です。あのー、この教会に行くのは初めてなのですが……」とルイーゼは困った風に装って、なんだかハンスさんと話そうともしているようにも見えた。
 「この教会にお越しくださりありがとうございます。ルイーゼ公爵令嬢。それでは一緒にお祈りいたしましょう」とハンスさんは笑顔でルイーゼにいうと、ルイーゼは「お祈りしたあとはどうするのでしょうか?」と質問してきたので、ハンスさんは困った顔をして「ジークフリートさん、ルイーゼ公爵令嬢をギルドに入れるつもりでしょうか?」とジークフリートに聞こうとしたら、ルイーゼは焦ったように「あぁ、結構です。ただちょっと教会に立ち寄っただけですから」と微笑んでいっていたけれど、相変わらず目の奥は微笑んでいなかった。
 だけどハンスさんは笑顔で「そうですか。ならいつでもお祈りしにきてください」とルイーゼに告げた。

 ルイーゼを含めてみんなで祈ると、ルイーゼが教会の外に出たのを見計らって、ハンスさんとフリーダとジークフリートと私は、ヴァルデマールさんがいるところへと向かおうとして外に出たら、フリーダが「魔法の絨毯でひとっ飛びだよ」といって絨毯を広げ始めたのでその上をギルドの全員で乗ったら、本当に絨毯が浮き始めて飛び始めた。
 その魔法の絨毯はエルフの聖域へと向かって行った。
 エルフの聖域に向かっている最中に私はジークフリートにどうやってギルドのメンバーを集めたかというと、ギルド募集の掲示板に書き込んだら集まったそうな。
 私はよくそれだけで集まるものなんだなぁと不思議に思った。貴族と平民の感覚って違うのかしら? とも思った。

 エルフの聖域の入り口にあたる川のほとりに着くと、ヴァルデマールさんがいた。
 空の上から私はヴァルデマールさんに大きく手を振って声をかけてみた。
 「おーい、ヴァルデマールさーん!!」と声をかけてると、ヴァルデマールさんは驚いた顔をして私たちを見上げていた。
 「なんだ?! リリアンナじゃないか」とヴァルデマールさんは驚いた顔をしつつ、私以外の人間がいることに対して少し嫌がりながらも迎え入れてくれた。

 ヴァルデマールさんが立っている場所の近くまできて私たちはフリーダの魔法の絨毯から降りた。
 「ごきげんよう、ヴァルデマールさん。私、ギルドに入ったので、エルフの聖域を散策したいのですが良いでしょうか?」と上目遣いでいうと、ヴァルデマールさんはそっぽを向きながら「まぁ、いいだろう。今は貴様の領地だしな」と耳の先を赤くしながらいっていた。
 ヴァルデマールさんがそういうと、フリーダは「精霊とかいますか?」と聞いてきた。
 「アルビノのハーフエルフの娘か。その格好だということは貴様は魔導師か。あの森ならわずかに精霊はいる。だが、貴様ら人間どもは信用ならんから私も行く」といって、ギルドのメンバーと共にエルフの森へ行くことになった。
 私はヴァルデマールさんにお礼をいった。
 「ありがとう、ヴァルデマールさん。あと重ね重ねで申し訳ないんですけど、私に弓矢の使い方を教えてほしいです」と頼み込むとヴァルデマールさんは「貴族の娘には要らん能力だろう」といった。確かにそうだけども、私もギルドとしての能力が欲しかった。
 「ただ、守られているだけじゃ嫌なので」と俯きながら私はいった。
 「ならば、私が他に持っている弓矢を渡そう。彼らとは別行動で弓矢の使い方を教えてやる」とヴァルデマールさんは私にそう告げて、ヴァルデマールさんは相変わらず嫌そうに「おい、人間の小童ども。私はリリアンナ伯爵令嬢に弓矢を教えなければならない。だから、エルフの森の探検をリリアンナ抜きでしてもらおうじゃないか」といったら、ハンスさんとジークフリートはいささか不満そうだったけれどフリーダは小声で「ありがとうございます」といって、フリーダを先頭にして、三人はエルフの森の中へ入って行った。

 ヴァルデマールさんは弓を二つぐらい持ってきて、私に「まずはリラックスするんだ。あとはもう慣れるしかない」といって、私に弓矢の使い方や弓を持つ時の姿勢など体を密着させながら指導をしてくれたけれど、彼の息遣いが耳元にあたって気恥ずかしくてくすぐったかった。
 集中しなきゃならないのに、ちょっと気が散ってしまった。
 そんな私を見ていたヴァルデマールさんも意識し始めたのか彼の頬と耳の先が少し赤くなってして顰めっ面を貫いていた。
 「勘違いするなよ」
「何がですか?」
「何もないなら別に良いが」
「そうですね。お互い何もありませんよね」とヴァルデマールさんと会話をかわしていたら、ジークフリートとハンスさんとフリーダが戻ってきた。
 寡黙そうなフリーダがヴァルデマールさんに興奮気味に「思ったよりもたくさんの精霊がいて会話できました!」と話していた。
 ヴァルデマールさんは少し微笑んで「それは良かったよ」とフリーダに告げた。
 ジークフリートは「ラミア族とかサイクロプスとかいないよな」とヴァルデマールさんに報告したら、ヴァルデマールさんは誇り高く「ここはエルフの聖域だから、当たり前だろ人間。モンスターに会いたいのならば、辺境にある魔族の地に行けば良かろう」といった
 ハンスさんは少し取り乱して「ま、魔族ですか?」とジークフリートの方を見て聞いていた。
 「ならば、魔族にも会いに行こうぜ」とジークフリートは少し興奮して目を輝かせながら嬉しそうにいっていた。
 ヴァルデマールさんは呆れたように「リリアンナの弓矢の技術は上達したがまだまだだ。それに本来、貴様らと関わる人間ではないし戦闘に赴く立場の人間ではないことを心に銘じておくように」といった。
 ちょっと複雑だったけれど、ヴァルデマールさんは私に配慮してくれたんだと思う。
 ヴァルデマールさんにお礼を告げてエルフの聖域から私たち、ギルドは出て行ってフリーダが用意してくれた魔法の絨毯で、フリーダが各々の自宅まで送ってくれた。
 帰宅途中、次の冒険先をジークフリートとハンスさんとフリーダと一緒に決めていたんだけれど、やっぱり魔族がいるところに冒険することになった。ハンスさんがちょっと神からの説法などが魔族に効くかどうか不安がっていたけれど。それでも行くことになった。
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