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第16話、辺境の地
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社交界から帰ってきてから少しだけ何故か唖然としていてしばらくボーっとしていた。あぁ、そうだ。明日、ジークフリートに学校で魔族のカイン様のことをいわなければならないなぁと思いながら、薄い水色のプリンセスドレスを脱いでシャワーを浴びた。
そのあと、私はあのカイン様の雰囲気を忘れられないでいたので、明日もし機会があればギルドのみんなと一緒に魔族がいる辺境の地へ行こうかと思いながらお湯に浸かり、しばらくしてお風呂から上がって歯を磨いて髪の毛を乾かして、使用人のヘレーネが用意してくれたパジャマをきて自分のベッドの中に入って目をつむった。
朝日を浴びて目覚めて少しだけお風呂に入り顔も洗って歯を磨いてグリュックシュロス高等学園の制服に着替えて、自室から出て今日もお父様とお母様と一緒に朝食を取った。
朝食を食べている最中、お父様は昨日の魔族のカイン様について質問してきた。
「リリアンナ、昨日の社交界はどうだったかね? リリアンナとハインリヒ王子とルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢とハインリヒ王子直属の騎士のレオンハルトだけが魔族の方とお話ししたそうじゃないか」
「お父様、それはどこで知ったの?」
「あぁ。リリアンナは疲れて馬車の中で眠ってしまっていたから覚えていなかったのか? レオンハルトが教えてくれたんだよ。お前が馬車から出て降りてもウトウトしている最中にな」とお父様がいったら、お母様は心配そうに「またあの魔族の方に会いたいからって、ギルドで冒険しようなんて考えていませんわよね、リリアンナ?」と聞かれたけれど、私はジークフリートとハンスさんとフリーダとともにあの魔族がいる辺境の地へ行くつもりだった。
「どうしてそれがダメなのでしょうか? 私の冒険のキッカケで長年誰も領地化できなかったエルフの聖域が私たちリヒテンベルク伯爵家のものになったではありませんか」と私はお母様に反論すると、お母様は「確かにそうですけど」と怒り気味にいっていた。
今日もギルドのことで両親から怒られたけれど、私は冒険を止める気はなかった。だって、せっかくの居場所を見つけられたんだからと思いながら、今日も歩いて学校に向かっていった。領地化をしたいから外の世界へ出ていっているわけではないけれど。
学校に着くと、校内の貴族の子たちは魔族の方のカイン様の話題について持ちきりだった。私が呆気に取られているとジークフリートが私に話しかけてきた。
「おはよう、リリアンナ。昨日の社交界はどうだった?」
「魔族の方とお話ししたよ。というか、その魔族の方の名前はカイン様と名乗ってた。そして、初対面の私にエスコートをしたわ」というとジークフリートは笑いながら「さぞかし目立ったんだろうなぁ」といったけれども、私にとったら結構な大事件だった。だって、他の貴族の人たちからの視線が痛かったからだ。
「でも名前だけわかったんならそれで良いんじゃないか。よし、今日は辺境の地まで行ってみようか」
「うん。そうだね。魔族でいう公爵子息にあたる方らしいから、名前をいえばわかってもらえると思うよ」
「そうか! その手があったか! じゃあ、ますます今日は辺境の地へ冒険してみたくなってきたな」
「でも、カイン様はなんだか怪しい雰囲気を醸し出していたから、気をつけたほうがいいかも」と私がいったら、ジークフリートは納得したかのようにうんうんと首を縦に振って、腕を組んで「そりゃあ、魔族だから当たり前だろ」といっていた。
魔族はこの世界でいう悪魔みたいな存在なのかしら? とふと疑問に私は思いながら、ジークフリートとも別れて教室に入ろうとしたら今度はルイーゼが颯爽と現れて、私に話しかけてきた。ルイーゼがいると、その場の空気が変わってしまうなぁと少しドギマギしてしまう。
「おはよう、リリアンナ」
「おはよう、ルイーゼ」
挨拶し返すと、多分カイン様の話題が出るかと思って私は少し身構えた。
「昨日は、魔族のカイン様と私もお話ししてカイン様の住所も教えてもらったわ。これでいつでも遊びに行けるわね」とルイーゼはいいつつ、なんだか私に勝ち誇ったかのようにも見えた。だけれども私はどうやり過ごすか考えていた。食いついたフリをした方がいいのか、私がエルフの聖域を自分の領地化に成功したから焦っているのかと疑問を投げかけるか、反抗的な態度をした方がいいのか迷いつつ「へぇ、そうなんだね。すごいね。これで魔族のところにいつでも遊びに行けるんじゃないかな」と私はルイーゼに返事をすると、ルイーゼは爽やかな笑顔ながらもどこかしら目の奥は笑っていなくて「そんな、遊びに行くだなんて。あなたみたいに冒険に出かけたりしないわ」といってルイーゼはさらに「冒険するときは気をつけてね、リリアンナ」といって去った直後に、ルイーゼのそばにはすぐさま取り巻きの貴族のフレイヤとリラが登校してきて二人はルイーゼに話しかけていた。このときのルイーゼはなんだか部下を連れている独裁者のようにも見えなくはなかった。
そして、周りにいる生徒たちは相変わらずルイーゼとリラとフレイヤの三人組に見惚れていたのである。私はその様子を見つつ自分の教室へと向かった。
教室に入ってから十分後ぐらいに私たちの担任の先生が入ってきて朝礼が始まった。
朝礼の内容はテストのことだけであとはいつも通り何にもなくて、そのまま午前の授業へと今日もグリュックシュロス高等学園生活が始まった。
午前の授業が終わってお昼休みになったので、食堂に入るとさっそくジークフリートに話しかけられた。
「最近さ、やけにルイーゼってリリアンナに話しかけないか?」
「さぁ? エルフの聖域を自分の領地にしたかったから、今度は魔族が住んでいる辺境の地を自分の領地にしたいんじゃないのかな」と私は少し自信なさげにジークフリートに答えてみた。
「あー、そうかもしれないなぁ。俺、あんまりルイーゼの動向とか興味がないけれど、リリアンナがエルフの聖域を領地にしてからなんか焦っているような気がするんだよなー」とジークフリードがルイーゼのことに無関心で少し驚いた。
「ジークフリートはルイーゼのことをあまり興味なさそうね」
「え? そうか? 俺は学校のことはあんまり興味ないし、ルイーゼみたいな可愛くて綺麗な女の子はギルドにもいるからな。フリーダとかハーフエルフだけど綺麗な顔立ちをしているから別にってなんだが」
「え、ルイーゼが男女問わず沢山の生徒から羨望の眼差しで見られているのに?」
「えー、俺、学校のスクールカーストとかに興味がないし、そもそも俺は平民だしな」とジークフリートはルイーゼについては興味がないようで驚いた。
「とりあえず、今日は魔族のそのカインっていう男に会うために辺境の地へ行こうぜ」とジークフリートは爽やかな笑顔で楽しみにしていそうに今日のギルドの冒険の予定に私に話してくれた。
昼食をとり終えて、自分の教室に戻って午後の授業も始まった。午後の授業は魔族のカイン様について、そしてカイン様の住所を教えてもらったルイーゼも
魔族の地へ行くのかななど少し考えながら授業を受けていた。
そして午後の授業も終えて終礼の時間になった。
終礼の時間はもうすぐテストの時間の話をしていた。
放課後になって私は急いで家に帰って、いつものソフトピンク色のディアンドルの服に着替えた。使用人のヘレーネが「もうすぐテストですので、ギルドの冒険をするのも良いですが、ちゃんと勉強もしてくださいね。リリアンナ様」とちょっと気を遅れするようなこともいわれた。そしてヘレーネは更に「もしかしたら、テスト勉強のために家庭教師も一時的に雇う予定ではあります。リヒテンベルク伯爵家に恥じないような学力も必要ですので」といわれて私は少し落ちこんだ。
私は家から出ていってジークフリートの集合場所にいつの間にかなっているハンスさんがいる教会の前に集まった。そして、ジークフリートとフリーダと私たちは教会の中に入っていつの間にか習慣になっているお祈りをした。ハンスさん曰く「今日は魔族の方に会うかもしれませんからね」だそうだ。
そして辺境の地へさっそく行くことになった。
冒険の道中、ラミア族と戦ったりゴブリンとも戦ったり、一つ目の巨人のサイクロプスとも戦った。私のアーチェリーの技術はまずまずだったけれど、フリーダの魔術の攻撃やジークフリートの剣捌やハンスさんの回復魔法に助けられた。そして、魔族が住んでいるという辺境の地へたどり着いた。
門番にはモンスターのアラクネがいたのでカイン様がいるかどうか質問してみた。
「あのー、カイン様はいらっしゃいますでしょうか?」
「あー、いるわよ。アナタ、リリアンナ・フォン・リヒテンベルク伯爵令嬢ね。その前にアナタの腕を試させて良いかしら?」と聞かれて門番のモンスターのアラクネと戦うことになった。しかも、私とアラクネさんとの一対一で。
なんとか苦戦しながらも下半身がクモのモンスターのアラクネさんに勝てて、私はアラクネさんから魔族のカイン様と出会う許可を得た。アラクネさんは少し悔しそうにしていたけれど、私はジークフリートに頭を撫でられて「リリアンナ、よく頑張ったな!」といってフリーダには「これでリリアンナがいっていた魔族の人に会えるね」といってハンスさんは「もしかしたら魔族の方と戦闘になるかもしれませんから、今のうちに回復しておきましょう」といって、ハンスさんは私たちの体力を回復魔法を唱えて回復させてくれた。
さすが辺境の地とあって、この前行った街とは違って自然や綺麗な色した大きな川の近くの街は栄えていた。街並みも前世の知識でいうとドイツのライン川の街沿いみたいだったけれど、色んな異種族の人々がいた。エルフも魔族の人間も私たちと同じ人間が普通に歩いていた。
そして魔族の人たちが住んでいる街に行った後は、いよいよ恐らくカイン様が住んでいると思われるお城に着いた。
そのお城は、私の前世の知識でいうところのドイツのノイシュバンシュタイン城みたいなお城だった。
この世界はゲームの世界だとルイーゼはいっていたけれども、この世界はドイツやオーストリアの文化や街並みを参考にしているのかなぁと思った。
お城の中に入ると、ピンク色の短い髪に青い目の胸元がざっくりと開いた青いドレスを着た魔族の女性が私たち、ジークフリートとフリーダとハンスさんに挨拶をして、セクシーな格好をしている割には事務的に接してくれた。そして、その魔族の女性は呆れてながら「カイン公爵子息は女性を試すような方なので、お気をつけてください」といっていた。
カイン様の部屋に案内されると、そのピンク色で青い目をしたセクシーな魔族の女性はカイン様だと思われる部屋をノックすると部屋の外からカイン様だと思われる声が聞こえた。
「入っていいぞ。ヘルガ」
「かしこまりました。あと、本日はリリアンナ様のギルドの仲間の人たちも来ていらっしゃるので程々にした方がよろしいかと」とヘルガと呼ばれたセクシーな魔族の女性はそういって立ち去り、私たちはカイン様の部屋の中へと招き入れられた。
「リリアンナ嬢と二人きりだけかと思いきや、ギルドの仲間も連れてきたのか。残念だな」といっていた。初めて会った時からちょっとプレイボーイかと匂わせていたけれど、やっぱりそういうことだったのかなと、思っていたらカイン様は私の顎をクイッと指を掴んできてものすごく顔を近づけてきたので顔がものすごく近くて私はかなりドキドキしてしまった。
「もしかして、エルフの聖域を領地化したように俺たち魔族の土地も自分たち人間の領地にするつもりか?」とキスしてしまいそうな距離で私の耳元でそう色っぽく囁いて、私は尚更ドキドキしてなんだか顔が赤くなっているような気がする。
その様子を見たハンスさんとフリーダも顔を赤くして、ジークフリートに至ってはカイン様に顔を赤くして怒って「魔族の公爵子息だからなんだか知らないが、リリアンナに失礼だぞっ! お前!」といって一触即発になりそうだった。
そのあと、私はあのカイン様の雰囲気を忘れられないでいたので、明日もし機会があればギルドのみんなと一緒に魔族がいる辺境の地へ行こうかと思いながらお湯に浸かり、しばらくしてお風呂から上がって歯を磨いて髪の毛を乾かして、使用人のヘレーネが用意してくれたパジャマをきて自分のベッドの中に入って目をつむった。
朝日を浴びて目覚めて少しだけお風呂に入り顔も洗って歯を磨いてグリュックシュロス高等学園の制服に着替えて、自室から出て今日もお父様とお母様と一緒に朝食を取った。
朝食を食べている最中、お父様は昨日の魔族のカイン様について質問してきた。
「リリアンナ、昨日の社交界はどうだったかね? リリアンナとハインリヒ王子とルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢とハインリヒ王子直属の騎士のレオンハルトだけが魔族の方とお話ししたそうじゃないか」
「お父様、それはどこで知ったの?」
「あぁ。リリアンナは疲れて馬車の中で眠ってしまっていたから覚えていなかったのか? レオンハルトが教えてくれたんだよ。お前が馬車から出て降りてもウトウトしている最中にな」とお父様がいったら、お母様は心配そうに「またあの魔族の方に会いたいからって、ギルドで冒険しようなんて考えていませんわよね、リリアンナ?」と聞かれたけれど、私はジークフリートとハンスさんとフリーダとともにあの魔族がいる辺境の地へ行くつもりだった。
「どうしてそれがダメなのでしょうか? 私の冒険のキッカケで長年誰も領地化できなかったエルフの聖域が私たちリヒテンベルク伯爵家のものになったではありませんか」と私はお母様に反論すると、お母様は「確かにそうですけど」と怒り気味にいっていた。
今日もギルドのことで両親から怒られたけれど、私は冒険を止める気はなかった。だって、せっかくの居場所を見つけられたんだからと思いながら、今日も歩いて学校に向かっていった。領地化をしたいから外の世界へ出ていっているわけではないけれど。
学校に着くと、校内の貴族の子たちは魔族の方のカイン様の話題について持ちきりだった。私が呆気に取られているとジークフリートが私に話しかけてきた。
「おはよう、リリアンナ。昨日の社交界はどうだった?」
「魔族の方とお話ししたよ。というか、その魔族の方の名前はカイン様と名乗ってた。そして、初対面の私にエスコートをしたわ」というとジークフリートは笑いながら「さぞかし目立ったんだろうなぁ」といったけれども、私にとったら結構な大事件だった。だって、他の貴族の人たちからの視線が痛かったからだ。
「でも名前だけわかったんならそれで良いんじゃないか。よし、今日は辺境の地まで行ってみようか」
「うん。そうだね。魔族でいう公爵子息にあたる方らしいから、名前をいえばわかってもらえると思うよ」
「そうか! その手があったか! じゃあ、ますます今日は辺境の地へ冒険してみたくなってきたな」
「でも、カイン様はなんだか怪しい雰囲気を醸し出していたから、気をつけたほうがいいかも」と私がいったら、ジークフリートは納得したかのようにうんうんと首を縦に振って、腕を組んで「そりゃあ、魔族だから当たり前だろ」といっていた。
魔族はこの世界でいう悪魔みたいな存在なのかしら? とふと疑問に私は思いながら、ジークフリートとも別れて教室に入ろうとしたら今度はルイーゼが颯爽と現れて、私に話しかけてきた。ルイーゼがいると、その場の空気が変わってしまうなぁと少しドギマギしてしまう。
「おはよう、リリアンナ」
「おはよう、ルイーゼ」
挨拶し返すと、多分カイン様の話題が出るかと思って私は少し身構えた。
「昨日は、魔族のカイン様と私もお話ししてカイン様の住所も教えてもらったわ。これでいつでも遊びに行けるわね」とルイーゼはいいつつ、なんだか私に勝ち誇ったかのようにも見えた。だけれども私はどうやり過ごすか考えていた。食いついたフリをした方がいいのか、私がエルフの聖域を自分の領地化に成功したから焦っているのかと疑問を投げかけるか、反抗的な態度をした方がいいのか迷いつつ「へぇ、そうなんだね。すごいね。これで魔族のところにいつでも遊びに行けるんじゃないかな」と私はルイーゼに返事をすると、ルイーゼは爽やかな笑顔ながらもどこかしら目の奥は笑っていなくて「そんな、遊びに行くだなんて。あなたみたいに冒険に出かけたりしないわ」といってルイーゼはさらに「冒険するときは気をつけてね、リリアンナ」といって去った直後に、ルイーゼのそばにはすぐさま取り巻きの貴族のフレイヤとリラが登校してきて二人はルイーゼに話しかけていた。このときのルイーゼはなんだか部下を連れている独裁者のようにも見えなくはなかった。
そして、周りにいる生徒たちは相変わらずルイーゼとリラとフレイヤの三人組に見惚れていたのである。私はその様子を見つつ自分の教室へと向かった。
教室に入ってから十分後ぐらいに私たちの担任の先生が入ってきて朝礼が始まった。
朝礼の内容はテストのことだけであとはいつも通り何にもなくて、そのまま午前の授業へと今日もグリュックシュロス高等学園生活が始まった。
午前の授業が終わってお昼休みになったので、食堂に入るとさっそくジークフリートに話しかけられた。
「最近さ、やけにルイーゼってリリアンナに話しかけないか?」
「さぁ? エルフの聖域を自分の領地にしたかったから、今度は魔族が住んでいる辺境の地を自分の領地にしたいんじゃないのかな」と私は少し自信なさげにジークフリートに答えてみた。
「あー、そうかもしれないなぁ。俺、あんまりルイーゼの動向とか興味がないけれど、リリアンナがエルフの聖域を領地にしてからなんか焦っているような気がするんだよなー」とジークフリードがルイーゼのことに無関心で少し驚いた。
「ジークフリートはルイーゼのことをあまり興味なさそうね」
「え? そうか? 俺は学校のことはあんまり興味ないし、ルイーゼみたいな可愛くて綺麗な女の子はギルドにもいるからな。フリーダとかハーフエルフだけど綺麗な顔立ちをしているから別にってなんだが」
「え、ルイーゼが男女問わず沢山の生徒から羨望の眼差しで見られているのに?」
「えー、俺、学校のスクールカーストとかに興味がないし、そもそも俺は平民だしな」とジークフリートはルイーゼについては興味がないようで驚いた。
「とりあえず、今日は魔族のそのカインっていう男に会うために辺境の地へ行こうぜ」とジークフリートは爽やかな笑顔で楽しみにしていそうに今日のギルドの冒険の予定に私に話してくれた。
昼食をとり終えて、自分の教室に戻って午後の授業も始まった。午後の授業は魔族のカイン様について、そしてカイン様の住所を教えてもらったルイーゼも
魔族の地へ行くのかななど少し考えながら授業を受けていた。
そして午後の授業も終えて終礼の時間になった。
終礼の時間はもうすぐテストの時間の話をしていた。
放課後になって私は急いで家に帰って、いつものソフトピンク色のディアンドルの服に着替えた。使用人のヘレーネが「もうすぐテストですので、ギルドの冒険をするのも良いですが、ちゃんと勉強もしてくださいね。リリアンナ様」とちょっと気を遅れするようなこともいわれた。そしてヘレーネは更に「もしかしたら、テスト勉強のために家庭教師も一時的に雇う予定ではあります。リヒテンベルク伯爵家に恥じないような学力も必要ですので」といわれて私は少し落ちこんだ。
私は家から出ていってジークフリートの集合場所にいつの間にかなっているハンスさんがいる教会の前に集まった。そして、ジークフリートとフリーダと私たちは教会の中に入っていつの間にか習慣になっているお祈りをした。ハンスさん曰く「今日は魔族の方に会うかもしれませんからね」だそうだ。
そして辺境の地へさっそく行くことになった。
冒険の道中、ラミア族と戦ったりゴブリンとも戦ったり、一つ目の巨人のサイクロプスとも戦った。私のアーチェリーの技術はまずまずだったけれど、フリーダの魔術の攻撃やジークフリートの剣捌やハンスさんの回復魔法に助けられた。そして、魔族が住んでいるという辺境の地へたどり着いた。
門番にはモンスターのアラクネがいたのでカイン様がいるかどうか質問してみた。
「あのー、カイン様はいらっしゃいますでしょうか?」
「あー、いるわよ。アナタ、リリアンナ・フォン・リヒテンベルク伯爵令嬢ね。その前にアナタの腕を試させて良いかしら?」と聞かれて門番のモンスターのアラクネと戦うことになった。しかも、私とアラクネさんとの一対一で。
なんとか苦戦しながらも下半身がクモのモンスターのアラクネさんに勝てて、私はアラクネさんから魔族のカイン様と出会う許可を得た。アラクネさんは少し悔しそうにしていたけれど、私はジークフリートに頭を撫でられて「リリアンナ、よく頑張ったな!」といってフリーダには「これでリリアンナがいっていた魔族の人に会えるね」といってハンスさんは「もしかしたら魔族の方と戦闘になるかもしれませんから、今のうちに回復しておきましょう」といって、ハンスさんは私たちの体力を回復魔法を唱えて回復させてくれた。
さすが辺境の地とあって、この前行った街とは違って自然や綺麗な色した大きな川の近くの街は栄えていた。街並みも前世の知識でいうとドイツのライン川の街沿いみたいだったけれど、色んな異種族の人々がいた。エルフも魔族の人間も私たちと同じ人間が普通に歩いていた。
そして魔族の人たちが住んでいる街に行った後は、いよいよ恐らくカイン様が住んでいると思われるお城に着いた。
そのお城は、私の前世の知識でいうところのドイツのノイシュバンシュタイン城みたいなお城だった。
この世界はゲームの世界だとルイーゼはいっていたけれども、この世界はドイツやオーストリアの文化や街並みを参考にしているのかなぁと思った。
お城の中に入ると、ピンク色の短い髪に青い目の胸元がざっくりと開いた青いドレスを着た魔族の女性が私たち、ジークフリートとフリーダとハンスさんに挨拶をして、セクシーな格好をしている割には事務的に接してくれた。そして、その魔族の女性は呆れてながら「カイン公爵子息は女性を試すような方なので、お気をつけてください」といっていた。
カイン様の部屋に案内されると、そのピンク色で青い目をしたセクシーな魔族の女性はカイン様だと思われる部屋をノックすると部屋の外からカイン様だと思われる声が聞こえた。
「入っていいぞ。ヘルガ」
「かしこまりました。あと、本日はリリアンナ様のギルドの仲間の人たちも来ていらっしゃるので程々にした方がよろしいかと」とヘルガと呼ばれたセクシーな魔族の女性はそういって立ち去り、私たちはカイン様の部屋の中へと招き入れられた。
「リリアンナ嬢と二人きりだけかと思いきや、ギルドの仲間も連れてきたのか。残念だな」といっていた。初めて会った時からちょっとプレイボーイかと匂わせていたけれど、やっぱりそういうことだったのかなと、思っていたらカイン様は私の顎をクイッと指を掴んできてものすごく顔を近づけてきたので顔がものすごく近くて私はかなりドキドキしてしまった。
「もしかして、エルフの聖域を領地化したように俺たち魔族の土地も自分たち人間の領地にするつもりか?」とキスしてしまいそうな距離で私の耳元でそう色っぽく囁いて、私は尚更ドキドキしてなんだか顔が赤くなっているような気がする。
その様子を見たハンスさんとフリーダも顔を赤くして、ジークフリートに至ってはカイン様に顔を赤くして怒って「魔族の公爵子息だからなんだか知らないが、リリアンナに失礼だぞっ! お前!」といって一触即発になりそうだった。
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