悪役令嬢の名誉を挽回いたします！

第１９話、突然の訪問

　辺境の地の街で偶然カイン様と出会い、カイン様は私の体を自分の体に引き寄せて「これからまたハインリヒ王子に会いに行くんだ。一緒に行くか？」と誘ってくれたけれど、私たちギルドは迷って四人で相談することにした。
　ジークフリートはかなり嫌がっていたけれど王宮に行きたがってそうにしていたし、ハンスさんは穏やかな笑顔でカイン様と王宮に行くのは嫌だとジークフリートと同じことをいっていたけれど、フリーダはあまりカイン様からのセクハラの被害がないのかカイン様と一緒に王宮に行くことに賛成していた。
　私もちょっと嫌だったけれどハインリヒ王子とレオンハルトに会いたかったし、ギルドのみんなと同じ意見だったのでみんなでカイン様と一緒に魔法の絨毯に乗って王宮の近くまで行った。
　魔法の絨毯の上でもカイン様は私の体を自分の体に無理やり引き寄せていたので、涙が出そうになってついうっかりカイン様の頬にビンタをしてしまった。そのビンタのバシッという音が鳴り響いてジークフリートは笑いを抑えるのに必死になっていて、ハンスさんとフリーダは唖然とした顔をしていた。私はハッと自分がやったことに気がついてカイン様に謝ろうとしたらカイン様は目を大きく開いて唖然とした顔をして私が打った部分の頬を抑えながら、一言だけ「なんてお嬢ちゃんだ……」と呟いた。
　私はカイン様に慌てて急いで「カイン様っ！　ごっごめんなさいっ！」と涙目ながら頭を下げて謝って、カイン様は「そんなに謝らなくていいぞ。ただ平手打ちされたことがないから驚いているだけだ」と諭してくれたけれど、私は「でも、目上の方に対して……」と申し訳なさそうにしていると、カイン様は私の頭を撫でて「別に良いから」となだめてくれたけれど、ジークフリートは悔しそうな顔をして「リリアンナ！　こんなやつにそんなに謝らなくてもいいぞっ！」といっていたけれど、私は申し訳なさそうに「でも、一応目上の方だから」といったら、カイン様は嫌味ったらしく「ジークフリートだったけか？　お前は平民だろ。平民にはわかんないからそんなことがいえるんだぞ」といってた。それに付け加えてカイン様は「いいか。俺は人間の貴族社会では、公爵子息という立ち位置にいる。そしてリリアンナは伯爵令嬢というお前も知っているルイーゼ公爵令嬢よりも地位は低いんだ。だからリリアンナが俺にやったことは本来ならば、かなりの無礼に値する。わかったかな」といったら、ジークフリートは悔しそうに「それでも、理不尽は理不尽なだろ」というと、カイン様は「これが人間のくだらない貴族社会のルールや仕組みだ。わかったか？　勇者様」と皮肉っぽい口調でいった。ジークフリートはカイン様から人間の貴族のルールやしきたりについて聞かされたとき、何も反論できなくてものすごく引き続きジークフリートは悔しそうにカイン様を睨んだ。

　魔法の絨毯が王宮に着くと目の前の久しぶりの大理石でできたバロック様式の王宮の迫力に驚いた。王宮の扉の前には騎士のレオンハルトがいて多分だけど、ディアンドルを着ている私とさらにギルドのメンバーとカイン様を連れてきている姿を見て驚いたんだと思う。
　レオンハルトは普段の冷静沈着な態度と打って変わって驚いた顔をして私をしばらく見ていて、レオンハルトは「お久しぶりです、リリアンナ様」と私に挨拶したのちにレオンハルトはカイン様に跪いて「ようこそ、お越しくださいました。カイン殿。本日はハインリヒ王子がいらっしゃいますが、どのような用事で？」と質問して、カイン様はレオンハルトに「あぁ。貴方はハインリヒ王子の専属の騎士でしたか。突然の訪問ですみません。今日は私たちの領地について話し合いたいことがありまして」とレオンハルトは跪いた体勢から立ち上がって「はっ！　わかりました。それではカイン様は王宮の中へお連れしたいところですが、他の人たちは入れられるかどうかわかりません」と申し訳なさそうに答えると、王宮の中からハインリヒ王子が現れた。
　ハインリヒ王子は「平民だったとしても、この人たちはリリアンナの友達だろ？　王宮に入ってもいいよ。ただし、僕が王宮に入れたことは内密に。今日はまだお父様の王様から許可証をいただいていないので」と爽やかな笑顔で私たちに告げて、ジークフリートとハンスさんとフリーダも王宮へと招き入れた。
　ハンスさんはハインリヒ王子とレオンハルトに跪いて「この度はありがとうございます。ハインリヒ王子様」といって、ジークフリートとフリーダも跪いてハインリヒ王子に向かって「このご恩は忘れません」といった。

　王宮の中に入ると王宮にいる使用人たちは来客用のお菓子を準備をしている様子で、カイン様はハインリヒ王子に耳打ちして二人は別の場所に移動した。
　レオンハルトはジークフリートとハンスさんとフリーダと私を別の小さい応接間に案内をしてくれて、そこにレオンハルトも交えて席に座ってレオンハルトは色々私たちギルドや学校生活について色々きいてきた。その最中、王宮にいる使用人たちが私たち人数分の洋菓子を持ってきてくれて洋菓子を机に人数分おき終わると、お菓子を持ってきてくれた
　「リリアンナ、この者たちがリリアンナのギルドのメンバーなのかい？」と聞いてきたので、私は笑顔で「うん。そうだよ。赤毛の彼が同じグリュックシュロス高等学園で同級生で勇者のジークフリートで、グレージュの髪をしていて黒縁メガネをしている僧侶がハンスさんで、アルビノのハーフエルフの魔導士の女の子がフリーダだよ」とそれぞれギルドのメンバーを紹介すると、レオンハルトは目の前で「リリアンナ様、失礼ですがギルドの活動もほどほどにしてくださいね。リリアンナ様は貴族で伯爵令嬢ですので一応、ご自身の立場をわきまえてくださいね」といったとき、ジークフリートたちは落ち込んだ顔をした次の瞬間レオンハルトは「でも、リリアンナ様。良い人たちに恵まれましたね。ですが、ギルドのこともほどほどにしてくださいね。私がいえる立場ではありませんが」と告げられたので、私はレオンハルトに「レオンハルトもお父様みたいなことをいうのね」と悲しそうな顔をしながらいうとレオンハルトも悲しげに「申し訳ございません、リリアンナ様。リリアンナ様が貴族社会にいる限り、私はそう申し出なくてはいけない立場ですので。ハインリヒ王子はどう思っているかわかりませんが」といっていた。
　ジークフリートは「貴族って楽していると思っていたけど、案外大変なんだな」と重たい空気の中でいってたら、レオンハルトは珍しく少し口角を上げて「そうですかね？」となんとなく悲しげにいていたら、カイン様とハインリヒ王子が私たちがいる小さな応接間に入ってきた。
　ハインリヒ王子が「カイン殿との話が終わったよ。リリアンナとえーと、どちらさまでしたっけ？」と聞くと、レオンハルトが軽くハインリヒ王子にそれぞれ私のギルドのメンバーの紹介をしはじめた。
　「この者たちは平民でございまして、リリアンナ様のギルドのメンバーの勇者のジークフリートでリリアンナ様が通ってらっしゃるグリュックシュロス高等学園の同級生です。こちらが僧侶のハンスで、アルビノのハーフエルフの魔導師のお嬢様がフリーダです。ハインリヒ王子」とレオンハルトがいうと、ハインリヒ王子は笑顔で「この方々がリリアンナの友達かい？　僕はリリアンナの幼馴染なんだけれど、あんなに人見知りで臆病だったリリアンナにもこんな外の世界で友達ができるなんて、ちょっと寂しいけれど嬉しいね」と子供の成長を喜んでいるような寂しがっているような口ぶりで、私のギルドのメンバーに挨拶をした。そして、私は少し恥ずかしくなり「ハインリヒ王子、ちょっと恥ずかしいのですが……」と俯いていったら、ハインリヒ王子は「別に恥ずかしがることじゃないだろう」と少し笑って「これからもリリアンナと仲良くやってくれ、君たち。僕はレオンハルトと共に定位置に戻らなければないから、また今度、許可証を渡した時にでもこの王宮にきてくれ。それではカイン殿、お先に失礼する。あと、レオンハルト。カイン殿たちを王宮の玄関まで案内してやってくれ」と告げてその場から去ってしまった。

　レオンハルトが、カイン様と私たちギルドのメンバーを王宮の玄関まで歩いて案内してくれた。そして王宮の玄関にたどり着くとレオンハルトはカイン様と私に「馬車の用意とかしなくてもよろしいですか？」と質問すると、カイン様は「いや、馬車の準備をしなくても大丈夫です。こちらには平民だが優秀な魔導師がいますから」といってカイン様はフリーダの頭を撫でた。
　レオンハルトは驚いた顔をして「魔導師が人を送り向かいできるのですか？」と質問を投げかけるとカイン様は「魔法の絨毯っていうのが本当にあるんだよ」と笑顔でいって、ハンスさんもレオンハルトにお辞儀をして「今日はありがとうございました」といって、ジークフリートも初めての王宮に感化されたのか、ジークフリートも「ありがとうございましたっ！」といってフリーダも「王宮のおやつも美味しかったです。ありがとうございました」とレオンハルトに伝えて、私たちと共に王宮の外に出た。

　王宮の外に出るとフリーダは早速、絨毯を広げて私たちはその絨毯に座って魔法の絨毯が浮いて私たちは空中へと向かった。誰から先に帰らせようかみんなと話していると、ジークフリートは真っ先にカイン様をお城に帰らせることを提案したので、私たちは全員賛成して一番最初にカイン様をお城の近くに行くことになった。
　そして、カイン様は私の耳元で「明日も来れるなら、リリアンナ嬢一人でも良いから俺の城へ来い。なんか嫌な予感がする」と囁いた。私はその囁き声にドキドキしてしまい、今度はビンタをしないように固まってしまった。