悪役令嬢の名誉を挽回いたします!

みすずメイリン

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第33話、終わりの始まり

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 私は学校でシトロンの香水くさいと噂にならないか、シトロンの香りと灰の香りが混ざっていないか心配で何度も何度も歩いている最中は、自分の制服のにおいをものすごく嗅いで確認していた。
 歩いて登校しているからか、香水のにおいも外の空気で取れるんじゃないかと希望を持ちつつ、私は校門を潜ってロココ調の迫力があるグリュックシュロス高等学園の校舎の中へと、入った。
 あ、そういえば、ルイーゼがグリュックシュロス高等学園から私の家の領地のゾネンバッハの高校へと編入した後に、ヴェロニカが学園の女王として君臨しているんだけど、彼女はそこまで自分の立場にこだわっていなくて逆にそこも彼女が女子生徒の希望の王子様、男装の麗人として君臨して、ハインリヒ王子に次ぐ王子様のような公爵子息の男子生徒よりも女子に囲まれていたんだった。それについて彼は露骨にショックを受けていたような気がする。なんていう名前だったかな? あの公爵子息は。ルイーゼ断罪の時にマルレーネにマルレーネの性格について「僕は好きだ」といっていた、あの公爵子息は。あぁ、そうか。エーデルトラウト公爵子息だったかな?
 まぁ、いいや。私はジークフリートに話があるんだしと思っていたら、ジークフリートを校舎の中で見かけたので早速、ジークフリートに挨拶をして私がいいたいことをいおうと思った。
 「おはよう、ジークフリート」
 「ん、あぁ、おはよう。リリアンナ」とジークフリートはなんとなく緊張していていると同時に寂しそうな表情をしているように見えたけれど挨拶を返してくれて、私はいわなくてはならないことがあるのになかなかいえないで、ジークフリートと私の間には微妙な空気が流れたので私たちはしばらく沈黙して、他のお金持ちだけど平民の生徒とか他の生徒たちのルイーゼがグリュッククシュロス高等学園から去った後の噂話を二人で聴いていた。彼ら彼女らはヒソヒソと聞こえないように気をつけて話していたけれど、ジークフリートと私には聞こえていた。
 「聞いた? あの学園の女王として君臨していたルイーゼ公爵令嬢、社交界でリリアンナ伯爵令嬢を断罪しようとしたらしいよ」
 「リリアンナ伯爵令嬢の田舎の領地にハインリヒ王子の命令によって引越しさせられたルイーゼ公爵令嬢って、平民にまで悪評を流してたって話らしいよね。本当に貴族って怖いよねー」
 「でも、ヴェロニカ公爵令嬢は、ルイーゼ公爵令嬢と違うわよ。ヴェロニカ様も貴族だけど」
 こんな感じでジークフリートと私は、他の生徒たちのルイーゼに対す噂話を聞いていたけれど、私は再び少し緊張しながら、ジークフリートに話しかけた。
 「ねぇ、ジークフリート。今日のお昼休み、二人きりになれる場所で大事な話をしたいんだけど、いいかな?」と私はジークフリートに問うと、ジークフリートは頬を赤らめていて覚悟を決めたような表情でただ一言だけ「あぁ、いいぜ」と返事して「どこで話がしたいんだ?」とどこで話し合うかジークフリートはさらに質問してきた。
 「食堂で昼食を食べ終わった後に学校の庭のガゼボで話をしたいんだけど、いいかな?」と私は内心ドキドキしながらジークフリートに聞いてみたら、彼は「うん。いいぜ。大事な話みたいだからな」と答えてくれた。そして「じゃあ、俺、自分のクラスの教室に行くから」と立ち去ってしまったけれど、今日の私たちはなんだかとてもぎこちなかった。

 私も自分の教室に向かおうとしたら、今日初めてエーデルトラウト公爵子息に話しかけられた。話しかけられたといってもたまたま二人きりになったという感じだけど。
 「おはよう、リリアンナ」
 「おはよう、エーデルトラウト」と私はエーデルトラウトに挨拶を返すとエーデルトラウトは驚いた顔をして「この僕に挨拶をされても黄色い声を出さないだなんて、君はさっきの平民に恋をしているのかな?」と的を外したことをいってきて、いくら顔が整っているからとはいえ王子様キャラだと本人は思い込んでいるらしいエーデルトラウト公爵子息がちょっと鬱陶しかったので、私の前世の知識にある動物のチベットスナギツネみたいな表情で私は「そんなんじゃないわよ。じゃあ」と立ち去ろうとするとエーデルトラウト公爵子息は私に「なんだ?! 君もヴェロニカ公爵令嬢の方がよっぽど僕より王子様っぽいとでも思っているのかね?!」とショックを受けながら質問してきたので私は「そうよ」といい放つと、エーデルトラウトはその場で腰を抜かしてショックな顔をして座り込んでいたけれど、私は彼を無視をした。だって、私はジークフリートに大事なことを伝えなければいけないけれど、その対象はジークフリートだけじゃなかったから。




 私が教室の中に入ってからはスムーズに朝礼が始まっては終わり午前の授業も始まっては流れるように終わって、ついに昼休みの時間になって私は食堂に行くと私はジークフリートに会った。ジークフリートは私に話しかけてきたけれど、なんだか今日のジークフリートは空元気で無理しているように見えた。
 「リリアンナも授業が終わったのか?」
 「そうだよ。ねぇ、ジークフリート、一緒に二人だけでお昼ご飯を食べない?」と私がジークフリートに昼食を誘ったら、ジークフリートは心配しているような表情で「おいおい、お前大丈夫なのかよ? また男好きだと噂されるぞ」と忠告されたけれど、私は堂々と「もうルイーゼはいないんだし、大丈夫よ」と言い切るとジークフリートは目を大きく開いて瞬きを何回か連続でして「リリアンナ、お前、なんか変わったなぁ」となんだか寂しそうに私が変わったことを教えてくれた。
 そして、私は初めてジークフリートと二人だけでいつものジークフリートの男友達とは別で一緒にお昼ご飯を食べて、いつの日かの舞踏会のことを話していた。もしかしてこれがジークフリートとの二人きりの昼食が最初で最後かもしれないと思いながら。
 お昼ご飯を食べ終えると私たちは校舎の外にある庭のガゼボに行った。校舎の庭の花壇からは色んな花の香りがしていたけれど、ジークフリートは「なぁ、リリアンナ嬢。今日、お前って香水をつけているのか? 朝から良いシトロンの香りがリリアンナ嬢からすんだけど」と聞いてきたので、私は今朝ルイーゼからの手紙を燃やして急いで灰のにおいを消すためにシトロンの香水をかけまくったことを思い出し「そうだよ。でも香水をつけすぎちゃったかな? って不安だったけれど大丈夫? 私、香水臭くない?」とジークフリートに聞いた。実は、あと、灰のにおいも混ざっていない? とも問いたかったけれど黙っていた。そしたら、ジークフリートは笑顔だけど悲しそうな表情をして「香水の匂いは別にきつくないぞ。ただほんのり良いシトロンの香りがするっていうだけだ」と答えてくれて、私はほっと安心した。
 それから、私は本題に入った。
 「ジークフリート、実はいわなければならないことがあって」と私がいい始めるとジークフリートは真剣な顔をして黙っていたので、私は引き続き息を飲んで話し始めた。
 「近々、ハインリヒ王子から婚約の申し出があるかもしれないから、もうジークフリートとはギルドを組んで冒険に出れないかもしれない」と私はついにいってしまった。
 ジークフリートは私の言葉を聞いてからはものすごく悲しそうな表情で「あの日の社交界と舞踏会を見て思ったよ。リリアンナは貴族だから仕方ないよな」と告げた後つづけて無理して口角を上げながら「住む世界が違っていても俺たちは一緒だよな。俺も王族に認められるような勇者になるよ。だから、幸せになれよ。リリアンナ」とジークフリートは無理して頭を撫でてくれたけれど、私も胸が張り裂けそうだった。別にジークフリートと私は男女の仲にもなっていないのに、まるで恋人との別れたようだった。
 その後は、悲しいはずなのになんだか少しだけ爽やかな気分でジークフリートと私は二人で自分たちのクラスの教室に戻って、午後の授業が始まるのを待っていた。

 それからはまたスムーズに学校の一日が進んだ。午後の授業が始まっては終わって終礼の時間になって終礼は特にお知らせもなく終礼は終わって放課後になった。
 放課後になると、ジークフリートが話しかけてきた。
 「今日からはもうリリアンナはギルドに参加しないのか?」と質問を投げかけられたので、私は困り顔をしつつ「ごめん。もしかしたらもうできないかも」と答えると、ジークフリートはもの悲しげだけど少し微笑んで「そうか。でもまたギルドとは違う活動でまた俺たちギルドメンバーと遊ぼうな」とまたジークフリートとハンスさんとフリーダと私の四人が遊ぼうという約束を持ちかけてきたので、私は笑顔で「うん。そうだね」と返事をして「またね」とジークフリートに手を振って私は立ち去った。

 私は帰って家の中に入ると玄関には、お父様とお母様と使用人のヘレーネとフリードリヒが出迎えてくれた。使用人のヘレーネとフリードリヒは「おかえりなさいませ、リリアンナ様」と頭を下げた。そしてお父様とお母様は笑顔で「おかえりなさい、リリアンナ」と暖かく迎えてくれた。そして、お父様は「今日はどこに行くのかね?」と私にこの後の予定を聞くと「ディアンドルに着替えたら、ハンスさんのいる教会に行くの」とお父様からの質問に答えてながら、私は自分の部屋に向かった。

 自分の部屋に入った後は、来ていた制服を脱いで洗面所に入ってシャワーを軽く浴びてからソフトピンク色のディアンドルに着替えて、部屋の外に出て家の外に出ようとすると、お母様が玄関にまだ立っていて私はお母様に話しかけられた。
 「あら、リリアンナ。あなたまだギルドにいていたの?」と聞かれたけれど、私は「ううん。今日はちょっと伝えなきゃいけない人たちに伝えるために出かけなきゃいけないの」とお母様の質問に答えると、お母様は優しい笑顔になって「いってらっしゃい。リリアンナ」といって、なんだか私はお母様のめずらしい表情を見たように思えた。
 そして、私はハンスさんのいる教会へと足を運んだ。




 ハンスさんがいる教会の建物は私の前世の知識でいうと、オーストリアのウィーンにある聖シュテファン大聖堂に似ていて相変わらず建物の迫力に私は圧倒されつつも、私はハンスさんがいる教会の建物の中に入った。すると、ハンスさんはすぐに私を出迎えてくれた。
 「やぁ、リリアンナさん。今日はどうなさいましたか?」とハンスさんからこの教会での用事を聞いてきた。そして、私は真剣な表情で私はハンスさんの顔を見て「ハンスさん、実は伝えなきゃいけないことがあります」と伝えた。すると、ハンスさんは覚悟を決めたようないつもの穏やかな表情とは違った彼の顔を見せてくれた。
 「話ってなんだい?」とハンスさんに聞かれたので、私は単刀直入に「ハインリヒ王子から婚約の申し出が近いうちにあるかもしれません。ですので、もうハンスと一緒にギルドを組んで旅に出れないかもしれません」と告げた。
 ハンスさんは覚悟をしていた表情をしていたけれど、切ない表情になってしまった。そして、彼も無理矢理にでもいつもの穏やかな微笑みを見せつつ、ハンスさんは「リリアンナさん、教えてくださってありがとうございます。将来、ハインリヒ王子と結婚式を挙げるならば、僕の教会を使って欲しいです」と私の両手を掴みながらいった。それから、ハンスさんは私の両手を離してポケットから何かを取り出す動作をしていた。彼はポケットから木で作られた十字架のアクセサリーを私の手の平に乗せて渡してくれた。そしてハンスさんは笑顔で「これは幸運のお守りです」といってさらに「僕もリリアンナさんの幸せを願っています」と笑顔だけどどこか苦しそうな表情でハンスさんはそう告げてくれた。
 そんなハンスさんを見て私は笑顔で「ハンスさん、ありがとう」と伝えて、私は、ハンスさんの教会の外へと向かった。
 
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