悪役令嬢の名誉を挽回いたします!

みすずメイリン

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第32話、新たな決意

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 ルイーゼが倒れ込んでからは、王宮の使用人たちや念のためにお医者様がきてルイーゼは担架に乗せられてレオンハルトはルイーゼのために馬車の手配をして、ハインリヒ王子は「皆様、個人的なことで皆様を巻き込んで申し訳ありませんでした。私たちがばら撒いた紙は、私たちの身分関係なくみんなで片付けていただけると助かります。私も手伝いますので」と宣言して、さっそく王宮の使用人たちがゴミ袋を大量に持ってきた時に、ギルドのメンバーでハーフエルフの魔導師のフリーダはルイーゼがいたところまで行って、フリーダは「そんなことする必要はない、です」といって彼女は得意の魔法を使った。あちこちにばら撒かれたルイーゼのノートのコピーされた大量の紙は宙を舞って、王宮の使用人たちが持ってきたゴミ袋の中に入れて、ゴミ袋が足らなくなるとフリーダは紙を宙に浮かせたままゴミ袋が来るのを待ってそこに大量の紙を魔法でゴミ袋の中に入れていた。
 その様子を貴族たちは何かのショーみたいに見ていて、ハインリヒ王子も微笑みながら魔法を使っているフリーダの様子を見ていた。そして、すべての床に散らばった紙が片付けられたとき、レオンハルトとアロイスはフリーダに跪いて、レオンハルトは「我々の尻拭いをしてくださってありがとうございます。あなたは魔導師だったのですね」と問うと、フリーダは「そうですね。今、魔法学校にも通っている学生でもあります」と答えると、私はフリーダに近づいて握手をして「フリーダ、ありがとう。フリーダがいなかったら、今頃みんなで片付けをして終わるだけの社交界になっていたよ」というとフリーダは満面の笑顔になって私はフリーダに抱きついて、フリーダは私の背中をポンポンと優しく叩いてくれた。
 そして、ハインリヒ王子はフリーダに「フリーダだったかな? 僕たちがばら撒いた紙の掃除を全てしてくれてありがとう。本当に君たちを社交界に参加させて良かった」と優しい笑顔でいった。

 その後の社交界は、舞踏会となってまるで夢のような時間だった。楽しすぎてあんまり覚えていないんだけれども、ジークフリートはアロイスやレオンハルトに剣術の話で盛り上がったり、ハンスさんはヴァルデマールさんと一緒に話したり、カイン様はヘルガさんの腰を触ろうとすると、ヘルガさんはカイン様の触ろうとしていた手を叩いたりしていた。フリーダは舞踏会に出てきたお菓子を一生懸命に食べていたら、恐らく伯爵子息だと思われる男性に一緒に踊ることを誘われたりしていた。
 そんな私は、いつの日かの舞踏会みたいにハインリヒ王子と何回か一緒に踊ったりレオンハルトとも一回踊ったりして、みんなが踊ったりお菓子を食べたりしている間、人の目を盗んでハインリヒ王子と私は二人きりで王宮の外に出て王宮の庭にあるガゼボに行って少し、二人きりで夜空を見ながら話していた。
 「ハインリヒ王子、ルイーゼのことについてはどうもありがとうございました」と私はハインリヒ王子にお辞儀をしてお礼を述べた。ハインリヒ王子は「そんな、お礼なんて。僕はただ借りを返しただけだよ。ルイーゼ公爵令嬢からのリリアンナに対する断罪についてずっと心残りだったから」と視線を逸らしながら俯きながらいった。
 「そうですか。ところで急に話を変えますが、ハインリヒ王子にはまだ婚約者はいないのですか?」と質問すると、ハインリヒ王子は即答で「まだいないよ。でも心に決めている人がいる。今はいわないし、お父様とお母様に許可を取らなきゃいけないけれど、多分聞くまでもないと思う」とまっすぐ私の顔を見てそう告げた。
 そして、私はハインリヒ王子から何かしら悟ったので、後日、私と関わり合いのある男性陣から伝えなきゃと思った。
 その後は、ハインリヒ王子と私の二人きりで踊って、あれ? どうしたんだっけ? 何だかこんな楽しい舞踏会初めてだったような気がする。だからかわからないけれど、とても幸せな気分だった。



 こうして私はルイーゼが去った後の舞踏会のことを思い出しながら、朝になって目覚めた。今日はいつもみたいに使用人のヘレーネのドアのノック音で起こさせることもなかった。
 あの日から何日ぐらい経ったのだろう? ルイーゼがグリュックシュロス高等学園から私の家の領地にある田舎の学校に転校してからどれくらい日にちが経ったのだろう? ルイーゼとアルブレヒト様は私の家の田舎の領地で元気にやっているのかな? と思いながらベッドから起き上がって眠たい目を擦りながら自室にある洗面所の中に入って、顔を洗って歯を磨いて寝癖を治してから洗面所から出て、少しだけベッドメイキングをしてグリュックシュロス高等学園の制服に着替えて私は自分の部屋から出ようとしたら、使用人のヘレーネと出会った。ヘレーネは私にお辞儀をして「リリアンナ様、おはようございます」と挨拶をして私も「おはよう、ヘレーネ」と挨拶を返した。
 すると、ヘレーネは手紙が入っていそうな封筒を私に差し出して「朝食前にすみません。リリアンナ様。ゾネンバッハに在住のルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢からお手紙が届いております。それでは、応接間にて待っています」とヘレーネは頭を下げて、応接間がある方向へと向かった。
 そういえば、ゾネンバッハって私の家の田舎の領地だったなぁと思いつつ、それにしてもどうして手紙から薔薇の匂いがするのだろう? わざわざ手紙と封筒に香水でもかけたのかな? と思いつつ恐れ恐れルイーゼからの手紙の封筒を開封してルイーゼ直筆の手紙を私は息を飲んでから読み始めた。

 親愛なる、リリアンナ伯爵令嬢へ。
 そちらでの生活はどう? 私がいない今のあなたはグリュックシュロス高等学園での生活は大変でしょうね。
 今の私は、ゾネンバッハというところにあなたの元婚約者のアルブレヒト・フォン・ノイシュタット公爵子息と共に生活して、そのアルブレヒト様にものすごく愛されながらも、結婚の手続きも順調に進んでいるわ。そして、ゾネンバッハは太陽の小川という名前の通り、何もない平和な場所よ。あなたにはきっと退屈でしょうね。
 アルブレヒト様が以前フェンシングに打ち込んでいらしゃったので、私もフェンシングをゾネンバッハに来てから始めたの。
 そして、私は日々フェンシングに勤しんでいるの。剣の動き一つひとつが相手の隙を突き勝利を手にするための戦略なのよ。だから、あなたにはこんな奥深さは理解できないでしょうけど。
 ハインリヒ王子があなたを好むのは、彼があなたしか知らないからよ。この世界には、あなたよりも美しく賢く完璧な女性がいくらでもいる。彼の目が覚めた時、あなたは捨てられるだけよ。
 その幸せが、いつまで続くかしら? この貴族社会では地位のないあなたの幸せは、一瞬で崩れ去る砂のお城みたいなものよ。あなたも、いつか私の気持ちがわかる日が来るでしょう。
 敬具、ルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢より

 ……ルイーゼからの手紙はところどころ何かしらひっかかるところがあったけれど、とりあえずこの薔薇の香りがする手紙は封筒にまた戻して私はこの手紙を自分の部屋に置くために戻って、そしてまた自分の部屋から出て、私は朝食を取るために応接間へと向かった。

 応接間に着くとお父様とお母様はすでに席についており、使用人のフリードリヒは私に微笑みながらお父様とお母様に今日の朝食を机に置いて「早くお座りになってください。リリアンナ様」というと私はちょっとムッとして「余計な一言よ。フリードリヒ」と告げると、フリードリヒは全然反省していない様子で「かしこまりました。リリアンナ様」と微笑みながら、私に今日の朝食を机に置いてくれた。
 それから、お父様とお母様にはルイーゼから手紙が来たこととハインリヒ王子には今は婚約者はいないけれど、心に決めたことがいるとルイーゼ断罪と同じ日に行われた舞踏会で告げていたことを話すと、お父様とお母様は顔をお互い驚いた表情で見合わせながら、お母様は嬉しそうな表情をして「リリアンナ、自分で女としての幸せを掴み取りに行きなさい」と興奮気味に何故かアドバイスされて、お父様は「相手がどうであれ、私は父としてリリアンナの幸せを願っているよ」と微笑みながら朝食を取りはじめた。

 朝食を取り終わったので私はまた自分の部屋に戻って、自分の部屋の中にある洗面所に行って制服に歯磨き粉がつかないように気をつけて歯を磨きながら、お父様とお母様が背中を押してくれたことを思い出し、なるべくルイーゼが手紙で書かれていたことを思い出さないようにして、今、私自身が何をするべきか思いついて私は早速、今日から行動に移そうと自分に誓った。今日は学校があるから最初はジークフリートから思いを告げようと思い、歯を磨き終えて鞄を持ってルイーゼからの手紙を自分の部屋の机に置いたけど、それを持っていって私は部屋の外へ出て、私は玄関にいく前に厨房に入った。そこにはフリードリヒがいて彼は私を見るなり目を大きく開いて物珍しそうに私を見て、私に話しかけた。
 「厨房は、リリアンナ様が来るところではないですよ。一体どうなさったんです?」とフリードリヒから質問されたけれど、私は少し急ぎ気味でフリードリヒに「ここにろうそくと火はあるかしら?」と質問を質問で返したけれど、フリードリヒは想定とは違う私の言動に驚いたのか「リリアンナ様が何を考えているのかわからないのですが、とりあえずろうそくと火を用意させていただきますね」と私に告げて、フリードリヒは火がついているろうそくを持ってきた。そして、私はフリードリヒが持ってきてくれた火がついているろうそくに、ルイーゼからの手紙を火につけて私はルイーゼからの手紙についていた封筒もついでにろうそくの火と共に燃やした。ルイーゼからの手紙を燃やしている私を見たフリードリヒはいつものからかうような態度と違って、彼は私を恐ろしいものを見るような目で見ていた。
 そして、ルイーゼからの手紙を燃やして全て灰になったのを確認し終わったら、フリードリヒは遠慮がちに「この灰になった手紙は僕が片付けておきますので、リリアンナ様、シトロンの香りのする香水をかけて登校してくださいね」と指示してくれて、私は走って自分の部屋に戻って制服にシトロンの香水を灰のにおいを消すためにものすごくかけて香水臭くなったけれど、もう学校に遅刻しそうだから、私は真っ先に玄関へと向かった。
 玄関に着くと、お父様とお母様と使用人のヘレーネが立っていて、お父様が嬉しそうにしているけれども若干寂しそうな声色で「今日もリリアンナの幸せを願っているよ」と告げて、お母様はただ「いってらっしゃい、リリアンナ」と嬉しそうに見送ってくれて、ヘレーネは頭を下げて微笑みながら「いってらっしゃいませ。リリアンナ様」と伝えて、私は「いってきます」と返事しながら、玄関の扉を開けた。
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