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第一巻:春は、あけぼの
新人-スーツ
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「新人マネージャーの西原茜です。よろしくお願いします」
事務所の社長室で、俺に頭を下げたのは、顔立ちはギャルっぽいのに黒髪ショートカットで不思議な雰囲気のスーツの女性だった。
年は二十代前半、スーツは白で、タイトなミニスカート。
どういうこと?と社長を見ると、
「まだ、試用期間だけどね。社長業が忙しくなってきたから、沢田専務の面倒見切れなくなってきたのよ」
俺は、そんなに仕事してないし、かなり雑に扱われている気がするが。
それはおいておいても、確かに、社長がタレントのスカウトなど、忙しそうにしているのは、わかる。
こんな俺にも、定期的に仕事がくるのは、彼女の営業の賜物なのだろう。
あと、俺が「専務」なのは、書類上だけのことで、何の権限もない。
今まで、タレント事務所セカンドチャンス株式会社は、登記に必要な役員の一部を外部委託していた。
当然、有料なので、俺に役員手当を値切って支払った方が、安く済むから乗り換えた、というカラクリだ。
どうにも、某生き残れなかったゲーム機のテレビCMの印象で、専務という呼ばれ方の印象が悪い、と主張したが、理解できたのは同じ年の形山社長だけで、逆に喜んで、専務呼びしてくる。
「茜ちゃんは、元セクシー女優だから、若いのに業界長いけど、テレビやマネージャー業は慣れてないんだから、イジメちゃだめよ、沢田専務」
さらっと、とんでもない情報をぶち込んできた。
「沢田専務の炭酸水、ここに置いておきますね」
車の助手席に座ると、ドリンクホルダーにペットボトルが差し込まれた。
「ありがとうございます、西原さん。でも、専務は抜きで呼んでください。」
「それなら、茜って呼んでください。アダルト動画でもアカネだったので」
「・・・はい、茜さん」
アクセルを踏む、ミニスカートから零れる太ももから目を逸らした。
ぶっちゃけ、社長よりも運転が丁寧だったし、道中で今日の仕事の詳細説明をしてくれて、とても新人とは思えなかった。
「社長からのメモを丸暗記してるだけですよ」
褒めるとそう笑うが、事前に覚えているだけ偉い。
というより、どうして俺には、そういう情報いれなかったんだ社長?
「どうして、アダルト動画に?」
つい気安い雰囲気に、つい聞いてしまい後悔したが、
「お金ほしくてです。茜、馬鹿だから、お金稼ぐには、アダルト動画くらいしかできなくて。でも、後悔してません」
「お金を稼ぐのは、本当に、大変ですからねえ」
俺は、長いサラリーマン生活を思い返し、しみじみと言った。
「え?アダルト動画ですよ?」
俺が、共感したことに驚いたようにで、聞き返してくる。
「はい?アダルト動画でしょうが、サラリーマンでしょうが、大変な思いをして、働いてお金を稼いでいるのは、同じですよ」
「え、はい・・・」
言葉を飲み込んだ風で、彼女が納得したのかは、わからなかった。
「本日の衣装は、こちらになります」
番組のスタイリストさんが届けてくれたスーツに着替えるため、制服のブレザーを脱ぎ、シャツのボタンに手をかけて、茜が楽屋から出ていかないことに気がついた。
社長へなら、出ていけと言えるのだが。
見られたら恥ずかしい、とオッサンが言うのも恥ずかしいので、Tシャツ、トランクス姿になったところで、茜が声をかけてきた。
「沢田さん、椅子に座ってください」
顔なら、着替えた後に、メイク室でメイクさんに塗ってもらうが?
とりあえず、新マネージャーがついたことで、システムが変わったのかもしれないので、情けない下着姿で、楽屋の椅子に座る。
彼女は俺のトランクスのウエストに手をかけ、言った。
「お尻をあげてください」
「ちょっと、まったー!」
俺は、パンツの前を押さえるという、これまでの人生で初かもしれないポーズで、叫んだ。
「はい?」
俺の前に跪き、とても不思議そうな顔の茜。
これ、何のエロゲ?
こうなっている原因予想をいくつか列挙。
その中で、とてつもなく確立の高い候補を口にした。
「・・・茜さん、社長に何を言われました?」
「沢田さんは、性欲が強いので、本番前に処理してさしあげろと」
本番って、収録本番のことだよね?
違う本番に聞こえますよ?
少々斜め上ながら、予想通りだったので、なんと言って、説得しようか、考える。
「茜は、そういうお仕事として社長に雇っていただいたので。茜には、そのくらいしか価値がないから」
あーあ、社長の思惑が透けて見える。
たぶん今頃、この状況を想像して、ほくそ笑んでいることだろう。
社長の思う壺だとしても、茜の言葉に、俺は怒り心頭だった。
「やめろ、マネージャー」
俺の怒りが伝わったのか、怯えた表情になる茜。
「・・・茜なんかじゃ、セクシー女優やってた汚い女だから、ダメですか?茜、魅力ないですか?茜、こんなことしかできないんです」
「俺の優秀な西原マネージャーを馬鹿にするなよ?」
涙目になった茜の襟首を俺はつかんだ。
「価値がないだと?さっきまで、俺にしてくれていた仕事は、そんなに、価値がない、どうでもいいことだったのか?」
「ひっ、いっ」
息が苦しいだろうが、容赦しない。
「お前が俺のためを思って用意してくれた飲み物や、教えてくれた情報で、どれだけ俺が喜んで、助かったか。それは、お前の魅力で、こんなことをするより、ずっと上じゃないのか?」
「え?え?魅力?」
「汚い女だ?金を稼ぐために働くのが汚いなら、サラリーマンが長い俺の方が、もっと汚い橋を渡って汚れてる。こんな若い娘が、俺より汚いハズがない。舐めるな!」
「ひっ」
「お前は、お前なりに俺のことを考えてくれる、お前にしかなれない、俺だけのマネージャーなのか?それとも、いくらでも代わりのきく元セクシー女優の性処理係なのか?どっちなんだ?」
俺は、問うて、手を離した。
床にへたり込んだ茜は、せき込み、床に涙を落としながら、小さく呟いた。
「・・・性・・・やだ、マネー、ジャーです」
「聞こえない」
声を振り絞るように、
「茜にしかなれない、マネージャーになりたいです!」
こんな真昼間から、こんな下着姿で、俺は何を語ってるんだ?
「なら、優秀なマネージャー、衣装をとってくれ」
「・・・はい」
とってきたスラックスを、椅子に座っている俺の足を持ち、通しだす。
これ、なんのプレイ?
止めさせると泣きそうなので、次回から、どうやって自分で着ようか、考えながら、立ち上がるとベルトを緩く締められる。
シャツを羽織らされたので、急いで自分でボタンをはめだしたら、背中に抱き着かれた。
「・・・どうした?」
「さっき言った、セクシー女優をやって、後悔しなかったって、嘘です」
車中での会話のことだろう。
「茜が、セクシー女優だって知ると、男の人は、エッチなことしていい女って目で見ました。そういうモノ扱いでした」
それを受け入れてしまっている彼女を知って、社長は、どうにかしようと思ったのだろうが、思ったんなら自分でやれ。
俺を巻き込むな、丸投げするな。
わずかな専務の役員手当には、そんな分は含まれていないぞ。
『沢田先生、そろそろメイク室へお願いします!』
「はい!」
ノックと共のドアの向こうからのスタッフに、俺は答えた。
「茜のこと、茜って人扱いしてくれたの、沢田さ・・・沢田先生が初めてです」
また、先生呼びされたか。
スタッフの呼び方を聞いて、「さん」より「先生」が上位と思ったのかな。
泣きそうだから、変更を要求するのは、諦めておく。
社長の方が先に、茜を認めていたのだが、俺への仕打ちを考えると、持ち上げてやらない。
「もう、俺のマネージャーだ。肩書きは、元セクシー女優じゃない。誰かにスケベな目で見られたら、俺に言え」
「はい。沢田先生」
「マネージャー、上着を」
スーツの上着にさっそうと袖を通し、ドアを開けながら、
「マネージャー、笑顔が足りないぞ?」
これ言ってから気がついたが、テレビに初出演した後、社長に言われた言葉だ。
「・・・はい、沢田先生」
涙をぬぐう茜に恰好をつけて楽屋を出たが、ネクタイを締め忘れていた俺は、スタッフに注意された。
「社長!ハメましたね?」
俺は、収録が終わり、車で事務所に帰ると同時に社長室へ駆け込み、クレームを入れた。
「あら、ハメちゃったの沢田専務?」
「言い方よくない!」
あみの口癖の丸パクリで申し訳ないが、思いっきり、社長を指さして注意した。
彼女は、ニヤニヤしながら、デスクに手をついて吠える俺と、ドアの側で佇む茜を交互に見ていた。
そして、
「それで、元セクシー女優の茜ちゃんは、採用?不採用?」
「なに?」
「茜ちゃんは。沢田専務のマネージャーに。採用なの?不採用なの?」
意味が分からないのではなくて、何を今更言ってるんだ、の「なに?」だ。
なに言ってんだお前、これだけ俺に丸投げしておいて、と噛みつこうとして形山が、俺越しに、茜を見ていることに気がついた。
これは褒めて言っているのだが、俺が所属する事務所の社長は、本当に頭がいいが、馬鹿のようだ。
もし、ここまで手間をかけて、茜が辞めたいと言ったら、みすみす優秀な人材を失うんだぞ?
俺は、ため息をつくと、
「それは、俺が決めることじゃない。西原茜が、自分で選ぶことだ」
茜は、名前を呼ばれて、顔を上げた。
自分が思い込んでいた、元セクシー女優だからこその採用ではなく、西原茜としての仕事。
何か、言いたそうに口を開くが、言葉にならない。
それを見て、くすっと笑った形山は、優しく聞いた。
「茜ちゃんが、どうしたいか、教えて?」
彼女は、もじもじとし、か細い声で、だが自分の意志で言った。
「・・・沢田先生、末永くお願いします」
それ、プロポーズへの答え方だろう。
「沢田専務は、思ってた以上に動いてくれたけど、これだと志桜里は大変だし、私もつまみ食いできないわねえ。どこの宗教家ってくらい、欲望を汚いって考えてるわよね」
事務所の社長室で、俺に頭を下げたのは、顔立ちはギャルっぽいのに黒髪ショートカットで不思議な雰囲気のスーツの女性だった。
年は二十代前半、スーツは白で、タイトなミニスカート。
どういうこと?と社長を見ると、
「まだ、試用期間だけどね。社長業が忙しくなってきたから、沢田専務の面倒見切れなくなってきたのよ」
俺は、そんなに仕事してないし、かなり雑に扱われている気がするが。
それはおいておいても、確かに、社長がタレントのスカウトなど、忙しそうにしているのは、わかる。
こんな俺にも、定期的に仕事がくるのは、彼女の営業の賜物なのだろう。
あと、俺が「専務」なのは、書類上だけのことで、何の権限もない。
今まで、タレント事務所セカンドチャンス株式会社は、登記に必要な役員の一部を外部委託していた。
当然、有料なので、俺に役員手当を値切って支払った方が、安く済むから乗り換えた、というカラクリだ。
どうにも、某生き残れなかったゲーム機のテレビCMの印象で、専務という呼ばれ方の印象が悪い、と主張したが、理解できたのは同じ年の形山社長だけで、逆に喜んで、専務呼びしてくる。
「茜ちゃんは、元セクシー女優だから、若いのに業界長いけど、テレビやマネージャー業は慣れてないんだから、イジメちゃだめよ、沢田専務」
さらっと、とんでもない情報をぶち込んできた。
「沢田専務の炭酸水、ここに置いておきますね」
車の助手席に座ると、ドリンクホルダーにペットボトルが差し込まれた。
「ありがとうございます、西原さん。でも、専務は抜きで呼んでください。」
「それなら、茜って呼んでください。アダルト動画でもアカネだったので」
「・・・はい、茜さん」
アクセルを踏む、ミニスカートから零れる太ももから目を逸らした。
ぶっちゃけ、社長よりも運転が丁寧だったし、道中で今日の仕事の詳細説明をしてくれて、とても新人とは思えなかった。
「社長からのメモを丸暗記してるだけですよ」
褒めるとそう笑うが、事前に覚えているだけ偉い。
というより、どうして俺には、そういう情報いれなかったんだ社長?
「どうして、アダルト動画に?」
つい気安い雰囲気に、つい聞いてしまい後悔したが、
「お金ほしくてです。茜、馬鹿だから、お金稼ぐには、アダルト動画くらいしかできなくて。でも、後悔してません」
「お金を稼ぐのは、本当に、大変ですからねえ」
俺は、長いサラリーマン生活を思い返し、しみじみと言った。
「え?アダルト動画ですよ?」
俺が、共感したことに驚いたようにで、聞き返してくる。
「はい?アダルト動画でしょうが、サラリーマンでしょうが、大変な思いをして、働いてお金を稼いでいるのは、同じですよ」
「え、はい・・・」
言葉を飲み込んだ風で、彼女が納得したのかは、わからなかった。
「本日の衣装は、こちらになります」
番組のスタイリストさんが届けてくれたスーツに着替えるため、制服のブレザーを脱ぎ、シャツのボタンに手をかけて、茜が楽屋から出ていかないことに気がついた。
社長へなら、出ていけと言えるのだが。
見られたら恥ずかしい、とオッサンが言うのも恥ずかしいので、Tシャツ、トランクス姿になったところで、茜が声をかけてきた。
「沢田さん、椅子に座ってください」
顔なら、着替えた後に、メイク室でメイクさんに塗ってもらうが?
とりあえず、新マネージャーがついたことで、システムが変わったのかもしれないので、情けない下着姿で、楽屋の椅子に座る。
彼女は俺のトランクスのウエストに手をかけ、言った。
「お尻をあげてください」
「ちょっと、まったー!」
俺は、パンツの前を押さえるという、これまでの人生で初かもしれないポーズで、叫んだ。
「はい?」
俺の前に跪き、とても不思議そうな顔の茜。
これ、何のエロゲ?
こうなっている原因予想をいくつか列挙。
その中で、とてつもなく確立の高い候補を口にした。
「・・・茜さん、社長に何を言われました?」
「沢田さんは、性欲が強いので、本番前に処理してさしあげろと」
本番って、収録本番のことだよね?
違う本番に聞こえますよ?
少々斜め上ながら、予想通りだったので、なんと言って、説得しようか、考える。
「茜は、そういうお仕事として社長に雇っていただいたので。茜には、そのくらいしか価値がないから」
あーあ、社長の思惑が透けて見える。
たぶん今頃、この状況を想像して、ほくそ笑んでいることだろう。
社長の思う壺だとしても、茜の言葉に、俺は怒り心頭だった。
「やめろ、マネージャー」
俺の怒りが伝わったのか、怯えた表情になる茜。
「・・・茜なんかじゃ、セクシー女優やってた汚い女だから、ダメですか?茜、魅力ないですか?茜、こんなことしかできないんです」
「俺の優秀な西原マネージャーを馬鹿にするなよ?」
涙目になった茜の襟首を俺はつかんだ。
「価値がないだと?さっきまで、俺にしてくれていた仕事は、そんなに、価値がない、どうでもいいことだったのか?」
「ひっ、いっ」
息が苦しいだろうが、容赦しない。
「お前が俺のためを思って用意してくれた飲み物や、教えてくれた情報で、どれだけ俺が喜んで、助かったか。それは、お前の魅力で、こんなことをするより、ずっと上じゃないのか?」
「え?え?魅力?」
「汚い女だ?金を稼ぐために働くのが汚いなら、サラリーマンが長い俺の方が、もっと汚い橋を渡って汚れてる。こんな若い娘が、俺より汚いハズがない。舐めるな!」
「ひっ」
「お前は、お前なりに俺のことを考えてくれる、お前にしかなれない、俺だけのマネージャーなのか?それとも、いくらでも代わりのきく元セクシー女優の性処理係なのか?どっちなんだ?」
俺は、問うて、手を離した。
床にへたり込んだ茜は、せき込み、床に涙を落としながら、小さく呟いた。
「・・・性・・・やだ、マネー、ジャーです」
「聞こえない」
声を振り絞るように、
「茜にしかなれない、マネージャーになりたいです!」
こんな真昼間から、こんな下着姿で、俺は何を語ってるんだ?
「なら、優秀なマネージャー、衣装をとってくれ」
「・・・はい」
とってきたスラックスを、椅子に座っている俺の足を持ち、通しだす。
これ、なんのプレイ?
止めさせると泣きそうなので、次回から、どうやって自分で着ようか、考えながら、立ち上がるとベルトを緩く締められる。
シャツを羽織らされたので、急いで自分でボタンをはめだしたら、背中に抱き着かれた。
「・・・どうした?」
「さっき言った、セクシー女優をやって、後悔しなかったって、嘘です」
車中での会話のことだろう。
「茜が、セクシー女優だって知ると、男の人は、エッチなことしていい女って目で見ました。そういうモノ扱いでした」
それを受け入れてしまっている彼女を知って、社長は、どうにかしようと思ったのだろうが、思ったんなら自分でやれ。
俺を巻き込むな、丸投げするな。
わずかな専務の役員手当には、そんな分は含まれていないぞ。
『沢田先生、そろそろメイク室へお願いします!』
「はい!」
ノックと共のドアの向こうからのスタッフに、俺は答えた。
「茜のこと、茜って人扱いしてくれたの、沢田さ・・・沢田先生が初めてです」
また、先生呼びされたか。
スタッフの呼び方を聞いて、「さん」より「先生」が上位と思ったのかな。
泣きそうだから、変更を要求するのは、諦めておく。
社長の方が先に、茜を認めていたのだが、俺への仕打ちを考えると、持ち上げてやらない。
「もう、俺のマネージャーだ。肩書きは、元セクシー女優じゃない。誰かにスケベな目で見られたら、俺に言え」
「はい。沢田先生」
「マネージャー、上着を」
スーツの上着にさっそうと袖を通し、ドアを開けながら、
「マネージャー、笑顔が足りないぞ?」
これ言ってから気がついたが、テレビに初出演した後、社長に言われた言葉だ。
「・・・はい、沢田先生」
涙をぬぐう茜に恰好をつけて楽屋を出たが、ネクタイを締め忘れていた俺は、スタッフに注意された。
「社長!ハメましたね?」
俺は、収録が終わり、車で事務所に帰ると同時に社長室へ駆け込み、クレームを入れた。
「あら、ハメちゃったの沢田専務?」
「言い方よくない!」
あみの口癖の丸パクリで申し訳ないが、思いっきり、社長を指さして注意した。
彼女は、ニヤニヤしながら、デスクに手をついて吠える俺と、ドアの側で佇む茜を交互に見ていた。
そして、
「それで、元セクシー女優の茜ちゃんは、採用?不採用?」
「なに?」
「茜ちゃんは。沢田専務のマネージャーに。採用なの?不採用なの?」
意味が分からないのではなくて、何を今更言ってるんだ、の「なに?」だ。
なに言ってんだお前、これだけ俺に丸投げしておいて、と噛みつこうとして形山が、俺越しに、茜を見ていることに気がついた。
これは褒めて言っているのだが、俺が所属する事務所の社長は、本当に頭がいいが、馬鹿のようだ。
もし、ここまで手間をかけて、茜が辞めたいと言ったら、みすみす優秀な人材を失うんだぞ?
俺は、ため息をつくと、
「それは、俺が決めることじゃない。西原茜が、自分で選ぶことだ」
茜は、名前を呼ばれて、顔を上げた。
自分が思い込んでいた、元セクシー女優だからこその採用ではなく、西原茜としての仕事。
何か、言いたそうに口を開くが、言葉にならない。
それを見て、くすっと笑った形山は、優しく聞いた。
「茜ちゃんが、どうしたいか、教えて?」
彼女は、もじもじとし、か細い声で、だが自分の意志で言った。
「・・・沢田先生、末永くお願いします」
それ、プロポーズへの答え方だろう。
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