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第二部 第2章
375.ぺーちゃんの家族 〜 イザベル視点/ぺーちゃん視点 〜
しおりを挟むルネさんのお姉様が偶ににゃんこ語を話すのと、赤ちゃんのぺーちゃんがにゃんこ語を話す事は、親子だからと考えるのはちょっと強引すぎはしないだろうか。だけどルネさんは、ぺーちゃんを凝視し、ぺーちゃんがちょっと怖がっている。
「あの、ルネさん? ぺーちゃんが怖がってしまうので、そんなにじっくり見ないであげてくださいませ」
ルネさんはすいませんと言いながらも、どうしてもぺーちゃんが気になるようで、チラチラと視線をやっているのだ。
「クレオ大司教、フェリクス様を保護されたのは、正確にはいつ頃だったのでしょうか……」
ついには、違うと断言した大司教に、ぺーちゃんの事を質問しだしたので、ルネさんは明らかに、ぺーちゃんが枢機卿の子供だと疑っている。
「フェリクスを保護したのは半年ほど前だったか……。おくるみにくるまれ、ボロボロの籠に入れられて、教会の門の前に放置されていたのです。しかもガリガリに痩せて、今にも死にそうでしてなぁ。この子の親は、育児放棄をしていたのでしょう」
その時の事を思い出すだけで、今でも心が痛みます……と、大司教はぺーちゃんを抱きしめた。
虐待されていたとは聞いておりましたが、そこまで酷かったなんて……っ、いえ、わたくしも他人の事は責められませんわね……だって、わたくしも前世ではノアを……っ
「名も付けられていなかったようで、届け出もなく、私が名付けたのです」
名前すら、付けられなかったの……
「半年前……」
ルネさんはそう呟くと、考え込むように黙ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ぺーちゃん視点
「お姉様……」
ルネさんという女性が、突然そんな事を言い出し、私を枢機卿の子供だと疑いだしたものだから、自分には、虐待されていたが、一応両親というものがいた事を思い出した。
もう親と思いたくないあいつらを……
【───何て気持ちの悪い目をしているの】
【こいつ……っ、目を開けるんじゃない!】
【ねぇ、泣きもせず、こっちをじっと見ているわ……もしかして、私たちの会話を理解してるんじゃない?】
【まさか。まだ赤ん坊だぞ……にしても、夜になると浮かぶ気味の悪い模様は、悪魔の使いか何かじゃないのか……】
【もう限界よ……っ、この子を育てるなんて冗談じゃない!】
【そうだな。今晩、教会の前に置いてこよう】
赤ん坊の私の目を、不気味そうに見て、毎日、気持ちか悪いと罵る、それこそ悪魔のような両親には慣れたつもりでいた。前世から変わらないし、私の精神は大人だから。とはいえ、前世の記憶がある分、お腹が空くのと、オムツを替えてもらえる頻度が少なかったのはつらかった。
あいつらが私の前でした最後の会話は、私を捨てる相談で、正直、早く捨てて欲しいと願っていたから、嬉しい気持ちしかなかった。
そうしてクレオに拾われて、ノアに出会って、お母さんに出会って、皆の優しさに触れたら、何だかムズムズくすぐったくて、恥ずかしい。
最初は戸惑ったけど、それが心地よくて……ああ、こういうのが家族なんだって実感した。
だから、皆が家族でいてくれるなら、悪魔のような両親が、本当の両親でなくても、血の繋がりがある人が出てきても、それが誰であろうともどうでもいいんだ。
「ぺぇちゃ、じぃじ、かぁちゃ、にょあ!」
「おやおや、フェリクスにはもう家族がいるから、枢機卿の子供に興味はないのだね」
「にゃ!」
「そうか。フェリクスがそれで良いのなら、私は何も言うまいて」
クレオは私の気持ちを良くわかってくれている。さすが私のじぃじだな。
「───あれ、ドニーズ……? どこに行ったんだ?」
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