継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 妖精の秘密1 〜 ノア4歳

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わたくしの妊娠が分かってすぐの事。
皇后様がイーニアス殿下を連れて遊びに来た日だった。

『今日はボクら妖精について、詳しく教えてあげるよ!』
『シッカリ、キクヨーニ!』
『イッカイシカ、イワナイカラナー!!』
「「はーい!」」

妖精たちが突然子供たちに、自分たちの事を教えると言い出し、教鞭を取り始めたのだけど、

「ちょっとお待ちになって!」
『何? ベル。ボクら今忙しいんだけど』
『センセー、シテルー!』
『ヨクキク、ザマスー!!』

アオは何を言ってますの。

「いつから子供たちに、あなたたちの姿が見えるようになりましたの!?」
『え、今さら? ボクらの姿は、ベルの誕生パーティーの時から見えてるよ。ねー』
「「ねー!」」
『フタリト、アソブタメニ、ミエルヨーニシタ!』
『ミエナイト、アソビモ タノシクナイ!!』

遊ぶ為だけに、見えるようにしましたの!?

「イザベル様、知らなかったの?」
「知りませんでしたわ……、皇后様は知っていたのですか?」
「ええ。イーニアスが教えてくれたのよ」

わたくしはノアに教えてもらっていませんわ!

ショックを受けていると、「アタシも妖精を見たいんだけど、妖精の力を持ってしても、見えない人は絶対見えないんですって。まぁ、声が聞こえるだけでもすごい事なんだけどね」と皇后様が仰ったので、そういえば、妖精がそんな事言ってましたわね……、と思い出す。

「あら? でも、ノアとイーニアス殿下は今まで見えてなかったのだから、見えない人の部類だったのではないの?」

妖精たちを見ると、ノアとイーニアス殿下の前で胸を張り、彼らの中での教師らしい行動なのか、手をパンパンと鳴らす。

『じゃあ、そこの所から説明するよ!』
『ジュギョー、ハジメルヨー!』
『ハイ、チュウモーク!!』

だから、アオは何を言ってるの。

『まず、ボクら妖精は、見える人と見えない人がいるよね。見える人の中でも、ボクらが力を使って強制的に見えるようになった人が、テオとベル、そしてノアとアスだよ!』

つまり、今まで子供たちが見えてなかったのは、妖精たちが力を使ってなかったからですのね。

『強制的に見えるようにするのって、結構大変なんだ。似たような波動を持つ人にじゃないと出来ないし、力もすごく消耗するからさ!』
『イッカイヤルト、ヘトヘト~!』
『シバラク、ヤスミターイ!!』
『それに、ノアやアスは見えなくても遊んでくれたし、必要性を感じなかったっていうのもあるよ』

なるほど。でも、何で突然子供たちに見える必要性が出てきたというの。

『それは、ボードゲームが開発されたからさ!』
『ミンナデ、タノシム、ボードゲーム!』
『ミエナイト、タノシクナイ!!』

何かしら……、ものすっっごく脱力しましたわ。

「確かにボードゲームは、皆の表情も楽しいと思う要素の一つよね!」

皇后様まで……。

『そんなわけで、ノアとアスはボクらが見えるのさ!』
『イエーイ!』
『イエーイ!!』

ボードゲームの為に力を使う妖精って、あなたたちだけだと思いますわよ……。

『それでね、今日は何でボクら妖精について教えようと思ったのかというとね、アカとアオが、もうすぐ進化するからなんだ』
『シンカー!』
『モウスグー!!』

進化? 今、進化と言いましたの!?

「しんか……?」
「ノア、しんかとは、よりすぐれたものに、へんけいする、ということだ」
「へんけい……!?」
「うむ。へんけいなのだ」

イーニアス殿下に進化の意味を教えてもらったノアは、目を輝かせてアカとアオを見ている。

子供たちのやり取りは可愛らしいけれど、妖精の進化がとても気になりますわ。
小妖精が進化すると、正妖精になるのかしら?

『アカとアオを見てもらうとわかるけど、パンパンに膨れてるでしょ』
「ええ。最近食べ過ぎですわよ。このままでは病気になってしまいますわ。ダイエットしないと……」

水風船のようにまんまるに膨らんだキノコ達は、太ってないだとか言っているけど、太ってますわ。

『ベル、妖精は食べても太らないし、病気になったりもしないよ』
「え?」
『ノアもアスもよく聞いて。小妖精はね、幸せを感じると体内に力が溜まるのさ。そして、こうやって膨らんでいって、最後に……』

妖精の進化について聞いている時だ。
コンコンコン……と客用リビングの扉がノックされ、入室の許可を出すと、アフターヌーンティーのセットを持ってメイドたちが入ってきた。

今日のスイーツは、フルーツタルト、モンブラン、プチシューなどだ。

『うわぁ! ボク、プチシュー大好き!』
『アカ、フルーツタルトスキー!』
『アオハ、モンブラン!!』

授業はどうしたんですの!?

お菓子に群がる妖精たちに呆れるが、皇后様も子供たちも食べたいようですし、お茶にいたしましょうか。

「プチシュー、だいすきなのだ!」
「わたしも、だいすき!」


けれど、わたくしのこの判断が間違っていたのよ。
まさかこれが元で、アカとアオがあんな事になるなんて……!!


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