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番外編 〜ノア5歳〜 〜
番外編 〜 ノア13歳、アカデミー編3 〜
しおりを挟むノア視点
大型帆船研究部とは、現在の陸路メインという交通事情を、大型帆船の開発により、将来的に海路を含めたものへ選択肢が増えるようにと始めたグランニッシュ帝国の将来を見据えた重要な活動だ。
「ノア、君が来るの、待ってたよ!」
「やっと一緒に研究できますね! ノア君」
部室で出迎えてくれた先輩たちは、知った顔ばかりだった。
それもそのはず、きっかけは私のお母様の絵本に出てくる船での冒険に、憧れた友人たちで発足したものだからだ。
アス殿下や友人たちが優秀過ぎたのか、たった一年で大規模なものへと変わっていった。
教師陣からは、国の将来を変える部活だと言われ、顧問も数人付くほど期待されている。
もし安全に航海できれば、物流も、人の流れも一気に変わる。今まで時間がかかっていた旅路も短縮できるのだから。
そんな夢のような船を、お母様は絵本とはいえ、実現出来るリアルさで描いている。
お父様も言っていた。お母様が見ている世界は未来だ、と。
天才なんだ。お母様は。
私は何としてでも、お母様が考えついた大型帆船を形にしたい。想像のものではなく、現実にその船で海を渡ることが出来るのだと、証明したいと思っている。
そうしたら、お母様は、喜んでくれると思うから。
「アス殿下、早速ですが、部の発足時からの研究資料を読ませていただけますか」
一年出遅れた分、みんなに追いつかないと!
「うむ。だが無理はしてはならないぞ。焦っても意味はない。この研究は、皆で行っているものだという事を忘れてはならないのだ」
「はい」
イーニアス殿下も友人たちも、たった一つしか違わないのに、アカデミーで一年学んだだけで顔つきも行動も変わっている。
みんな、頑張っているんだ。
「ノア、わかりにくい所があったら聞いてよ」
「素材や、設計で何か案があれば、どんどん出してください」
優しい友人たちに感謝しよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アカデミーに入学してから三ヶ月が経った。
部活は幼馴染みたちと好きなことをやっているので、とても楽しい。
授業は昔学んだことを復習している感じで、少し物足りない気がするけど、お母様は、アカデミーで学べるのは勉強だけではないのよ、と教えてくれた。
だけど、魔法の授業も、お母様やお父様から教わる方が楽しいと思う。最近は神獣と妖精たちが面白がって魔法を教えてくれるので、そっちも、とても勉強になるし面白いんだ。
友だちは……、
「ノア、あの角で結構な人数が待ち伏せしてるらしい。あっちから行こう」
幼馴染みたちが気を遣ってくれるから、未だ庶民の子たちや、知らない貴族とも話したことがない。
女の子たちに囲まれるのは怖いけど、新しい友だちが出来ないのは悩みの一つだ。
『ノア、ともだち、ほしい??』
「やっぱり新しい友だちも出来た方が、お母様もお父様も心配しなくて済むし、ほしいかな」
『ともだち、ほしい……!!』
「アオ?」
『アオ、ノアのともだち、つくる!!』
「え!?」
アオはそう言って飛んでいってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アオ視点
ノア、ともだちほしい、いった!! アオ、ノアのバディ!! アオ、がんばる!!
『おねがい!! ノア、ともだち、ほしい!! ともだち、なって!!』
「……」
『あっ、そこのおとこのこ、ノアと、ともだち、なって!!』
「……」
『おねがい!! だれか、ノアと、ともだち、なって!!』
はなしかけても、だれもアオ、みえない……。アオ、やくたたず……
『おねがい!! おねがい!! ノア、ともだち、ほしい!!』
かなしい……。アオ、ぜんぜん、やくたたない。
『だれか、ノア、ともだち、なって……っ!!』
だれも、たちどまっても、くれない……
「───アオ、どうしたのだ? 何を泣いている。ノアはどうした?」
『アオ、なかした、だれ!』
アスと、アカ……。
『アオ、やくたたない……っ、ノア、かなしぃ……!!』
ポロポロ、めから、おみずでる。
ノア、あわすかお、ない……
「アオ、何があったのか、説明してくれないか?」
『アオ、もうだいじょーぶ! アカ、いる!』
アオ、なにもできない……っ
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