120 / 175
番外編 〜ノア5歳〜 〜
番外編 〜 ノア13歳、アカデミー編2 〜
ノア視点
舞台袖から出て壇上に立つと、広い講堂には何百人と生徒や教師が座っていて、その視線が一斉に向くと圧倒される。
お父様だったら、なんてことない顔をして、緊張なんてしないんだろうけど、私は……。
『ノア、アオいる!! だいじょーぶ!!』
一瞬頭が真っ白になっていた時だ。
アオが、私の顔に抱きついて、大丈夫だと落ち着かせてくれた。
『ノア、だいじょーぶ!! ベルいってた、みんなパンケーキ!!』
アオ、それを言うなら、じゃがいもだよ。パンケーキは私の好きなおやつ。
アオの言葉にフッと気が緩み、笑いが漏れた。すると、皆が息を飲む気配がして、慌てて代表挨拶をしたんだ。
アオのお陰でリラックスして話すことができたよ。
私が話し出すと、悲鳴が上がって数人が倒れてしまったのには驚いたけど、彼女たちは貧血だったのかな?
「ノア、素晴らしい挨拶だった! 格好良かったぞ。アオも良くやったのだ」
『アオ、よくやったー!!』
舞台袖に戻ると、アス殿下が褒めてくれて、嬉しさと安堵でついアオを抱きしめてしまった。
『んふふ~、ノアすきー!!』
「ありがとう、アオ。アス殿下も、格好良かったです」
「うむ。ノア、午後からは部活動の勧誘が始まるのだが……」
「私はアス殿下の部活に入ります。それはもう決まっています」
アス殿下が立ち上げた部活は、『大型帆船研究部』。
殿下が立ち上げたと聞いた時からずっと憧れていた部活で、アカデミーに入学したら絶対入ると決めていた。
卒業までに目指すのは、ガレオン船の完成なんだ。
「そうか! うむ。皆ノアが来るのを楽しみにしている。午後に部室で待っているからな!」
「はい!」
こうして無事、入学式が終了し、教室へと移動を始めたのだけど、その途中友人から不思議な話を聞いた。
「アカデミーの七不思議、知ってる?」
「皇城の七不思議なら知ってるけど、ここでもそんなのあるんだな。あ、ノア! お前知ってる? アカデミーの七不思議」
そんなの、お父様からもウォルトからも聞いた事ないけど……。
「ブルちゃ……ブルネッラは知っていましたか?」
「ううん……。初めて聞きました」
偶々同じクラスだったブルちゃんに話しかけると、ブルちゃんは首を横に振った。
『ノア、どーして、ブルってよばない??』
お母様から、女の子は特別扱いすると虐めがあったりと大変だから、そういう所は気を付けてあげなさいと言われている。たから、ブルちゃんって呼ぶのは、周りに誰もいない時だけなんだ。
それと、丁寧な言葉遣いも、アス殿下だけにすると、アス殿下が落ち込むから、みんなにも同じように丁寧な言葉遣いで話しかけるようにしている。
「───それでさ、教室に誰もいないのに、窓が突然開いたんだってよ!」
「何だよそれ、皇城七不思議と内容同じじゃねぇ?」
「いやいや、他にも音楽室のピアノが勝手に鳴ったり、物が突然消えたりって、兄さんから聞いたんだって! ノアは信じてくれるよな!?」
「え……その現象、どこかで聞いた事あるような気がしますが……」
「ノアも信じてくれないのか~!」
いや、その話……、
「……妖精のイタズラ、みたいですね」
ブルちゃんが言った言葉に皆が、「たしかに」と頷く。
アオとアカに、後で話さないといけないことが出来たようだ。
◇◇◇
『アオ、ピアノひーてない!! ひーたのアカ!!』
『まどあけたの、アオ!』
『私は、落とし物拾ってあげただけよ! だからテオには言わないでほしいのっ』
『大型帆船研究部』の部長室で妖精たちを問い詰めたら、なぜかお父様の契約妖精である、風の妖精王ルピナスまで出てきた。
「アス殿下……」
「うむ。ピアノならば皇宮にもあるだろう。公爵家にもな。ピアノが弾きたいなら家のピアノを弾くこと。約束できるか?」
『アカ、やくそくする!』
『アオも!!』
「良い子だ。それとルピナス」
『はいぃ!』
「落とし物を拾ってくれてありがとう。優しい子だな」
『イーニアス最高~! これからは気を付けるわ!』
さすがアス殿下、自由な妖精たちが言う事を聞いてる。
これで大丈夫だ。そう思っていたんだけど、妖精たちはこのアカデミーで、大事件を起こしたんだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。