継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ミーシャ 〜

番外編 〜 ミーシャの日常 恋愛編4 〜

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『───では、エスコートは受けてくれるということだな』
「はい。アスお兄様、お返事が遅くなってごめんなさい……」
『問題ない。アカからも公爵がミーシャに伝えていないと聞いていたからな』

公爵は娘を大切にしているから、想像通りだった。と笑うアスお兄様は大物だと思う。

ノアお兄様から手紙の事を聞いた夜、チロちゃんに頼み、妖精通信でアスお兄様に連絡したのだ。
あれから落ち込んで部屋に引っ込んでしまったお父様からは、結局何も言われていないが、こういう事は早く連絡した方が良いだろうと思った次第だ。

「アスお兄様とのダンスは、去年の誕生パーティー以来だから、楽しみ……」
『うむ! 私も楽しみだぞ』
『アカも、たのしみー!』

やっぱりキノコが会話に混じってきたな。

『ミーシャのデビュタント姿は、美しいのだろうな』

アスお兄様が急にそんな事を言うものだから、ドキリとした。

「き、綺麗な子は、たくさんいるよ……」
『? ミーシャ以上の美女はいないだろう』
「ぅ、お、オーロラちゃんとか、綺麗だよ!」
『オーロラ……? ああ、ロペス侯爵令嬢のことか。ノアから聞いたが、お友だちになったのだろう。ずっと仲良くしたいと思っていたようだったから、良かったではないか』

ずっと仲良くしたいと思っていたの、何で知っているの?

「何で……?」
『ん? ああ、幼い頃、ロペス侯爵令嬢と遊んだ後のミーシャが、楽しそうだった。しかし、一度きりで音沙汰がなくなった時、ミーシャはとても悲しそうにしていただろう。アカデミーが一緒だと知った時は嬉しそうにしていたしな』

アスお兄様に全部気持ちがバレてる……。昔からアスお兄様とノアお兄様は、人の感情を読み取るのが上手いから……。本当、良く見ている。

『言っておくが、私がここまで気にしているのは、ミーシャとリュークとアベルだけだからな』
「ありがとう……」

世話がかかる弟と妹だと思ってるんだろうな。

「でも、弟妹ばかりに構っていたら婚期を逃すから、気をつけてね」
『ん? 婚期か……、うむ。確かにそうだな』

ハハハッと笑っているが、皇太子の結婚は国民の注目の的なのだ。それを私のせいで遅らせては、国民に恨まれてしまう。

「アスお兄様は、気になるご令嬢はいないの?」
『気になるご令嬢なら、ミーシャだろう??』

それは気にかけているご令嬢の間違いだろう。

「アスお兄様もノアお兄様も、誰よりも人気があるのに、婚約者を決めないから周りのご令嬢の婚期も遅れてるんだって」

クロエが言っていた。
お父様の時も婚期が遅れた令嬢が数多くいたらしい。

『そうなのか? しかし、好きでもない女性とお付き合いは出来ないだろう』

皇族がそんな事言ってたら問題な気もするけど……

「アスお兄様なら、好きな女性にアピールすればすぐ結婚出来るよ」
『そうだろうか?』
『みーんな、アスすき!』
「アカの言う通り、みんなアスお兄様大好きだもんね」
『ならばミーシャも私が大好きということだな』
「うん。当然だよね」
『アカもだいすきー!』
「ハハハッ、二人ともありがとう。私も二人が大好きなのだぞ」

うん。アスお兄様に婚約者が出来たら、大好きは女の子に言っちゃダメだよって注意しないとだね。

一人頷くと、チロちゃんが私を見てふるふると頭を横に振っていた。

「?」
『ミーシャ、デビュタント楽しみにしているぞ』
「あ、うん。よろしくお願いします」
『うむ。それではな』
『ミーシャ、バイバーイ!』

と妖精通信が切れてしまった。多分、これからまた仕事をするのだと思う。

「皇太子も大変だね。チロちゃん」
『……ミーシャモ、ソノウチワカルノ~』
「?」

最近、チロちゃんの目が可哀想な子を見る目なんだけど、私何かしたのかな?

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