心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。

三月べに

文字の大きさ
9 / 103
一目惚れの出会い編

07 楽しくていい人達。(前半)

しおりを挟む


「あー、てかさ。このメンツでいいの? 七羽ちゃんも、一人くらい同性がいた方が楽じゃない?」
『別に悪いことはしないけどさ……遠出するなら、あと一人、女の子いるべきじゃね? 数斗のカノジョになるかどうかはさておき』

 参加者を見直して、真樹さんが気遣って提案してくれる。

「そうだね、その方がいいんじゃない? 誰か誘う?」
『でも、七羽ちゃん……友だちに悪口言われてたしなぁ……交友関係もそんなに広くないって、自分で言ってたし』

 数斗さんが、気遣いがちに覗き込む。

「誘う友だち、ですか……」
『ヤベ。おれ、またしくったな。友だちに悪口言われたばっかじゃん』
「んー、一番仲のいい子達には、カレシがいるので……二人増えたりしますね」

 誘えそうな子には、恋人がいるから、一人だけ参加させるということも出来ない。
 焦る真樹さんに、友だちならまだいますよーっとアピールもしておく。

「それだと別の車になっちゃうね。五人乗りなんだ、俺の車」

 苦笑を見せる数斗さんは、ポテトフライを一つ口に入れた。

「あっ。じゃあ、おれ達の方で、いい子紹介しようか!? めっちゃ気のいい女友だちがいるんだ。交友関係、広げてみる?」
『数斗と恋人になったら、今後会うと思うしね』

 真樹さんが閃いたと言わんばかりに、笑いかけた。

 ……それは、外堀が埋まりそう……。

「気のいい女友だちって……沢田ちゃんのこと?」
「そう! マナちゃん!」
『あー……確かにいい子だろうけど、なんとなく苦手な子なんだよなぁ……。別にいいけど』

 数斗さんがすぐ思い付いた人が、真樹さんが紹介したい子らしい。

 新一さんは、なんとなく苦手と認識するけど、いい子……?
 元々、異性には心を許さないみたいなクールさがあるから、気にしなくていいのかな……。

「マナちゃんさんって……さっき、話に出ましたよね?」
『『『マナちゃんさん』』』
「あ、うん。大丈夫! 坂田とは全然違うから! 半年付き合った彼氏と別れたって話が衝撃的すぎて、その隙にケイタイ取られたんだよぉ~。仲いいグループの一人で、美人で気の利く人気者だよ。おれもこれを機に、アプローチしてみようかな!?」
「真樹には無理じゃない?」
「ひっど! わかってるけど!」

 高嶺の花、って感じの人?
 新一さんにからかわれたけれど、真樹さんも本気では狙う気はないらしい。

『今は、数斗が優先だしね!』
『まぁ、数斗が優先なんだし、そっちのけにはしないか』

 真樹さんも新一さんも、数斗さんを応援する気満々。

 危うく飲み物が、気管に入って噎せるところだった……。

 二人とも、どうして乗り気で応援しているのだろうか……。

 私なら悪いようにしない、とか? まぁ、悪い人間ではないとは、自負しているけれども……。
 かといって、数斗さんと釣り合わないのは、一目瞭然なのに……!

「とりあえず、沢田ちゃんとメッセージのやり取りから始めてみない?」
『気が合うかもしれないから、いい友達になるかも』

 数斗さんも、お墨付きの女性。

『七羽ちゃんのお姉ちゃん枠になるかもね』
「おれが七羽ちゃんのいい子さを熱弁しておくから!」
「あはは、わかりました。ありがとうございます」
「んじゃあ、今度マナちゃんに言っておくから!」

 真樹さんも推すので、断ることなく、受け入れることにした。


「……本当に、いい人ですよね。三人は」


 しみじみ、と私は思わず呟いてしまう。

「そう? いやぁ、七羽ちゃんの見る目、ホントいいね!」
『あ~、でも、もしかして、七羽ちゃん、いい人達に恵まれてない? 幸薄い!?』
「おれ達なんて、フツーだと思うけど……古川の周りにはいないの?」
『うわっ! 新一、意地悪に訊くなよ!』

 ニヤッとする新一さんは、それだけ気を許してくれた証拠なのかもしれない。
 隣で真樹さんが、ギョッとしているけど。

「いえいえ! ちゃんといい人達もいます! ただ……三人の仲のよさがいいなぁと思って! 数斗さんから聞きましたけど、高校からの付き合いだそうですね」

 メッセージのやり取りで、聞いたことがある。

「おれだけ違う高校だけど、知り合ってね~。そこから、いつものメンバーってなった! 親友! 男の友情、羨ましい?」
「アホか」

 ぺしっと新一さんが真樹さんの頭を軽くひっぱたく。

 ふふっと、笑ってしまう。

 本当に羨ましいんだよなぁ。
 全然仲間同士で、黒い悪口なんてない。

 いい友情。本当に、いい人なんだ。

 だから、一緒にいて、心地がいい……。
 心の声を盗み聞きして申し訳ないけれど、安心が出来ちゃうんだもの。

『うわっ! 坂田のヤツ……おれ達のことを悪くツブヤキやがって! ちょっと、新一さーん!』

 飲み物を飲んでいた真樹さんが顔をしかめたかと思えば、新一さんにケイタイ画面を見せる。
 それを見た新一さんも、怒ったように顔を歪めた。

『ハンッ。バカめ。お前の評判は元から悪いんだよ。こっちが書き込めば、余裕で暴力ストーカー女だって知られるだけだ。ざまあ』
『七羽ちゃんの壊れたケイタイを撮っててよかったぁ~。証拠にあげてやろ~っと。ボロクソ書いて、ブロックしよ』

 どうやら、ツブヤキに、私達のことを悪く書き込まれたようだ。
 ただ、元から気性が荒い人だと認知されていたから、二人とも余裕で反撃している。

 わーあ。強いな、男の友情。

 数斗さんに暴力を振ったことに、いたくご立腹なのだろう。
 それなのに、こちらが悪く言われては、怒るのも無理ない。反撃されて、当然だ。

「どうかした? 七羽ちゃん」
「あ、いえっ。別に」

 しれっとした顔で書き込み続ける二人を、ポカンと見てしまったが、首を傾げて見てくる数斗さんに笑って誤魔化す。

「それで、平日のいつにします?」
「あ、ちょっと待って。よし。おれのシフトはぁ~」
「おれもそっちに合わせられるよ」
「じゃあ早い方がいいし! 来月の頭の月曜日で!」
「わかりました。ちゃんと休みが取れたら、連絡しますね」
「オッケ~♪」

 来月なんて、すぐだ。
 遊園地♪ 新作ジェットコースター♪

『足振ってる、可愛い』
『めちゃくちゃ楽しみにしてるじゃん』
『可愛いー、癒されるなー』

 ニマニマしている顔。バッチリ見られていた……。

 自分から尋ねるのは、ちょっと気が重いけれど。

「これから、どうします? 解散ですか?」

 午後は、何をするのか。

 予定通り、真樹さんと新一さんは理由をつけて帰ってしまうのだろうかな……。
 午後の計画は立ててないから、ハイ解散、でもいいけど。

『あ、そうだった……! 数斗の春、応援大作戦を忘れてた!』

 なんですか、真樹さん。その作戦名……。どこらへんが、大作戦なんですか……。

『んー、どうしようか。数斗は、どうしたいかな』

 新一さんも悩んで、数斗さんにじっと視線を送る。

「七羽ちゃんは、どうしたい? 何か買い物とか、する?」

 にこっと、数斗さんは笑いかけた。

『適当に店回って、七羽ちゃんの好きな物、把握したいなぁ……。警戒されるなら、二人にも居てもらおうか』

 んー……どうしようかな。
 遊園地に行く約束もしているし、もっと三人と交流しておきたい。
 ……楽しいものね。この人達といるの。

「私、特に用がなくても、友だちとプラッと店を回るの好きなんで、そうしたいのですけど……皆さんはどうですか?」

 男の人って、買い物に付き合うの、苦手だって聞いたことあるような……。

『友だちとプラッと店を回る! めちゃくちゃみんなを誘いたがってない!? これは……どうする!?』
『……ホント、おれ達に懐いたなぁ。可愛い』
「じゃあ、四人でプラッとしてみようか?」
「……いいんですか?」

 数斗さんの方から、快く四人で行くことを提案してくれた。二人きりじゃなくても、一緒にいてくれる、と。

『可愛い。笑顔、可愛すぎ』
『嬉しそうな笑顔、可愛すぎ』
『めちゃ喜んでる、可愛い。天真爛漫か』

 ……この人達に会ってから、可愛いを言われすぎている気がする……。
 心の声だけども。

 天真爛漫な子どもっぽくて、すみません!
 遊園地では、もっとはしゃぎますけどね!



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

私は既にフラれましたので。

椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…? ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

単純に婚約破棄したかっただけなのに、生まれた時から外堀埋められてたって話する?

甘寧
恋愛
婚約破棄したい令嬢が、実は溺愛されていたというテンプレのようなお話です。 ……作者がただ単に糸目、関西弁男子を書きたかっただけなんです。 ※不定期更新です。

最高魔導師の重すぎる愛の結末

甘寧
恋愛
私、ステフィ・フェルスターの仕事は街の中央にある魔術協会の事務員。 いつもの様に出勤すると、私の席がなかった。 呆然とする私に上司であるジンドルフに尋ねると私は昇進し自分の直属の部下になったと言う。 このジンドルフと言う男は、結婚したい男不動のNO.1。 銀色の長髪を後ろに縛り、黒のローブを纏ったその男は微笑むだけで女性を虜にするほど色気がある。 ジンドルフに会いたいが為に、用もないのに魔術協会に来る女性多数。 でも、皆は気づいて無いみたいだけど、あの男、なんか闇を秘めている気がする…… その感は残念ならが当たることになる。 何十年にも渡りストーカーしていた最高魔導師と捕まってしまった可哀想な部下のお話。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

処理中です...