心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。

三月べに

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お試しの居場所編(前)

 ポロッと発覚で今更すぎる報告。(真樹視点) (後半)

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〔あと……かなりのヘビースモーカーです〕
「え。タバコ嫌いな七羽ちゃんに”社会人としてやっていけないよ”とか言ってた喫煙者の友だち?」
「お前なんでそんな奴と友だち続けてるんだよ……ナナハネ」
〔……たまにキツイってだけですし、楽しくワイワイする仲良い友だちですよ〕

 七羽ちゃんの目が泳ぐ。
 新一、バッサリ言いすぎだって……。

〔その祥子の恋人は、高校のバイト先で知り合ったタメの人です。そのバイト先の飲食店で正社員になって働いているそうで……遊んだ回数は少ないんですけど、社交性のある人です。……ちょっと遊んでいる時も、口喧嘩して空気が悪くなることが何度かあるので……万が一、そうなっても気にしなくていいです〕

 祥子ちゃん、絶対難ありの子だと思うけど……気にしないようにしようか。
 新一にもこれ以上のツッコミを言わないように、肩をポンッと叩いておく。

〔あと、葵(あおい)です。祥子と同じく、中学からの付き合いです。同じ部だったのにその頃は親しくなかったのですけど、同じ高校に入ってから親しくなりまして。ボーイッシュでたまに口調は悪いですけど、気を許せば人懐っこくて可愛いんですよ。身長も私よりちょっと高いくらいで小柄です〕
「あれ? なんか、その葵ちゃんのこと、かなり好きみたいだね?」
〔好きですよ。いつもベタベタさせてくれます〕
「「ベタベタ?」」
「あ、七羽ちゃん。スキンシップ好きなんだって。くっ付いたり、腕組んだり」

 数斗が気付いたように、七羽ちゃんはちょっと上機嫌に葵ちゃんという子の話をした。

 ベタベタって……スキンシップ好き?
 小柄な七羽ちゃんが同じくらいの女の子と腕を組むって……微笑ましい。
 懐いているのは、七羽ちゃんの方な気がする。
 この様子だと、葵ちゃんはいい子そうだ。

〔高校からの付き合いで親しい子が、あと二人いますけど、一人は既婚者で妊娠中、もう一人はあんまり異性が得意じゃないですので、誘えないですね。祥子と葵に話して、そのカレシもどうかってメッセージ送っておきます。あ、葵のカレシは二歳上の高校の先輩でして、たまにお酒をおごってくれる陽気な人です。……なんか、笑ってます?〕

 危うく忘れかけられた先輩に、三人揃って笑いを堪えてプルプルと震えてしまう。存在感、薄いんだなぁーって。ククッ。

〔数斗さん達のこと……どうしましょう〕
「何が?」「「ん?」」
〔いえ……異性の友人なんて、いきなり紹介したら、下種な勘繰りをされそうで。高校の時も、一回あったんですよ……。嫌ですよね? よくよく考えたら、ツブヤキを見たとは限りませんし。ちゃんとお兄ちゃんみたいに大切にしてくれるいい人達だってことを伝えておきますね〕

 んんん?
 ちょっと気になる話が出てきて、目を見開けば、グッと数斗が身を乗り出した。

「え? 高校の時、どうして下種な勘繰りをされたの? 何があったの?」
〔あー。その時、ハマっていたラノベがアニメ化したから、興奮しちゃって。でも、祥子達は興味薄くて……だから、掲示板のチャットで語って楽しんでたんです。その仲間の一人が、隣の高校の男子生徒で。仲良くなったから、私の高校まで遊びに来て、それ見て”カレシでしょ”ってしつこくて……〕
「違うんだよね? 高校の時は恋愛らしい恋愛してないって言ってたし」

 か、数斗……声、強い。必死すぎ。

〔違いますよ。駅ビルのゲーセンとかでも遊びましたけども。すぐにその子、同じ高校で恋人出来ましたので、それっきり会ってません〕

 ブンブンと手を振って見せる七羽ちゃんは、軽く笑う。
 数斗が脱力するから、おれは苦笑を零す。





 おれと同じく苦笑気味に、言ったのは、ちょっとすぐに理解出来ない言葉だった。

「えっ?」
「はっ?」
〔…………え?〕

 おれと新一が素っ頓狂な声を出すと、七羽ちゃんまで大きな目をパチクリさせる。

〔ま、と思いますが……えっ? 数斗さん? そんな……〕

 オロッとした七羽ちゃんは、片手で目元を隠した。
 おれと新一が数斗を見れば。


「うん。


 なんて、一人でニッコニコとした数斗。

「んんッ!?」
「は!? どういうことだ!?」

 ガッと、二人で数斗の肩や腕を掴む。

「七羽ちゃんと交際を始めました」
「それ今言う!? 今更!?」
「おいふざけんなお前!! いつからだ!」
「先週。ここでオッケーもらった」
「「おいコラッ!!!」」

 けろりと、言い退ける数斗を激しく揺さぶった。

 遊園地の翌日じゃん!!
 一週間も黙ってたのかよ!! おい!!

〔ああ、あのっ! すみません! すみません! 数斗さんが次集まる時に直接報告したいって言ってたので、てっきりもう報告したかと! すみません! あと! です! !〕
「はいッ!?」「はぁあ!?」
〔すみませんっ!〕

 画面向こうで七羽ちゃんがビクッとしたのが見えて、ハッとして我に返ったおれと新一は、一旦落ち着くことにした。

「そんな謝るな。おれ達は、ナナハネを怒ってないから。数斗のバカを怒ってるだけだ! お試し期間ってなんだ? なんでなんだよ」

 う、うん。どうして、そうなった問題。
 新一は数斗のことを押さえつけておいて、七羽ちゃんの方に尋ねる。

〔えっと……曖昧な関係をずるずると続けるなんて甘えすぎだってことで、数斗さんにお断りを言おうとしたんですけど……お試し期間の恋人関係になって、確かめようって言われて……プラトニックに、恋人として過ごそうってことになりました。合うか合わないか、あともっと知り合うためにもって……そうやって時間をちょうだいって言うので……お試しを……〕

 恥ずかしそうに頬を赤らめているであろう七羽ちゃんから、おれと新一は、バッと数斗の方に目を向けた。

 にこっとする数斗が、憎たらしくて、ブンブンと振り回す。

〔あ、ああぁのっ……やっぱり、お試しなんて不誠実でしょうか?〕
「七羽ちゃんはなんも悪くないからね!?」
「プラトニックなら許す!! お前は悪くない!」
〔ひゃいッ〕

 結局、おれも新一も感情的に声を上げちゃって、七羽ちゃんはびくっと小さく震えた。

 悪いのは、すでに愛が激重なのに、”お試しの恋人”とか嘘ついているこの男ッ!!
 !!

 七羽ちゃん! 捕まってるよ!! 悪い男に!!

「「せめてすぐに報告しろやッ!!」」
「ごめん。直接言いたくて」

 反省の色が見えないけど!? せめて申し訳なさそうな顔を作れよ!!

「”お試し”? でも、とりあえず、おめでとう!?」
〔あ、ありがとう、ございます?〕

 祝福すべきか微妙なところ。
 七羽ちゃんもややこしくて、困惑気味に首を捻る。

「じゃあ、おれ達は祝福するね!! 七羽ちゃんの好きなバーボンで!」
〔え? バーボン、飲んでるんですか? いいなぁ〕
「ん! 数斗、ナナハネ、交際おめでとう!」
〔あはは、ありがとうございます〕

 照れたようにはにかむ七羽ちゃんを見て、ちょっとホッとした。
 おれ達はバーボンの入ったグラスを上げて、乾杯をしておく。

 友だちを誘うと言う七羽ちゃんは、翌日の仕事のためにも、通話をすぐに切る。
 なんか、別れ際には”好き”って言い合う取り決めをしたらしく、かなり恥ずかしがっていた七羽ちゃんは、おれ達の前でも頑張って〔好きですっ〕と言った。可愛すぎかッ。

 それからは、数斗を責め立てていたけど、気付けば惚気しか聞いてなくて、そのまま、あれこれと作戦をザックリと立てては、飲み明かした。


 なんか、七羽ちゃんがおれ達の中心になったなぁー、とぼんやりと気付く。今更か。
 可愛がりたいし、癒してくれるから、こっちも癒したいし、幸せになってほしいから、出来ることはしたい。

 最優先事項で、傷だらけの天使を守りたいのは、新一も、もちろん数斗も同じ。


 そのうち、おれは本当に七羽ちゃんは天使じゃないかって思うことになる。

 こっちが幸せにしたいのに。幸せにしてくれちゃう。
 とんでもなく可愛すぎる天使だった――――てね。


 
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