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バーでカクテルを
第392話、エルミナとバーで
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今日は、エルミナとバーで飲んでいる。
意外にも静かで驚いた。こいつのことだし、エールをがぶ飲みしながらデカい声で歌いだし、ドワーフたちと肩を組んで踊りだすのかと思ったけど。
「なーんて考えてんでしょ? 失礼ね。私だって厳かに飲むことくらいあるわよ」
「……そ、そんなことないぞ?」
俺の思考を読まれてしまった。
今日は二人きりで飲んでいる。いくら酒癖が悪くても、エルミナだけバーに招待しないってのは悪いもんな。それに、たまには二人きりで飲みたいときもある。
エルミナも察してくれたのか、エールをがぶ飲みするようなことはしなかった。
「ちょっとキツめのブドウ種ちょうだい」
「かしこまりました。では、この『ニャンコニャック』など如何でしょう? ブドウを原料に、ワイン製法ではなくブランデー製法で仕込んだお酒になります」
「お、いいわね。アシュトもどう?」
「じゃあもらうよ。というか名前がいいな……にゃんことか」
「発案者が銀猫族でしたので、その名前を」
ニャンコニャック。色は深い琥珀色でブドウから作られたとは思えない。どちらかと言えばウィスキーやブランデーに近いものがあった。
丸めのグラスに注がれたニャンコニャックで乾杯。軽く飲んでみると……うん、キツイ。
エルミナも一口飲み、口の中でしっかり味わって飲み干した。
「ん……おいしい」
「ああ。深みのあるいい酒だ」
「アシュトがそれっぽいこと言ってるしー」
「う、うるさいな」
すると、ミリアリアがスライム製の容器に入れた飴を出してきた。
「少し甘めのキャンディです。ニャンコニャックによく合います」
「ほほう、面白そうね」
「じゃ、俺も」
「飴はしばらく口の中で転がし、嚙み砕いてください。その後ニャンコニャックをお口の中へ」
カロ───ボリッ、メキッ、バリ……ゴクッ……ポリ…ミキ。
飴を口の中へ、軽く舐めて砕き、ニャンコニャックを飲む。そして残った飴を噛んだ。
確かに美味い。これはハマりそうだ。
「ん~……お酒ってやっぱり美味しい!」
「なぁ、ちょっと思ったんだけど……お前っていつから酒飲んでるんだ?」
「え? ん~……たぶん五十歳くらいかな? おじいちゃんのお酒を水と間違えて飲んじゃってね。安酒だったけど初めて酔っぱらったのよ。酔うってふわふわして気持ちよくてね~……」
エルミナは頬を紅潮させる……っていうか、五十歳から飲んでるのか。つまり……九千年以上飲んでるってことだよな? ハイエルフって身体の造りどうなってんだ? 今度健康診断やろう。
そうだ。健康診断……住人たちも増えたし、一度やるべきかな。
「アシュト、あんたはお酒どうなの? けっこう飲んでるの?」
「ん~……俺はたまにかな。十五歳で初めて飲んで、こんなの飲めるかって思ったんだけど、付き合いで飲んでいるうちになんとなく飲めるようになった」
「つまんないわねぇ」
「やかましい。飲み初めに面白いも何もないだろ」
「私の場合、初めて飲んだ次の日にはメージュたちにお酒勧めて、みんなで飲み会したわねぇ」
「…………」
ま、まぁ人それぞれってことで。
ミリアリアがチコレートを出してくれたので、一つ摘まむ。
「ミリアリア、お前も食べろよ」
「ありがとうございます。ご主人様」
ミリアリアにチコレートを渡そうと手を伸ばす……すると、ミリアリアがそのままパクっと食べた。
ちょっとびっくりすると、ミリアリアがクスリと笑う。おいおい、ポニーテールネコミミ可愛いじゃないか。
「……ちょっと、なにだらしない顔してんのよ」
「し、してないって。ほ、ほらお前も」
「むー……あむっ」
俺の腕にぎゅーっと抱き着くエルミナにチコレートを食べさせる。こいつも嫉妬ハイエルフ可愛いな。やばい酔ってるのか変な単語が混ざる。
すると、バーのドア……家に繋がっていない、店の入口ドアがノックされる。
ここはプライベートな酒場なので住人は入れないが、俺や奥さんたちの紹介なら入ることができる。いずれはバーテンダーを増やし、村にも何件かバーを作る予定だ。もちろんベルゼ通貨でのお支払いで飲めるようなバーだ。
ドアが開くと、入ってきたのはハイエルフたちだった。
「やっほー。エルミナに誘われたから来ちゃいました」
「ども」
「飲んでる~?」
「うふふ。村長とエルミナちゃん、すっごくベタベタ甘々ねぇ~♪」
メージュ、ルネア、シレーヌ、エレインだ。エルミナの幼馴染で、村での最高齢メンバーでもある。
「…………村長、失礼なこと考えてる」
「そ、そんなことないぞ? ほらルネア、座れよ」
「ん」
ルネアが隣に座ると、なぜが腕にべったり甘えてきた。
エルミナも何も言わないし、なぜかメージュたちがニヤニヤしている……なにこれ?
「とりあえず、お任せで!」
「わたしも」
「あ、あたしも~」
「私は甘めでお願いしま~す」
メージュたちが注文を取り、俺は念のため言っておく。
「いいか、ここは静かに厳かにお酒を楽しむ場所だ。大きな声を出したりしちゃダメだぞ」
「わかってるわかってる。村長、あたしらだって馬鹿飲みばっかりしてるわけじゃないって。ねぇみんな」
メージュがそう言うと、ルネアたちはうんうん頷く。
するとエルミナがチコレートを摘まんで言った。
「そう言うけど、メージュは昨日浴場で酔っぱらって裸踊りしてたわよ。ルネアはエールをがぶ飲みして吐くし、シレーヌはエール樽に頭突っ込んでたし、エレインなんて裸のまま男浴場に突入したのよ?」
「ちょ、馬鹿エルミナ!! 変なこと言うなっ!!」
「ほんとのことでしょ? メージュ」
「え、エルミナだって酔っぱらいすぎて、ミュディを村長と勘違いして襲ってたじゃん!! ミュディ泣いてたんだからね!?」
「ば、それ言うなぁぁぁっ!! 謝りまくってようやく許してもらったんだからね!?」
「おま、そんなことしてたのか……」
「ち、違うし!!」
そういや最近、ミュディがエルミナを避けてるような気がしてたけど……まさか、こいつが原因だったのか。
「わたし、吐いてない」
「あたしはちゃんと謝ったし! 樽も綺麗に洗ったし!」
「はぅぅ……は、裸で男湯……ぅぅ」
結局、バーは大騒ぎになってしまい、ミリアリアに怒られるまでデカい声を出し続けるのだった。
意外にも静かで驚いた。こいつのことだし、エールをがぶ飲みしながらデカい声で歌いだし、ドワーフたちと肩を組んで踊りだすのかと思ったけど。
「なーんて考えてんでしょ? 失礼ね。私だって厳かに飲むことくらいあるわよ」
「……そ、そんなことないぞ?」
俺の思考を読まれてしまった。
今日は二人きりで飲んでいる。いくら酒癖が悪くても、エルミナだけバーに招待しないってのは悪いもんな。それに、たまには二人きりで飲みたいときもある。
エルミナも察してくれたのか、エールをがぶ飲みするようなことはしなかった。
「ちょっとキツめのブドウ種ちょうだい」
「かしこまりました。では、この『ニャンコニャック』など如何でしょう? ブドウを原料に、ワイン製法ではなくブランデー製法で仕込んだお酒になります」
「お、いいわね。アシュトもどう?」
「じゃあもらうよ。というか名前がいいな……にゃんことか」
「発案者が銀猫族でしたので、その名前を」
ニャンコニャック。色は深い琥珀色でブドウから作られたとは思えない。どちらかと言えばウィスキーやブランデーに近いものがあった。
丸めのグラスに注がれたニャンコニャックで乾杯。軽く飲んでみると……うん、キツイ。
エルミナも一口飲み、口の中でしっかり味わって飲み干した。
「ん……おいしい」
「ああ。深みのあるいい酒だ」
「アシュトがそれっぽいこと言ってるしー」
「う、うるさいな」
すると、ミリアリアがスライム製の容器に入れた飴を出してきた。
「少し甘めのキャンディです。ニャンコニャックによく合います」
「ほほう、面白そうね」
「じゃ、俺も」
「飴はしばらく口の中で転がし、嚙み砕いてください。その後ニャンコニャックをお口の中へ」
カロ───ボリッ、メキッ、バリ……ゴクッ……ポリ…ミキ。
飴を口の中へ、軽く舐めて砕き、ニャンコニャックを飲む。そして残った飴を噛んだ。
確かに美味い。これはハマりそうだ。
「ん~……お酒ってやっぱり美味しい!」
「なぁ、ちょっと思ったんだけど……お前っていつから酒飲んでるんだ?」
「え? ん~……たぶん五十歳くらいかな? おじいちゃんのお酒を水と間違えて飲んじゃってね。安酒だったけど初めて酔っぱらったのよ。酔うってふわふわして気持ちよくてね~……」
エルミナは頬を紅潮させる……っていうか、五十歳から飲んでるのか。つまり……九千年以上飲んでるってことだよな? ハイエルフって身体の造りどうなってんだ? 今度健康診断やろう。
そうだ。健康診断……住人たちも増えたし、一度やるべきかな。
「アシュト、あんたはお酒どうなの? けっこう飲んでるの?」
「ん~……俺はたまにかな。十五歳で初めて飲んで、こんなの飲めるかって思ったんだけど、付き合いで飲んでいるうちになんとなく飲めるようになった」
「つまんないわねぇ」
「やかましい。飲み初めに面白いも何もないだろ」
「私の場合、初めて飲んだ次の日にはメージュたちにお酒勧めて、みんなで飲み会したわねぇ」
「…………」
ま、まぁ人それぞれってことで。
ミリアリアがチコレートを出してくれたので、一つ摘まむ。
「ミリアリア、お前も食べろよ」
「ありがとうございます。ご主人様」
ミリアリアにチコレートを渡そうと手を伸ばす……すると、ミリアリアがそのままパクっと食べた。
ちょっとびっくりすると、ミリアリアがクスリと笑う。おいおい、ポニーテールネコミミ可愛いじゃないか。
「……ちょっと、なにだらしない顔してんのよ」
「し、してないって。ほ、ほらお前も」
「むー……あむっ」
俺の腕にぎゅーっと抱き着くエルミナにチコレートを食べさせる。こいつも嫉妬ハイエルフ可愛いな。やばい酔ってるのか変な単語が混ざる。
すると、バーのドア……家に繋がっていない、店の入口ドアがノックされる。
ここはプライベートな酒場なので住人は入れないが、俺や奥さんたちの紹介なら入ることができる。いずれはバーテンダーを増やし、村にも何件かバーを作る予定だ。もちろんベルゼ通貨でのお支払いで飲めるようなバーだ。
ドアが開くと、入ってきたのはハイエルフたちだった。
「やっほー。エルミナに誘われたから来ちゃいました」
「ども」
「飲んでる~?」
「うふふ。村長とエルミナちゃん、すっごくベタベタ甘々ねぇ~♪」
メージュ、ルネア、シレーヌ、エレインだ。エルミナの幼馴染で、村での最高齢メンバーでもある。
「…………村長、失礼なこと考えてる」
「そ、そんなことないぞ? ほらルネア、座れよ」
「ん」
ルネアが隣に座ると、なぜが腕にべったり甘えてきた。
エルミナも何も言わないし、なぜかメージュたちがニヤニヤしている……なにこれ?
「とりあえず、お任せで!」
「わたしも」
「あ、あたしも~」
「私は甘めでお願いしま~す」
メージュたちが注文を取り、俺は念のため言っておく。
「いいか、ここは静かに厳かにお酒を楽しむ場所だ。大きな声を出したりしちゃダメだぞ」
「わかってるわかってる。村長、あたしらだって馬鹿飲みばっかりしてるわけじゃないって。ねぇみんな」
メージュがそう言うと、ルネアたちはうんうん頷く。
するとエルミナがチコレートを摘まんで言った。
「そう言うけど、メージュは昨日浴場で酔っぱらって裸踊りしてたわよ。ルネアはエールをがぶ飲みして吐くし、シレーヌはエール樽に頭突っ込んでたし、エレインなんて裸のまま男浴場に突入したのよ?」
「ちょ、馬鹿エルミナ!! 変なこと言うなっ!!」
「ほんとのことでしょ? メージュ」
「え、エルミナだって酔っぱらいすぎて、ミュディを村長と勘違いして襲ってたじゃん!! ミュディ泣いてたんだからね!?」
「ば、それ言うなぁぁぁっ!! 謝りまくってようやく許してもらったんだからね!?」
「おま、そんなことしてたのか……」
「ち、違うし!!」
そういや最近、ミュディがエルミナを避けてるような気がしてたけど……まさか、こいつが原因だったのか。
「わたし、吐いてない」
「あたしはちゃんと謝ったし! 樽も綺麗に洗ったし!」
「はぅぅ……は、裸で男湯……ぅぅ」
結局、バーは大騒ぎになってしまい、ミリアリアに怒られるまでデカい声を出し続けるのだった。
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