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日常編⑮
第402話、それぞれの帰省
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緑龍の村。二度目の冬支度が始まった。
ドワーフやサラマンダーたちは建物の建築を終え、冬に向けての雪囲い作業に移った。細い木々を補強したり、家屋を補強したりと大忙しだ。同時に、コタツや暖房器具造りも進めている。
ハイエルフたちも収穫を終え、冬に向けての食材加工を始めた。
果物は保存がきくドライフルーツに、魚を燻製にしたり、肉や野菜を塩漬けにして長持ちさせる工夫を施している。今や村の巨大冷蔵庫は二十棟になり、肉や果実はそこに大量保管されている。ぶっちゃけ、現在の保存食だけで村人は数年食べていけるそうだ。
コメ、肉、野菜、魚、果実。そして酒の倉庫……ドワーフが力を込めて建築したので、村で最も強度のある建物になってるとか。
銀猫族と魔犬族は、冬にむけて服を編んでいた。
キングシープの毛糸を使った服屋下着を編み、ネコミミを崩さない形の帽子や手袋をせっせと編んでいる。
ミュディたちも協力し、住人たちの冬服を編むそうだ。一応、お金は取るらしい。
村に住む天使族や悪魔族、人狼族などの種族は、一部を除いて帰省することになった。
フレキくんはアセナちゃんとマカミちゃんと一緒に人狼族の村へ。冬の間はそこで診療するらしく、マカミちゃんがお手伝いするらしい。
エンジュも、ダークエルフの里に帰るそうだ。おばあちゃん一人で診療しているからな。
それぞれが、冬の支度を始めている。
そんなある日。夕食を終えた俺たちがのんびりしていると、ローレライが言った。
「アシュト。それにみんな、少しいい?」
ローレライは、食後の紅茶を飲みながら言う。
「実は、一度里帰りしようと思うの。もう二年以上この村に滞在しているけど……もう随分と、お父様やお母様、おじ様おば様、ドラゴンロード王国の国民に顔見せしてないからね」
これには俺も同意した。
「確かに。ガーランド王やアルメリア王妃は来るけど、ローレライたちが帰ったことないよな」
「ええ。竜騎士たちもこの村を気に入っているけど、やっぱり故郷に帰らせてあげないと」
すると、シェリーとドラゴンチェスをしていたクララベルが言う。
「じゃあ、お兄ちゃんも一緒に行こうよ!」
「あー……行きたいのは山々なんだけど、俺もビッグバロッグ王国に戻らないといけないんだ。こんな言い方はアレだけど、お前とローレライを連れて行こうって考えてたんだよ」
「え、そうなの?」
「うん。リュドガ兄さんの子供、見せてやろうと思ってな。それに、父上たちに話もあるし……」
ローレライがティーカップを置き、申し訳なさそうに言う。
「そうなの……ごめんなさいアシュト」
「いや、そんなつもりで言ったんじゃないんだ。それに、一緒にビッグバロッグ王国に行く機会はあるし、俺がドラゴンロード王国に行く機会もある。二人とも、今回は帰省してゆっくり過ごしてくれ」
「そうだよ姉さま! 赤ちゃんならわたしたちで作ればいいし!」
「く、クララベル!」
ローレライが慌てた……さすがにこれは恥ずかしいな。
すると、酒瓶片手にエルミナがリビングに来た。なぜかミュディの腕に抱き着いて。
「あぁぁ~……あしゅとぉ、あたひもハイエルフのおうちに帰るからねぇ。おじいちゃんが冬前に帰って来いってさぁ~……うぃぃ」
「……お、おう。ミュディ、そいつどうしたんだよ」
「え、えっと……一緒にお酒飲んでたら『あ、アシュトに言わなきゃ』って立ち上がったんだけど、フラフラになっちゃって」
「……まぁいいや。エルミナも帰省か」
ミュディはエルミナをソファに座らせ、自分も座る。
俺はドラゴンチェスの盤面を見て唸るシェリーと、エルミナにじゃれつかれているミュディに聞いた。
「ミュディ、シェリー、俺はビッグバロッグ王国に帰るけど、お前たちはどうする?」
「わたしも行くよ。お姉さまに会いたいし、子供がどのくらい成長したのかも見たいしね」
「……あたしも……ん、ここだ!! クララベル、ドラゴンチェック!!」
「あぁぁっ!! シェリー、まってまって!!」
「ふははははっ!! 勝負の世界に待ったはない!!」
なんか楽しそうだな。
こうして、俺とシェリーとミュディはビッグバロッグ王国。ローレライとクララベルはドラゴンロード王国。エルミナはハイエルフの里に帰省することになった。
本格的な冬まであと半年もない。雪が降る前に行って帰るべきだろう。
◇◇◇◇◇◇
次の日から、帰省に向けて動き出した。
『で、帰ってくるんだな?』
「うん。父上と兄さんに繋がらないから、ヒュンケル兄から伝えておいて」
『わかった。つーか、弟であり息子であるお前が帰ってくる連絡を、他人のオレがするっての、リュドガもアイゼン様も地味にショック受けんだよなぁ』
「あー……まぁ、ヒュンケル兄にお任せで!」
ヒュンケル兄に連絡し、帰省のことを話しておく。
ビッグバロッグ王国までは竜騎士に運んでもらうことになっているので、次の準備は各自の荷造りだ。
服と下着、お土産のお酒を準備していると、ルミナが俺の部屋に来た。
「みゃう。どこかいくのか」
「ああ。ビッグバロッグ王国に帰るんだ」
「む……おい、あたいも連れて行け」
「え? ん~……まぁいいか。よし、お前も一緒に行くか」
「みゃあ!」
ルミナは俺に抱き着き、身体を擦りつける。
前みたいに無断で付いてくるなら、堂々と連れていけばいい。
それに、今回はそう長く滞在しない。となると……。
「ミュアちゃんも連れて行くか。ライラちゃんもかな」
「みゃう。そうしろ……ばれたらうるさいからな」
「あはは……よしよし、ごろごろ」
「ごろごろ……」
ルミナの頭と喉を撫でるとゴロゴロ鳴いた。
ミュアちゃんに声をかけると「行く!」と二つ返事で了承。
意外だったのがライラちゃんだ。
「わぅん。ごめんなさい……行かないの」
「え、いいの?」
「くぅぅん。冬のお仕事あるの。あったかい帽子や手袋いっぱい作るの……あのね、お兄ちゃんの帽子と手袋、わたしが作ってるの」
「え、俺のを?」
「わぅん。だから、いけないの。その代わりお兄ちゃん……かっこいい手袋と帽子つくるね」
「ライラちゃん……うん、ありがとう!」
「くぅぅぅん」
ライラちゃんの頭を撫でまくった。
けなげでいい子だ……俺のために手袋と帽子を作ってくれるとは。
よし。この冬はずっと付けていよう。
さて、代わりというわけではないが。
「ウッド、ビッグバロッグ王国に帰るけど一緒に行くか?」
『イク! ボクモカエル!』
ウッドも連れて行くことにした。
冬になるとウッドは殆ど外に出れないし、外遊びに連れて行こう。
久しぶりの帰省だ。父上や兄さんたち、元気かな。
ドワーフやサラマンダーたちは建物の建築を終え、冬に向けての雪囲い作業に移った。細い木々を補強したり、家屋を補強したりと大忙しだ。同時に、コタツや暖房器具造りも進めている。
ハイエルフたちも収穫を終え、冬に向けての食材加工を始めた。
果物は保存がきくドライフルーツに、魚を燻製にしたり、肉や野菜を塩漬けにして長持ちさせる工夫を施している。今や村の巨大冷蔵庫は二十棟になり、肉や果実はそこに大量保管されている。ぶっちゃけ、現在の保存食だけで村人は数年食べていけるそうだ。
コメ、肉、野菜、魚、果実。そして酒の倉庫……ドワーフが力を込めて建築したので、村で最も強度のある建物になってるとか。
銀猫族と魔犬族は、冬にむけて服を編んでいた。
キングシープの毛糸を使った服屋下着を編み、ネコミミを崩さない形の帽子や手袋をせっせと編んでいる。
ミュディたちも協力し、住人たちの冬服を編むそうだ。一応、お金は取るらしい。
村に住む天使族や悪魔族、人狼族などの種族は、一部を除いて帰省することになった。
フレキくんはアセナちゃんとマカミちゃんと一緒に人狼族の村へ。冬の間はそこで診療するらしく、マカミちゃんがお手伝いするらしい。
エンジュも、ダークエルフの里に帰るそうだ。おばあちゃん一人で診療しているからな。
それぞれが、冬の支度を始めている。
そんなある日。夕食を終えた俺たちがのんびりしていると、ローレライが言った。
「アシュト。それにみんな、少しいい?」
ローレライは、食後の紅茶を飲みながら言う。
「実は、一度里帰りしようと思うの。もう二年以上この村に滞在しているけど……もう随分と、お父様やお母様、おじ様おば様、ドラゴンロード王国の国民に顔見せしてないからね」
これには俺も同意した。
「確かに。ガーランド王やアルメリア王妃は来るけど、ローレライたちが帰ったことないよな」
「ええ。竜騎士たちもこの村を気に入っているけど、やっぱり故郷に帰らせてあげないと」
すると、シェリーとドラゴンチェスをしていたクララベルが言う。
「じゃあ、お兄ちゃんも一緒に行こうよ!」
「あー……行きたいのは山々なんだけど、俺もビッグバロッグ王国に戻らないといけないんだ。こんな言い方はアレだけど、お前とローレライを連れて行こうって考えてたんだよ」
「え、そうなの?」
「うん。リュドガ兄さんの子供、見せてやろうと思ってな。それに、父上たちに話もあるし……」
ローレライがティーカップを置き、申し訳なさそうに言う。
「そうなの……ごめんなさいアシュト」
「いや、そんなつもりで言ったんじゃないんだ。それに、一緒にビッグバロッグ王国に行く機会はあるし、俺がドラゴンロード王国に行く機会もある。二人とも、今回は帰省してゆっくり過ごしてくれ」
「そうだよ姉さま! 赤ちゃんならわたしたちで作ればいいし!」
「く、クララベル!」
ローレライが慌てた……さすがにこれは恥ずかしいな。
すると、酒瓶片手にエルミナがリビングに来た。なぜかミュディの腕に抱き着いて。
「あぁぁ~……あしゅとぉ、あたひもハイエルフのおうちに帰るからねぇ。おじいちゃんが冬前に帰って来いってさぁ~……うぃぃ」
「……お、おう。ミュディ、そいつどうしたんだよ」
「え、えっと……一緒にお酒飲んでたら『あ、アシュトに言わなきゃ』って立ち上がったんだけど、フラフラになっちゃって」
「……まぁいいや。エルミナも帰省か」
ミュディはエルミナをソファに座らせ、自分も座る。
俺はドラゴンチェスの盤面を見て唸るシェリーと、エルミナにじゃれつかれているミュディに聞いた。
「ミュディ、シェリー、俺はビッグバロッグ王国に帰るけど、お前たちはどうする?」
「わたしも行くよ。お姉さまに会いたいし、子供がどのくらい成長したのかも見たいしね」
「……あたしも……ん、ここだ!! クララベル、ドラゴンチェック!!」
「あぁぁっ!! シェリー、まってまって!!」
「ふははははっ!! 勝負の世界に待ったはない!!」
なんか楽しそうだな。
こうして、俺とシェリーとミュディはビッグバロッグ王国。ローレライとクララベルはドラゴンロード王国。エルミナはハイエルフの里に帰省することになった。
本格的な冬まであと半年もない。雪が降る前に行って帰るべきだろう。
◇◇◇◇◇◇
次の日から、帰省に向けて動き出した。
『で、帰ってくるんだな?』
「うん。父上と兄さんに繋がらないから、ヒュンケル兄から伝えておいて」
『わかった。つーか、弟であり息子であるお前が帰ってくる連絡を、他人のオレがするっての、リュドガもアイゼン様も地味にショック受けんだよなぁ』
「あー……まぁ、ヒュンケル兄にお任せで!」
ヒュンケル兄に連絡し、帰省のことを話しておく。
ビッグバロッグ王国までは竜騎士に運んでもらうことになっているので、次の準備は各自の荷造りだ。
服と下着、お土産のお酒を準備していると、ルミナが俺の部屋に来た。
「みゃう。どこかいくのか」
「ああ。ビッグバロッグ王国に帰るんだ」
「む……おい、あたいも連れて行け」
「え? ん~……まぁいいか。よし、お前も一緒に行くか」
「みゃあ!」
ルミナは俺に抱き着き、身体を擦りつける。
前みたいに無断で付いてくるなら、堂々と連れていけばいい。
それに、今回はそう長く滞在しない。となると……。
「ミュアちゃんも連れて行くか。ライラちゃんもかな」
「みゃう。そうしろ……ばれたらうるさいからな」
「あはは……よしよし、ごろごろ」
「ごろごろ……」
ルミナの頭と喉を撫でるとゴロゴロ鳴いた。
ミュアちゃんに声をかけると「行く!」と二つ返事で了承。
意外だったのがライラちゃんだ。
「わぅん。ごめんなさい……行かないの」
「え、いいの?」
「くぅぅん。冬のお仕事あるの。あったかい帽子や手袋いっぱい作るの……あのね、お兄ちゃんの帽子と手袋、わたしが作ってるの」
「え、俺のを?」
「わぅん。だから、いけないの。その代わりお兄ちゃん……かっこいい手袋と帽子つくるね」
「ライラちゃん……うん、ありがとう!」
「くぅぅぅん」
ライラちゃんの頭を撫でまくった。
けなげでいい子だ……俺のために手袋と帽子を作ってくれるとは。
よし。この冬はずっと付けていよう。
さて、代わりというわけではないが。
「ウッド、ビッグバロッグ王国に帰るけど一緒に行くか?」
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