大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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オーベルシュタイン、二度目の冬

第415話、イベントを決めよう

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 ディアーナと別れエルミナと一緒に家に戻ると、庭が賑やかだった。
 何かと思い二人で顔を出すと、そこには立派なかまくらと雪ダルマがあった。そして完成を喜ぶシェリー、ライラちゃん、マンドレイクにシロがいた。
 ライラちゃんは、俺を見るなり尻尾をブンブン振って来る。

「お兄ちゃん!! かまくらできたの!!」
「おおー……すごいね。前に作ったやつより大きい」

 かまくらは、以前の冬に作った物より大きかった。
 シェリーが得意げに胸を張る。

「前のは大きく作ったつもりでも、中に入るとちょっとせまかったからね。全員でコタツに入ってのんびりするには、もっと広くしなきゃって考えてたの」
「まんどれーいく!」
『わんわん!!』
「お兄ちゃん、エルミナ、最後の仕上げあるから手伝って!」
「いいわよ。長い話で肩凝ったし、少しほぐさないとね!」

 エルミナは肩をぐるぐる回してやる気満々だ。
 ディアーナとの話、確かに長かったからな。少し運動したほうがいいかも。

「よし、俺も手伝うぞ」
「わぅん。お兄ちゃん、中に防水シートを敷いてふかふかカーペット敷くの」
「よーし。じゃあやろうか!」

 かまくらの中に大きくて広い防水シートを敷き、その上にカーペットを敷き、コタツを入れてヒバチを入れる。
 ヒバチに火を入れてかまくらの中を温め、ようやく完成した。

「わぅん。できたー!」
「ふぅ……よし、中に入って休もっか」

 シェリーがライラちゃんの頭を撫でる。
 さっそく中に入り、コタツに入る。
 中はとても暖かく、ずっといると眠くなりそうだった。

「はぁ~……いいわねぇ」
「エルミナ、ヒバチにお団子刺して」
「あいあーい。アシュト、カップ取って。喉乾いた」
「あいよ。って……すごいな、雪で棚まで作ったのか」

 かまくら内に、雪で作った棚があり、そこにカップが入っていた。
 今回のかまくらは大きさだけじゃなく内装も凝っているな。

 しばし、ライラちゃんたちとかまくらを堪能した。

 ◇◇◇◇◇◇

 ライラちゃんとマンドレイクが仲良く並んで眠ってしまった。
 なので、シェリーも混ぜてイベントの話をすることにした。

「イベント?」
「ああ。冬のイベントでな、雪祭りにドラゴンチェス大会、鍋会……いろいろ案が出たんだが、何かお前からもいいアイデアはないか?」
「ん~……あ、雪合戦大会っていうのなら聞いたことあるわね」

 シェリーはリョク茶を啜り、団子をパクっと食べる。

「あむ。雪を固めて球を作ってぶつけ合う遊び。軍属時代、このコタツを見た豪雪地帯の子供たちがやってた遊びよ……ん~お団子おいしい」
「雪合戦か……なんか面白そうだけど」
「あ~んっ……種族で力違うからヤバいわね。バルギルドが投げた雪玉がアシュトに当たったら貫通したりして」
「怖すぎること言うなよ……」

 団子を頬張るエルミナはおかしそうに笑う。いや笑いごとじゃねーよ。
 
「サラマンダーとデーモンオーガ、エルダードワーフも力持ちだからヤバいわね。ハイエルフは女の子ばかりだし……銀猫たちはああ見えて力持ちだし」

 シェリーが言う。
 ブラックモールたちは帰省、ゴルゴーン族とアラクネー族も帰省、悪魔族と天使族は転移魔法で通い……村にいるパワー系種族は意外と少ないな。
 
「よし。候補に入れておこう」
「候補?……全部やるんじゃないの?」

 シェリーがまた言う。
 全部……まぁできなくはないな。

「ん~……全部か。雪祭り、鍋会、ドラゴンチェス大会、雪合戦……全部できたらかなり楽しそうだな」

 食材は冷凍保存してあるのがたんまりあるので祭りはできるし鍋会もできる。ドラゴンチェス大会もできる。雪合戦もできる……内容を詰めて、冬の間に定期的に開催できるかな。
 
「よし。全部やるか」
「お、さっすがアシュト!!」
「なんか楽しそうだね」

 エルミナとシェリーもにっこり笑う。
 さて、細かい内容を決めてディアーナと打ち合わせだ。

「よし。二人にもいろいろ手伝ってもらおうか」
「もちろん! ふふふ、お酒いっぱい飲めそう……」
「あたしも手伝うよ。あ、せっかくだしミュディとか呼んでくる? たぶん家にいると思う」

 冬のイベント、すっごく楽しみだ!

 ◇◇◇◇◇◇

 内容を詰め、自室で書類にしてディアーナに提出するために一人で部屋へ。
 エルミナとシェリーはミュディを連れて風呂に行った。風呂は毎日好きな時間に入れるので寒い冬はありがたい。
 父上と母上も毎日風呂に入れる喜びを実感していた。

「さて。書類をまとめて……」

 自室のドアを開けると、ミュアちゃんがベッドに寝転がりルミナがソファで本を読んでいた。
 薬院にいたのに……まぁいいか。

「みゃあ。おそいぞ」
「悪い悪い……って、ここにコタツはないぞ?」
「ふん。勉強の時間だ。わからないことを聞くんだ」
「ああ、そっか。ミュアちゃんは?」
「にゃあー……お昼寝の時間なの」

 ルミナの勉強に付き合いつつ、書類をまとめる。
 すると、俺が何を書いているのか気になったルミナが書類を覗き込んだ。

「……冬のイベント?」
「ああ。せっかくだし、住人を誘っていろいろやろうと思ってな。冬ならではの遊びがいっぱいだぞ」
「遊び……」
「あと、鍋会とかもあるぞ。寒い冬に食べる鍋物は美味いぞ~?」
「みゃあぁ……」

 ルミナは目をキラキラさせる。
 ネコミミを撫でながら聞いてみた。

「なぁ、お前は今まで、冬はどうやって過ごしてたんだ?」

 ルミナの尻尾が揺れた。

「暖かいところに移動したり、雪が降る前に果物とか木の実を集めて巣の中に保存して、そのまま冬が過ぎるまで巣の中で過ごした」
「……巣?」
「ああ。木の根元を掘って穴を作ったり、木の上で葉っぱを集めて寝床にしたり」
「……大変だったな」
「みゃあ。そんなことない。大人の黒猫族は暖かいところに移動する。あたいは子供で体力がないから、そう遠くに移動できないからな」
「ルミナ……うん。なぁ、今日は一緒に寝るか」
「みゃう。いいぞ……ごろごろ」

 こんな小さな子が、過酷な環境で生きてきた。
 でも、これがオーベルシュタイン。人が踏み込むことのない魔境だ。
 もしかしたら、ルミナとは違う黒猫族もこの過酷な冬を生きているのだろうか。

「ごろごろ……」
「ルミナ、ずっとここにいろよ」
「当たり前だ。あたいは獣医になるんだからな。ごろごろ」

 頭を撫で、ネコミミを揉むと……ルミナは気持ちよさそうに鳴いた。
 ルミナを撫でると飛びついてくるミュアちゃんは、いつの間にか寝ていた。

「ルミナ、楽しいイベントにするから、参加してくれよ?」
「……みゃあ。わかった」

 さて、ルミナだけじゃない、みんなが楽しめるイベントにしないとな!!
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