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グランドファーザー&マザー
第474話、春の遠征
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ビッグバロッグ王国騎士団・春の遠征。
春先になると巨大魔獣や小型魔獣の群れが出没する。なので、騎士団や軍を動員し、王国領内を見回りする仕事である。
リュドガ率いる王国軍の部隊数は全十三部隊。そのうち六部隊を引き連れ遠征へ向かい、残りの七部隊はビッグバロッグ王国の守護に当てている。
リュドガ率いる遠征軍は、ビッグバロッグ王国から三日ほど離れた場所にある岩石地帯にいた。
ここは、大型魔獣が姿を隠すのにもってこいの岩場なのだ。過去にここで魔獣のスタンピードが発生、近隣の町や村が脅かされることもあった。
なので、春先になり魔獣が活発化する時は、最優先で向かう。
リュドガは、岩場の入口近くに本陣を敷いていた。
そこで、副官リュドガとルナマリアを呼び、将軍としての顔で言う。
「斥候からの報告によれば、魔獣のフンや食事の痕跡が多数見つかった。過去の事例と照らし合わせると、ここに小型魔獣の群れが潜んでいる可能性が高い」
ヒュンケルは舌打ちをする。
「ちっ……春先になると魔獣が増えやがる。冬に産卵して春先に還り、餌を求めて暴れる、か。どう思うよルナマリア」
「……恐らくトカゲ型の魔獣だろう。足跡も見つかっている……リュドガ、この岩場は餌が少ない。餌が無くなれば餌を求めて大規模な移動があるぞ」
「わかっている。この付近には町や村も多い。魔獣には悪いが、被害が出る前に殲滅しよう」
三人は、岩場の地形マップをテーブルに広げる。
斥候が見つけた痕跡や餌の食べかすがあった位置を書き、魔獣の現在位置を特定する。
「ここには川が流れている。砂や砂利などで濾過された綺麗な水だ。それに、多少だが緑もある。身を隠すにはもってこいの場所だ」
「じゃあ奴さんはここに潜んでいると仮定して……川沿いに餌を撒いて、この広い岩石地帯に誘き寄せるのはどうよ? ここから岩石に上って狙撃部隊による弓矢で数を減らし、地上部隊による殲滅戦……いけるんじゃね?」
「……そうだな。ヒュンケルの作戦で行こう。まずは斥候にこの森を調査してもらって、ここに魔獣がいるかどうか確証を得よう」
「じゃ、オレがいくぜ」
ヒュンケルが挙手。
リュドガは少し考え込み、頷いた。
「わかった。お前に任せる……部下はどうする?」
「いや、いらね。一人で十分……いざという時、足手まといだからな」
「そうか。じゃあ、一日で大丈夫か?」
「半日、夜には戻る」
そう言って、ヒュンケルは天幕を出た。
自分の天幕で鎧を脱ぎ、野草の汁や泥で臭い付けした森林用の迷彩服に着替え、軽く準備運動をする。
「へへ、こんなこと言ったら騎士失格かもな……オレ、騎士より暗殺者のが向いてるって」
ヒュンケルは、隠密任務が得意だった。
裏方が得意なヒュンケルは、ビッグバロッグ王国最強の風使いであると同時に、最高の斥候でもあった。
ヒュンケルは、音もなく天幕を抜け出し……誰にも気づかれることなく目的地へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
リュドガとルナマリアは、作戦を詰めていた。
「何度も言っているだろう? 前線で戦う将軍がどこにいる!」
「だが、オレの『雷』なら一気に殲滅できる。部下たちも安全だし……」
「お前はどうなんだお前は! 全く……部下を想うのはいいが、もう少し信頼しろ。お前や私が鍛えた部下たちは、トカゲの群れなんぞに遅れは取らん」
「ルナマリア……」
「前線指揮は第一部隊長のラティウスに任せる。第二、第三部隊は私が指揮を執るから、お前は後方で全体指揮を執れ。いいな」
「待て。お前も前線に」
「当たり前だ。残りの部隊は後方待機、いいな」
「……わかった。ただし、不測の事態があった場合はオレの指揮に従ってもらうぞ」
「わかった」
ようやくリュドガが折れた。
たまには、部下に功績を与えねばならない。
ルナマリアは、六人の部隊長を呼び出し、それぞれに役割を与えた。
「ラティウス。お前は第一部隊を率いて最前線での魔獣討伐だ。危険が伴うが、お前とその部下たちなら大丈夫だと信じている」
「はっ!! ルナマリア副大隊長、お任せください」
「ミゲル、アトワイト、クラリス、ジョージ、ベヘモット。お前たちも気を引き締めて任務に当たれ」
「「「「「「はっ!!」」」」」」
部隊長はルナマリアに騎士の敬礼をする。
そして、リュドガが前に出た。
「いいか。小型魔獣といえども、数が揃えば恐るべき脅威となる。慢心せず、全力で任務に当たれ。それと……任務が終わったら、酒でも飲もう。オレの奢りだ」
「「「「うぉぉぉ!! ごちになります!!」」」」
「「さっすがリュドガ将軍!!」」
部隊長は、男四人と女二人だ。それぞれ反応が違った。
ルナマリアは苦笑し、さらに言う。
「もちろん、部下たちも全員だ。さっさと片付けて家に帰ろう」
「「「「「「はいっ!!」」」」」」
騎士団たちの気合は、ノリに乗っていた。
◇◇◇◇◇◇
一方、岩石地帯の僅かな森の中……ヒュンケルは、樹の上で唸っていた。
「マジかよ……なんて数だ」
睨んだ通り、全長一メートル以下のトカゲの群れがいた。
だが、数が多い……パッと見ただけで千以上いる。
薄い緑の皮膚、ギザギザの歯、長い尾……ありきたりな『肉食トカゲ』という魔獣だ。
ヒュンケルは森と同化しながら移動し、ため息を吐く。
「部隊の総数六百……後方に三百、前線で三百……編成を練り直すか」
ヒュンケルは、リュドガに報告すべく森を離脱した。
そして、気付かなかった……トカゲの王が、深い地面の奥で眠りについていることを。
春先になると巨大魔獣や小型魔獣の群れが出没する。なので、騎士団や軍を動員し、王国領内を見回りする仕事である。
リュドガ率いる王国軍の部隊数は全十三部隊。そのうち六部隊を引き連れ遠征へ向かい、残りの七部隊はビッグバロッグ王国の守護に当てている。
リュドガ率いる遠征軍は、ビッグバロッグ王国から三日ほど離れた場所にある岩石地帯にいた。
ここは、大型魔獣が姿を隠すのにもってこいの岩場なのだ。過去にここで魔獣のスタンピードが発生、近隣の町や村が脅かされることもあった。
なので、春先になり魔獣が活発化する時は、最優先で向かう。
リュドガは、岩場の入口近くに本陣を敷いていた。
そこで、副官リュドガとルナマリアを呼び、将軍としての顔で言う。
「斥候からの報告によれば、魔獣のフンや食事の痕跡が多数見つかった。過去の事例と照らし合わせると、ここに小型魔獣の群れが潜んでいる可能性が高い」
ヒュンケルは舌打ちをする。
「ちっ……春先になると魔獣が増えやがる。冬に産卵して春先に還り、餌を求めて暴れる、か。どう思うよルナマリア」
「……恐らくトカゲ型の魔獣だろう。足跡も見つかっている……リュドガ、この岩場は餌が少ない。餌が無くなれば餌を求めて大規模な移動があるぞ」
「わかっている。この付近には町や村も多い。魔獣には悪いが、被害が出る前に殲滅しよう」
三人は、岩場の地形マップをテーブルに広げる。
斥候が見つけた痕跡や餌の食べかすがあった位置を書き、魔獣の現在位置を特定する。
「ここには川が流れている。砂や砂利などで濾過された綺麗な水だ。それに、多少だが緑もある。身を隠すにはもってこいの場所だ」
「じゃあ奴さんはここに潜んでいると仮定して……川沿いに餌を撒いて、この広い岩石地帯に誘き寄せるのはどうよ? ここから岩石に上って狙撃部隊による弓矢で数を減らし、地上部隊による殲滅戦……いけるんじゃね?」
「……そうだな。ヒュンケルの作戦で行こう。まずは斥候にこの森を調査してもらって、ここに魔獣がいるかどうか確証を得よう」
「じゃ、オレがいくぜ」
ヒュンケルが挙手。
リュドガは少し考え込み、頷いた。
「わかった。お前に任せる……部下はどうする?」
「いや、いらね。一人で十分……いざという時、足手まといだからな」
「そうか。じゃあ、一日で大丈夫か?」
「半日、夜には戻る」
そう言って、ヒュンケルは天幕を出た。
自分の天幕で鎧を脱ぎ、野草の汁や泥で臭い付けした森林用の迷彩服に着替え、軽く準備運動をする。
「へへ、こんなこと言ったら騎士失格かもな……オレ、騎士より暗殺者のが向いてるって」
ヒュンケルは、隠密任務が得意だった。
裏方が得意なヒュンケルは、ビッグバロッグ王国最強の風使いであると同時に、最高の斥候でもあった。
ヒュンケルは、音もなく天幕を抜け出し……誰にも気づかれることなく目的地へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
リュドガとルナマリアは、作戦を詰めていた。
「何度も言っているだろう? 前線で戦う将軍がどこにいる!」
「だが、オレの『雷』なら一気に殲滅できる。部下たちも安全だし……」
「お前はどうなんだお前は! 全く……部下を想うのはいいが、もう少し信頼しろ。お前や私が鍛えた部下たちは、トカゲの群れなんぞに遅れは取らん」
「ルナマリア……」
「前線指揮は第一部隊長のラティウスに任せる。第二、第三部隊は私が指揮を執るから、お前は後方で全体指揮を執れ。いいな」
「待て。お前も前線に」
「当たり前だ。残りの部隊は後方待機、いいな」
「……わかった。ただし、不測の事態があった場合はオレの指揮に従ってもらうぞ」
「わかった」
ようやくリュドガが折れた。
たまには、部下に功績を与えねばならない。
ルナマリアは、六人の部隊長を呼び出し、それぞれに役割を与えた。
「ラティウス。お前は第一部隊を率いて最前線での魔獣討伐だ。危険が伴うが、お前とその部下たちなら大丈夫だと信じている」
「はっ!! ルナマリア副大隊長、お任せください」
「ミゲル、アトワイト、クラリス、ジョージ、ベヘモット。お前たちも気を引き締めて任務に当たれ」
「「「「「「はっ!!」」」」」」
部隊長はルナマリアに騎士の敬礼をする。
そして、リュドガが前に出た。
「いいか。小型魔獣といえども、数が揃えば恐るべき脅威となる。慢心せず、全力で任務に当たれ。それと……任務が終わったら、酒でも飲もう。オレの奢りだ」
「「「「うぉぉぉ!! ごちになります!!」」」」
「「さっすがリュドガ将軍!!」」
部隊長は、男四人と女二人だ。それぞれ反応が違った。
ルナマリアは苦笑し、さらに言う。
「もちろん、部下たちも全員だ。さっさと片付けて家に帰ろう」
「「「「「「はいっ!!」」」」」」
騎士団たちの気合は、ノリに乗っていた。
◇◇◇◇◇◇
一方、岩石地帯の僅かな森の中……ヒュンケルは、樹の上で唸っていた。
「マジかよ……なんて数だ」
睨んだ通り、全長一メートル以下のトカゲの群れがいた。
だが、数が多い……パッと見ただけで千以上いる。
薄い緑の皮膚、ギザギザの歯、長い尾……ありきたりな『肉食トカゲ』という魔獣だ。
ヒュンケルは森と同化しながら移動し、ため息を吐く。
「部隊の総数六百……後方に三百、前線で三百……編成を練り直すか」
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