大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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グランドファーザー&マザー

第479話、おじいちゃんとおばあちゃん

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 天気もよく、仕事も休みなのでユグドラシルの下でのんびりしていた。
 俺は水筒に入れてきたお茶を飲み、傍にいるウッドを撫でる。

「はぁ~……気持ちいい」
『アシュト、キモチイイ?』
「うん。天気もいいし、風も気持ちいいし、お茶も美味いし……なんか大自然と一体化して溶けちゃいそう」
『アシュト、トケルノダメー!』
「あはは。冗談だよ」

 ウッドは俺によりかかり、可愛らしい手でペシペシ叩く。
 すると、狼小屋からシロが出てきた。

『クゥゥ……』
「お、シロ。なんだ、お前も昼寝か?』
『きゃん!』
『シロ、オヒルネ、オヒルネ』

 シロは俺の傍で丸くなり、ウッドが寄り掛かる。
 それから間もなく、シロとウッドはお昼寝を始めた。
 春の陽気は昼寝を誘う……うーん、俺も眠くなってきた。

「平和だなぁ~……」

 何度も何度も噛みしめた平和。
 だが……平和があるように、争いもある。
 争いというほどではないが、諍いやいざこざもある。

「お兄ちゃ~~~んっ!」
「ん……クララベル?」
「お兄ちゃん、大変大変!」
「シェリーまで……おいおい、ウッドたちが起きる、静かにしてくれよ」

 シェリーとクララベルが仲良く並んで走ってきた。
 俺の前で立ち止まると、二人同時に手紙を出してくる。

「お兄ちゃんお兄ちゃん!! おじいちゃんとおばあちゃんからお手紙きたの!!」
「お兄ちゃん!! エストレイヤ家から手紙!! おじい様とおばあ様が戻ってきたって!!」
「え……?」

 クララベルは俺の隣に座り、手紙を広げる。
 負けじとシェリーも座り、手紙を広げ……待て待て、どっちか先にしてくれ。
 
「二人とも落ち着け。まずはクララベルから」
「やった!」
「むぅー」

 むくれるシェリーの頭を撫で、クララベルに聞いた。

「じゃあクララベル。何があった?」
「うん。えっとね、わたしのおじいちゃんとおばあちゃんからお手紙きたの。おじいちゃんとおばあちゃん、パパやママのところに遊びに行って、わたしと姉さまがここで暮らしてるって聞いて、遊びに来たいって。パパとママもお休みもらって、おじさんおばさんも連れて遊びにくるってー!」
「…………」

 おいおい、ドラゴン一家勢ぞろいかよ。
 それはいいんだけど……おじさんおばさんって、フォルテシモさんとイクシオンさんだよな。アイオーンの両親も来るのか……そういえば、アイオーンが部屋に引きこもってから何十日経ったかな。

「お兄ちゃん、パパやママをおもてなししたいの。いい?」
「もちろん。クララベルの美味しいケーキやデザートでおもてなししよう。それと、家でもパーティーしたいね」
「うん! えへへー、姉さまと相談してくるね!」

 クララベルは変身し、ドラゴンの姿で飛んでいった……おいおい、村の中では変身しないでくれよ。
 さて、残りはシェリーだ。

「あたしも同じような話。お兄ちゃん、エストレイヤ家のおじい様、おばあ様のこと覚えてる?」
「ああ。小さい頃に何度か会ったことあるよな。父上の前の将軍で、『岩窟帝がんくつてい』って呼ばれた、最強の『地』魔法の使い手……隠居して、世界中を回ってるって聞いたのが最後だ」
「おおむね合ってる。リュウ兄が春の遠征でちょっとだけピンチになったときに、たまたま近くにいて、リュウ兄を助けたんだって。おばあ様もいたらしいわ」
「え!? りゅ、リュドガ兄さんは」
「大丈夫。リュウ兄は怪我ひとつないから。で、おじい様とおばあ様、久しぶりにエストレイヤ家に帰って、お兄ちゃんやあたしがここで暮らしてるって知って、遊びに行くからって」
「え……でもここ、オーベルシュタインだぞ。普通の人間じゃあ……」
「おじい様とおばあ様なら平気だってさ。表の魔獣はすでに相手にならないからちょうどいいって」
「おいおい……」

 オーベルシュタインの魔獣は凶悪だ。
 俺がここに来た時に出会わなかったのは本当の偶然だし、シェリーやミュディも運がよかっただけ。
 いくら強くても、普通の人間には荷が重いかも。

「参ったな……何かあったら大変だ。シェリー、おじい様とおばあ様はいつ来る?」
「えっと……十日後くらいって」
「よし。竜騎士に頼んで、オーベルシュタインの国境付近で待機してもらおう」
「それがいいかもね。わかった、あたしからランスロー隊長に相談してみる」
「ああ、頼む」

 シェリーは頷き、竜騎士の訓練場へ向かった。
 残された俺は、スヤスヤ眠るウッドとシロを撫でながら呟く。

「……なんだか、一波乱ありそうだ」

 ◇◇◇◇◇◇

 俺の祖父母、ローレライとクララベルの家族が来るということで、村では宴会の準備をしていた。
 宴会場は立食形式で、春の食材を使った料理や、クララベルのデザート、マーメイド族が送ってきた魚や、デーモンオーガ一家たちが狩った魔獣肉などをたくさん出す。
 宴会ということで酒も大量に出す。この辺の調整はディアーナに任せた。
 クララベルは、自分の店のキッチンで仕込みをしている。

「お兄ちゃん、おいしいお菓子いっぱい作るね!」
「ああ、楽しみにしてる」
「姉さま、姉さまの好きなショートケーキも大きいの作るから!」
「ありがとう、クララベル」

 様子を見に来た俺とローレライはほっこりした。
 可愛らしいエプロンを着て、長い白髪をお団子にしたクララベルはとても可愛い。
 手伝いの悪魔族やハイエルフも増え、かなり大きく作ったキッチンですら手狭だった。クララベルの本気度が伺えるね。

「ローレライ、邪魔しちゃ悪いし行くか」
「ええ。クララベル、頑張ってね」
「うん!」

 ローレライと一緒に店を出た。
 せっかくなので散歩をする。

「あの子、名付け親でもあるおじい様とおばあ様が好きでたまらないのよ。私も久しぶりにお会いするけど……少し、緊張するわね」
「緊張か。珍しいな」
「それはそうよ。だって、おじい様とおばあ様は龍人たちの名付け親なのだから。龍名は龍人にとって命と同じくらい大事な称号なのよ?」
「そうなのか……じゃあ、ガーランド王の龍名って? 確か、先代から引き継いだとか」
「『覇王龍ケーニッヒ・ドラゴン』はドラゴンロード王国の王である証なの。お父様の真の龍名は、『黒破龍シュバルツァー・ドラゴン』よ」
「へぇ~……知らなかった」

 ドラゴンかぁ……まだまだ知らないこと多いな。
 おじい様とおばあ様、そしてドラゴン家族が来るまであと数日。俺も失礼のないように、いろいろと勉強しておかなければ。
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