大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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グランドファーザー&マザー

第480話、偉大なる先人たち①

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 それぞれの祖父祖母を出迎える準備を終えた。
 あと数日中に、エストレイヤ家のおじい様とおばあ様、ドラゴンロード王国の偉大なるドラゴンたちがこの村にやってくる……いや、久しぶりに緊張する。
 夜。俺は気持ちを落ち着けるため、部屋でお茶を飲んでいた。 
 部屋には、遊びにきたミュアちゃんとルミナ、マンドレイクとアルラウネがいる。

「にゃあ。ご主人さまー」
「みゃう」

 ミュアちゃんがパジャマ姿でベッドに転がり、ルミナはソファに座る俺の隣で本を読んでいる。ルミナ、尻尾が俺の手首にくるんと巻き付いてるのがなんとも可愛らしい。
 俺はカップを置き、ミュアちゃんに聞いた。

「ミュアちゃん、ライラちゃんは来ないの?」
「にゃうー、ライラ、最近お仕事ばかりなの。ご主人さまのところに行くって言っても来ないしー」
「そっか……どこか体調でも悪いのかな」
「にゃあ。ミュディは『ししゅんき』って言ってたー」
「思春期ねぇ……」

 まだ早いような気もするが、女の子同士、ミュディが気付くこともあったのかな。
 ライラちゃんと同い年なのに、ミュアちゃんやルミナは全く変わっていない。
 すると、互いに寄り添ってウトウトしていたマンドレイクとアルラウネが起きた。

「まんどれーいく」
「あるらうねー」
「ん、どうした? そろそろ寝るか?」

 二人は目を擦って頷く。
 部屋に帰るのかと思いきや、俺のベッドにもぐりこんだ……まぁいいか。
 ミュアちゃんも真似をして潜り込み、マンドレイクとアルラウネに挟まれて眠ってしまう。
 すると、ルミナが本をパタンと閉じた。

「おい、そろそろ寝るぞ」
「ん、そうだな……ありがとうルミナ、おかげでリラックスできたよ」
「みゃあ。よくわからんけど、撫でていいぞ」
「はいはい」
「ごろごろ……」

 子供たちのおかげでリラックスできた。
 これで、偉大なる祖父母を出迎えることができる……よし、頑張るぞ。

 ◇◇◇◇◇◇

 数日後。
 ドラゴンの群れ……ではなく、ドラゴンロード王国からお客さんがやってきた。
 兄さんたちを運ぶのに使ったドラゴン運搬用の家が飛んでいる。だが、装飾や大きさは兄さんたちが乗ってきたものとは比べ物にならない。
 ドラゴン十体で運ばれてきた家が、緑龍の村入口に着地した。
 家を守るように、護衛の竜騎士たちがズラリと並ぶ。

『オオ、オラヨリデカイ』
『マブシイネェ……』

 フンババが喜び、ベヨーテは帽子をクイッと上げる。
 そんな二人を押さえ、俺が前に出た。
 そして、家のドアが開くと……最初に現れたのはガーランド王だ。

「うぅ~む、やはりここの空気は美味い!! アシュトくん、元気にしてたかい?」
「お久しぶりです、ガーランド王」

 互いに握手……うん、相変わらずデカい人だ。
 すると、ガーランド王はキョロキョロし……パァッと輝く笑みを浮かべた。

「おおお!! 娘たち、会いたかったぞぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ぶぉえっ!?」

 ガーランド王は俺を突き飛ばしローレライとクララベルの元へ。
 突き飛ばされた俺はアルメリア王妃にキャッチされた。

「ガーランド!! 全くもう……ごめんなさいねアシュトくん。それと、お久しぶり」
「あ、ありがとうございます……えっと」

 アルメリア王妃、相変わらず超美人。
 俺の腕を掴み支えてくれてるんだけど、すごいいい匂いする。
 いやいや、人妻の匂いを嗅ぐな俺。
 俺はアルメリア王妃からパパっと離れる。
 すると、家の中から二人の男女……あ、久しぶりに見た。アイオーンの両親、フォルテシモ様とイクシオン様だ。

「久しぶりだね。少しは強くなったかい?」
「い、いえ。特に鍛えてはいないので……」
「ふふ。また戦おうと思ってたんだけどね」
「すみません遠慮します」
「はは。フォルテシモ、彼は温厚な青年だ。争いなんて似合わないさ」
「イクシオン様。お久しぶりです」
「やぁ。アシュトくん。娘は元気かな?」
「え、えーっと……」

 二人の娘アイオーン。
 元気というか、元気っちゃ元気なんだけど……。
 俺は、ローレライとクララベルの隣にいる藍色の髪の少女、アイオーンを見た。

「やばいやばいやばいやばい。〆切〆切……イベントまで時間ない時間ない……ブツブツブツブツ」

 アイオーンは、目にクマを作って爪を噛み、ブツブツ何かを呟いていた。
 最近知ったんだが……アイオーンは冬の間からずっと、『イベント』とやらに参加するための資料作りをしているようだ。しかもほとんど飲み食いせず、ろくな睡眠も取っていないらしい。
 アイオーンはドラゴンの中でも特殊な個体で、寝だめ・食いだめができるようだ。その気になれば一年間寝ないで活動できるし、食事もしなくても平気だ。
 時間を無視した個体。なので『時流龍クロノスタシス・ドラゴン』という龍名らしい。
 ちなみに、イベントとかいうのはよくわからない。
 フォルテシモ様とイクシオン様はため息を吐き、娘の元へ。

「アイオーン!! あんた、また不摂生してるね!!」
「……ん? げっ!? おお、お母さん!? なんでここに」
「遊びに行くって手紙送ったでしょ!! あんた、まだ『ビーエル同人即売会』なんて怪しげなイベントに参加しているのかい!?」
「怪しくないし!! ってかあたしがどんなイベントに出ようがお母さんに関係ないじゃん!!」
「ま、まぁまぁ二人とも。ほら、久しぶりの再開なんだし」
「アンタ(お父さん)は黙ってて!!」
「……すみませんでした」

 なんか関わらない方がよさそうだ。
 さて、最後に出てきたのは……腰の曲がった老人、老婆だった。
 穏やかそうな笑みを浮かべ、杖を突いている。
 危ない気がしたので、俺は手を差し伸べた。

「大丈夫ですか?」
「おぉ~……ありがとうございます。お優しいのぉ」
「おじいさん。この方がアシュトさんよ」
「おお~……なんともまぁ、いい顔をしておられる」
「あ、あの……ど、どうも」

 穏やか~な雰囲気だ。
 俺はおじいさんの手を取り握手する。

「初めまして。アシュトと申します」
「はじめまして。わしはアンフィスバエナ……はは、長いのでアンで構いません」
「あたしはジルニトラ。ジルで構いませんよ」
「は、はい」

 この方たちが、ローレライとクララベルのお爺さん、お婆さんか。
 すると、ガーランド王たちと喋っていたローレライとクララベルが来た。

「おじいちゃん、おばあちゃん!! 久しぶりー!!」
「おお~……クララベル、大きくなったのぉ」
「おじいちゃんも元気そうでよかったぁ。あのねあのね、わたし、お菓子屋さん始めたの。おいしいお菓子いっぱいあるから、おじいちゃんとおばあちゃんに食べてもらいたい!」
「お菓子。いいのぉ……甘味を食べたいのぉ」
「おばあ様、お久しぶりです」
「こりゃたまげた。ローレライ、べっぴんさんになって……ふふ、若い頃のあたしにそっくりじゃわい」
「そ、そんな……」

 うーむ。俺の存在が空気に。
 ガーランド王たちも集まり、ドラゴン一家が勢ぞろいした。
 さて、立ち話もアレだし、宿に案内しなくちゃな。
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