大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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グランドファーザー&マザー

第481話、偉大なる先人たち②

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 ドラゴン一家を宿となる家に案内すると、すぐに竜騎士の一人が俺の元へ。
 家の外で報告を聞き、驚いた。

「アシュト様。至急、村の入口にお戻りください! アシュト様の祖父母様がいらっしゃいました!」
「え、もう!? タイミングすごいな」
「現在、シェリー様が対応されています」
「わかりました」

 銀猫が何人か宿に入ったし、ローレライとクララベルもいる。
 あとは任せ、俺は急ぎ村の入口へ……すると、入口には大きな魔獣の死骸、それと、傷だらけの男性と無傷の女性がシェリーと喋っていた。
 久しぶりに見た……あれは、ギルガメッシュお爺様とセレスティーヌおばあ様だ。

「あ、お兄ちゃん!」
「んん~……? おお、アシュトか!! でっかくなったじゃねぇか!!」

 男性……いや、老人のはずなんだけど、バルギルドさんとディアムドさん並みに鍛え抜かれた肉体は三十代ほどにしか見えない。ムッキムキだ。
 そして、手にはボロボロでヒビだらけの鉛色の籠手を装備している。これは、エストレイヤ家の秘宝にして『宝剣ビスマルク』と対をなす『轟拳アドゥレセンス』だ。おじい様が持ちだして行方知れずって兄さんが言ってたけど……かなり使い込んでるのかボロボロだ。
 すると、女性……セレスティーヌお婆様が前へ。

「アシュト。大きくなりましたね……覚えていますか?」
「はい。セレスティーヌおばあ様」
「ふふ、私が抱っこしたのが何年前だったかしら? もう十五、十六年以上経つのね」
「おばあ様……」

 セレスティーヌお婆様は、懐かしむように俺の頬へ触れた。
 おばあ様。魔法で有名な『魔法王国マジックキャッスル』の貴族で、互いに大恋愛をして結婚し、ビッグバロッグ王国に来た、って聞いたことある。
 
「お、そうだ。土産を狩ってきたんだ。アシュトよ、こいつを焼いて晩メシにしてくれ」
「こ、これ……お爺様が?」
「おう。ははは、オーベルシュタインの魔獣はやっぱ強ぇえなあ!!」

 巨大なイノシシ魔獣だ。
 たまにシンハくんが狩ってくるのと同じだが、人間であるお爺様が拳だけで倒すなんて……そういやおじい様、『岩窟帝』って呼ばれた最強の地魔法使いなんだよな。
 すると、おじい様はボロボロになった籠手を俺に見せる。

「それで、頼みがあるんだけどよ……」
「あなた。まずは休めるところでお話しましょう。アシュト、シェリー、案内をお願いしても?」
「はい。じゃあ、俺の家に行きましょう」
「おばあ様、お荷物お持ちしますね」

 シェリーはおばあ様の荷物を持つ。
 俺もおじい様の荷物……と思ったが、おじい様は手ぶらだった。
 魔獣を竜騎士たちに任せ、俺たちは家へ向かった。

 ◇◇◇◇◇◇

 家に入ると、シルメリアさんとミュアちゃんがお出迎えしてくれた。
 
「いらっしゃいませ。お荷物を」
「にゃあ」

 ミュアちゃんがシェリーから荷物を受け取り、今日泊まる部屋へ。
 さっそく、おじい様とおばあ様が話をしたいと言うので、暖炉傍のソファへ案内した。
 おじい様はソファにどっかり座り、おばあ様は上品に座る。
 俺とシェリーも座り、シルメリアさんがお茶を運んできた。

「で!! さっきの続きだ。あのよ、ここにはすっげぇドワーフ職人がいるんだろ? 見たぜ~? エストレイヤ家にあった剣!! あれ、ここのドワーフ職人が造ったんだろ?」
「剣……ああ、ナナツキラボシですか。兄さんの結婚祝いに送った」
「おうおう。それだそれ、なぁアシュトよ。オレの旅に付き合ってた相棒はもうボロボロでな。ここで打ち直してくれねぇか?」

 おじい様は籠手を置く。
 俺は頷いた。

「もちろんです。ドワーフの工房に回しておきますね」
「ありがとよ。さーて、お前のことはアイゼンからいろいろ聞いたぜ? アイゼンの野郎をシメてやろうかと思ったが……あいつも反省してるし許してやってくれや。それと、お前の話も聞きたい。いいか?」
「はい。俺も、おじい様のことはあまり知らないので、いろいろお話をしたいです」
「がっはっは! いいぜいいぜ。じゃあ、酒でも飲みながら話そうや。セレスティーヌもそれでいいか?」
「ええ。ここでの暮らしも気になるわね。見ただけでわかるわ……すごく賑わってるし、いろいろな種族がたくさん。ふふ、しばらくのんびりするのも悪くないわね」
「あ、おばあ様。ここにはおっきな図書館もありますよ! あたしでよかったら案内します!」
「ええ、よろしくね」

 セレスティーヌおばあ様は優しく微笑んだ。
 おばあ様、落ち着いた感じだし、読書とか好きそうだ。
 
「おうアシュトよ。お前の口から聞かせてくれ。どうしてここに来て、いままでどうやって生活してきたのか。それに奥さんもいるそうじゃねぇか?」
「ええ。けっこう長くなりそうですけど……」
「構わねぇよ。たまには酒でも飲みながら話すのもいい」

 とりあえず、シルメリアさんに頼んでお酒を出してもらった。

 ◇◇◇◇◇◇

 おじい様とおばあ様、ローレライとクララベルの祖父母、さらにエルミナのおじいちゃんことジーグベッグさんもいる。これは偉大なる先人たちが集まったってことだよな。
 せっかくなので、夜はみんなを集めて、俺の家で立食パーティーをすることに。
 いきなりの提案で申し訳ないが、シルメリアさんたちは快く料理を引き受けてくれた。
 俺も、家の倉庫に保管してある酒をいっぱい準備する。これはみんな喜ぶぞ。
 家のダイニングルームではテーブルを全て片付け、円卓を準備。お酒コーナーや料理コーナーを設置し、大量の料理を準備した。もちろん、おじい様が狩った魔獣も調理してある。

 さて、夜になった。
 さっそくやってきたのは、ドラゴン一家だった。
 全員濃い……正直、この方たちでお腹いっぱいになりそう。

「やぁやぁアシュトくん! お招きありがとう!」
「ど、どうも」
「あなた。あまり興奮しないこと」

 ガーランド王、アルメリア王妃だ。
 そこに、フォルテシモ様とイクシオン様。説教されたのか顔色が悪いアイオーンも混ざり、アンおじいちゃんことアンフィスバエナ様。ジルおばあちゃんことジルニトラ様が来た。
 ローレライとクララベルは最後に入ってくる。

「えへへ。お兄ちゃん、デザートいっぱい運んでおいたから、みんなで食べようね」
「ああ。ありがとう、クララベル」
「この子ってば、大張り切りで作ってたのよ?」

 ローレライはクララベルを撫でる。相変わらず仲良し姉妹だな。
 そして、エルミナとジーグベッグさんが来た。

「やっほー! お酒楽しみぃ~♪」
「お前、そればっかりだな……えっと、ジーグベッグさん、こんばんわ」
「ほほほ。いやはや、エルミナとお酒について話していたのですが、やはり酒はいいですな。うんうん」
「え、ええと……」

 ジーグベッグさん、ちょっと顔が赤い。それに少し酒臭い……もう飲んでるようだ。
 家の中では、ガーランド王とおじい様が意気投合していた。え、展開早い。
 さらに驚いたことがあった。

「…………な、なんと」
「…………まさか」

 ジーグベッグさんとアンフィスバエナ様が出会った瞬間、二人の眼がカッと開かれた。

「おぬし、アンフィスバエナか!?」
「ジーグベッグ……これはこれは、懐かしい顔じゃわい」
「ということは、そっちはジルニトラか!! はは、懐かしい……何万年ぶりじゃ?」
「老けたのぉ……」
「こっちのセリフじゃ!! ジルニトラ、おぬしも」
「ジーグベッグ、それ以上言ったら」
「……す、すまん」

 どうやら、知り合いっぽい。
 
「あの三人、昔は一緒に冒険してたのよ? ジーグベッグくんとアンフィスバエナくん、喧嘩ばかりしてたのよ。でも意気投合して、二人で仲良く旅をしてたら、道中で出会ったジルニトラちゃんにアンフィスバエナくんが一目惚れしちゃってねぇ」
「へぇぇ~……もう驚きませんよ」
「あら残念♪」

 俺の隣にシエラ様が。
 すると、ガーランド王たちドラゴン一家、ジーグベッグさんが一斉に跪いた!

「龍神ムルシエラゴ様。お久しゅうございます」
「アンくん。そんなにかしこまらないで。ほら、ガーくんもみんなも。今日はせっかくのお楽しみ会なんだし、みんなでパ~っと楽しんじゃお~っ!」

 お楽しみ会って……まぁいいけど。
 そんなこんなで、楽しい宴会が始まりました!
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