大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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グランドファーザー&マザー

第484話、ドラゴン一家と空の旅

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 おじい様とおばあ様は、妖狐族の里へ温泉に入りに行った。
 俺の別荘も好きに使っていいと言ったし、お金も渡したので今日は帰ってこないだろう。妖狐族の里にある居酒屋で、ディアムドさんやバルギルドさんと一緒に飲み明かすそうだ。
 というわけで、今日の俺はというと。

「お兄ちゃん、今日は一緒にお茶しようね」
「ああ。俺もちゃんと挨拶したかったし、ちょうどいい」
「あら、ずいぶん気合が入ってるわね」

 俺は、ローレライとクララベルと一緒に、ドラゴン一族とお茶会をすることに。
 場所は、天気もいいので屋外にした。
 椅子とテーブルを運び、ガーランド王たちの泊まっている家の裏庭でお茶会を開く。
 お茶はゴーヴァンが準備。お菓子はもちろん、クララベル特製お菓子だ。
 さっそく裏庭へ向かうと、すでに全員揃っていた。

「おおアシュトくん!! ささ、座りたまえ!!」
「あ、ありがとうございます」

 俺はニコニコ顔のガーランド王の隣へ。
 ガーランド王は、聞いてもいないのに語り出した。

「いやぁ、家族の時間は最高だ!! 長く生きているけど、親父とお袋、姉ちゃんとその家族、そして愛する妻と娘が揃ったことなんて、数えるくらいしかないんじゃないかなぁ? わーっはっはっは!!」
「あなた。静かになさい」
「おお、失礼失礼。はっはっは!!」

 あの、耳元で怒鳴らないでほしい……アルメリア王妃に助けを求めると、小さく頷いた。

「今日はゴーヴァンがお茶を淹れてくれるそうよ。ゴーヴァン、お願いね」
「はっ」

 執事服を着たゴーヴァンは、丁寧な手つきでお茶を淹れる……クララベルの店でもお茶担当らしく、腕前がさらに上がったとローレライが言ってたな。
 ゴーヴァンは、アンフィスバエナ様……長いのでアンおじい様でいいや。アンおじい様から、ジルおばあ様、そしてガーランド王、アルメリア王妃、フォルテシモ様。イクシオン様にお茶を出し、ローレライとクララベル、アイオーン、最後に俺に紅茶を運んだ。
 
「本日は、緑龍の村で収穫されたセントウの葉を使ったセントウティーです。どうぞお召し上がりください」
「へぇ、セントウティー……いつの間に」

 セントウの葉を使った紅茶なんて初めてだ。
 セントウのエキスを抽出して入浴剤を作ったりしてるけど……そういえば、銀猫族やハイエルフを中心に、村でお茶の栽培をしてるんだっけ。ほとんどノータッチだったから忘れてた。
 セントウティーを一口……うわぁ、ほんのり甘くてセントウの香りがすごい。それに味はちゃんとした紅茶だ。

「美味しい……さすがね、ゴーヴァン」
「ええ。さすが私の騎士ね」

 アルメリア王妃とローレライに褒められ、ゴーヴァンは一礼した。
 
「おかわりー!」
「あ、あたしも!」
「アタシももらおうかね」

 クララベル、アイオーン、フォルテシモ様はほとんど一気飲みだった。この人たち味わってるのかね。
 すると、クララベルがテーブルの上にあるマカロンを指さす。

「お兄ちゃんお兄ちゃん、マカロン食べてマカロン!」
「ああ、いただくよ」
「お、アタシももらおうかね」
「あ、お母さんズルい! あたしも!」
「こら、二人ともがっつかないがっつかない」

 フォルテシモ様とアイオーンをイクシオン様がなだめる。
 ガーランド王はすでにマカロンを食べていた。いつの間に。

「楽しいのぉ……」
「ええ……温かいわぁ」

 アンおじい様とジルおばあ様は、にこやかな雰囲気のままお茶会を楽しんでいた。

 ◇◇◇◇◇◇

 お茶を飲み欲し、穏やかな談笑がしばし続いた。
 そんな時、ガーランド王が言う。

「そうだ。せっかくだし、たまには家族で空中散歩しないか?」
「あら、いいわね」

 ガーランド王とアルメリア王妃が言う。
 空中散歩……つまり、そういうことだ。

「親父。最近変身してるか?」
「馬鹿にするでない。まだまだ現役じゃわ!」
「ほっほっほ。あたしも久しぶりに変身しようかねぇ」

 アンおじい様とジルおばあ様。どんなドラゴンなんだろう。
 ローレライは、周囲をキョロキョロと見る。

「ここじゃ狭いわね……」
「あ、それならいい場所あるよん」

 アイオーンが挙手。
 特に異論もないので、移動することに……と。

「じゃあ、俺はここで……」
「えー! お兄ちゃん、行っちゃうの?」
「まぁ……せっかくだし、家族の時間を楽しめよ。俺はお茶会だけで十分」
「乗っていきなさい」
「……はい?」

 アンおじい様が、俺に向かって言う。

「きみはローレライとクララベルの旦那様じゃろう? なら、わしらの家族じゃ」
「……えっと」
「ほっほっほ。あたしとおじいさんの背中、どっちがいい?」
「…………」

 どうやら俺に拒否権はないようだ。

 ◇◇◇◇◇◇

 アイオーンの案内でやってきたのは、村から少し離れた岩石地帯だ。
 ここ、ブラックモール族が作業している鉱山だな。
 アイオーンは、山のてっぺんを指さす。

「あそこ、けっこう広いのよ。あたしがみんなを運ぶから、そこでみんな変身すればいいよ」
「……お前って、そんなに気が利くやつだっけ?」
「村長失礼すぎぃ!」

 思わずツッコんでしまう俺だった。
 アイオーンは、紫色のドラゴンに変身し、全員を背中に載せて鉱山の頂上へ。
 確かに、広かった。それに景色がよく見える。

「わぁ~すごい!」
『ここ、あたしのお昼寝スポットなの。特別に教えてあげる』
「やたっ! じゃあ変身っ!」

 クララベルは純白のドラゴンへ変身した。
 ローレライはクリーム色、アルメリア王妃は銀色、ガーランド王は漆黒、フォルテシモ様は乳白色、イクシオン様は空色のドラゴンへ変身した……すごい、壮観だった。
 驚いている俺の背後では。

「どぉれ。久しぶりに……」
「んんん~……この感じ、久しぶりですわぁ」

 ベキベキと音を立て、偉大なる二体のドラゴンが現れた。
 『真龍天帝エンシェント・ノウヴァ・ドラゴン』アンフィスバエナは、真紅のドラゴンだった……が、その大きさは桁違い。ガーランド王の十倍はあり、翼を広げると周囲の光が遮られ夜みたいに暗くなってしまった。
 唖然としていると、細長く薄黄色のヘビのような何かが……違う。大蛇のような、直径数キロはある細長いドラゴン、『聖母姫龍マザー・イデア・ドラゴン』ジルニトラの姿だった。

『ほっほっほ。久しぶりに翼を広げたが、気分ええのぉ』
『親父、相変わらずデカさだな!! おふくろも長いぞ!!』
『うふふ。ありがとうね、ガーランドちゃん』

 とんでもないデカさに唖然としていると、俺の身体が浮き上がった。

「う、わわわわっ!?」
『さぁさぁ乗った。わしの背にヒトを乗せるのは……ああ、ジーグベッグに次いで二人目じゃの』
『おじいちゃん、はやく行こうー!』
『よしきた。じゃあ行くぞい!!』

 巨大すぎる真紅のドラゴンは、大きな翼を広げ飛び上がる。
 ガーランド王たちも続き、雲の上をドラゴンたちは優雅に飛び始めた。

「すっげぇ……」

 俺はただ、ひたすらこの光景に感動していた。
 ドラゴン……世界で最も偉大なる生物、か。
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