大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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ドラゴンロード・フェスティバル

第558話、いざドラゴンロード王国へ

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 ドラゴンロード王国へ向かう準備は進んでいた。
 俺の場合、着替えを準備するくらいだ。カバンに着替えと、まだ読んでいない本、いざという時のために医療道具を詰めておく。 
 一時間もしないうちに準備が終わった。
 俺は、自室の隅で荷物を準備しているルミナの元へ。

「準備できたか?」
「みゃあ。できた」
『もきゅ』

 モフ助も一緒に行くみたいだな。
 ルミナの準備も終わった。着替えに本に医療道具。俺と似てる。
 俺は、確認のためにルミナに言う。

「ルミナ、何度か言ったけど……」
「わかってる。おまえの邪魔はしない」
「邪魔ではないけど、まぁ……夫婦の時間は必要だから」
「みゃう。わかってる。その代わり、いっぱい撫でろ」
「はいはい」

 俺はルミナを撫で、ネコミミを揉む。
 今回、ルミナは基本的には一緒に行動する。ディアーナたちみたいに、祭りの調査ってわけじゃない。俺から離れたくないが故に付いてくるだけだ。
 ローレライが、ドラゴンロード王城の図書室を使っていいと言ったので、ルミナはそこで読書や勉強をするようだ。もちろん、俺も一緒にする。
 
「出発、明日だよな」
「ああ。今日は早く寝るぞ」
「みゃう」

 俺はルミナの頭を優しく撫で、ベッドに入った。

 ◇◇◇◇◇◇

 翌日。
 荷物を持って竜騎士の竜厩舎へ向かうと、ローレライとクララベル、ディアーナ、イオフィエル、タヌスケさん、ミュディが揃っていた。
 さらに、広場には竜騎士が全員揃っている。
 村の警備はサラマンダー族に任せ、竜騎士たちは全員、ドラゴンロード王国へ向かう。
 今回は、ドラゴンの背中に乗るのではない。小さな小屋に頑丈な鎖を付け、それをドラゴンが数体で持ち運びながら飛んでいく。
 エルミナとシェリーとお喋りしていたおかげで、俺の到着は最後になった。
 俺が荷物を持って現れると、竜騎士たちが一糸乱れぬ動きで敬礼する。

「遅かったわね」
「いやぁ、エルミナとシェリーに大量の土産リスト押し付けられたり、ミュアちゃんを撫でてたら遅くなった」

 荷物を竜騎士に預けると、ローレライが俺の元へ。

「ふぅ……」
「なんだ? ローレライ、お疲れか?」
「ええ……クララベルが『飛んでいきたい』って聞かなくてね。ドラゴンロード王国の領空内に入ったら飛んでいいって譲歩したわ」
「そ、そうか」

 そのクララベルは、ミュディと楽しくお喋りしている。
 すると、ディアーナ、イオフィエル、タヌスケさんが来た。

「アシュト村長。おはようございます」
「おはよう、ディアーナ。遅くなって悪かった」
「いえ。本日の予定を確認したいので、皆さんを集めていただいても?」
「ああ、わかった」

 俺はミュディとクララベル、いつの間にか俺の背後にいたルミナを連れて行く。
 全員集まると、ディアーナが咳払いした。

「こほん。それでは本日の予定です。これからドラゴンロード王国へ向かい、夕方に王城へ到着予定。その後、ガーランド国王と夕食です」
「夕方に到着か……なぁローレライ、あのドラゴンけっこう速いのか?」
「そうね。今回は急ぎで行くわ。早く到着すればするほど、故郷での時間が増えるもの」
「そ、そうか……酔い止め準備しておいてよかった」

 ローレライはくすっと笑い、クララベルが俺の腕に抱き着く。

「ねぇねぇお兄ちゃん! 領空内に入ったら、わたしの背中に乗ってね!」
「……あ、ああ」
「えへへー」

 クララベルの背中か……ぶっちゃけ恐怖だな。本人に言うと傷付くから言わんけど。
 ミーティングを終え、いざ出発。ちなみに、移動小屋はいくつかあり、一つは俺とローレライとクララベル、ミュディとルミナ。もう一つはディアーナ、イオフィエル、タヌスケさんが乗る。
 乗る前に、タヌスケとイオフィエルが俺の元へ。

「へへへ……アシュト村長、よろしくお願いします」
「うん、よろしく」

 タヌスケさん、相変わらずモフモフして可愛いな。
 ちょっと喋り方が胡散臭いけど。
 そして、イオフィエル。

「久しぶりに登場するイオフィエルです。アシュト村長、私のこと、忘れていませんよね?」
「忘れるわけないだろ……」
「なら大丈夫。お祭り、満喫させていただきます」
「あの、視察っての忘れるなよ?」

 相変わらず強烈な二人だな。
 さて、ドラゴンロード王国へ出発だ!

 ◇◇◇◇◇◇

 空の旅は、相変わらず怖かった。
 ドラゴンたちが吊り下げる小屋は揺れもなく快適なんだろうけど、やはり心情的に怖い。
 室内を見る。

「わぁ、おいしい」
「えへへ。みんなで食べようと思って作ってきたの! 姉さま、おいしい?」
「ええ。さすがクララベルね」

 ミュディ、クララベル、ローレライの三人は、クララベルが作ったクッキーを食べていた。
 そして、俺の隣では。

「すやすや……」
『きゅぅぅ……』

 ルミナが、モフ助を枕にして昼寝してる。
 俺は読んでいた本を閉じ、ルミナの頭を撫でた。

「みゃう……」
「あ、悪い。起こしたか?」
「ん……くぁぁ、まだ着かないのか?」
「もう少しだ。ところでルミナ、お前はドラゴンロード王国で何したい?」
「勉強。あたい、牧場とかドラゴンとか見たい。あと本も」
「なるほどな」

 ルミナ、勉強したいのか。
 すると、話を聞いていたローレライが俺の隣へ。
 
「それなら、王族親衛隊が管理するドラゴン厩舎を見学できるように手配するわ。それと、竜医師に話を聞けるようにもね。あと、牧場ならドラゴンロード本国の郊外にあるから、そこに行けるようにもしておくわ」
「おお、ありがたいな。よかったな、ルミナ」
「…………」

 ルミナはローレライをジーっと見て、小さく頭を下げた。
 ローレライは、ルミナにそっと手を伸ばす。

「っと……撫でちゃダメよね」
「…………」
「……いや、大丈夫。ローレライ、いいぞ」

 ルミナのネコミミが、ピコピコ動いてる。
 ローレライはルミナにそっと手を伸ばし……頭に触れた。

「みゃう……」
「あら……ふふ、かわいい」

 ルミナは、ローレライを受け入れた。
 ローレライはルミナの頭を撫で、ネコミミを軽く揉む。
 全く嫌がることなく、ルミナはローレライを受け入れた。
 俺、シャヘル先生に続いて三人目だ。

「ローレライ、いいなぁ……わたしも撫でたい」
「わたしもー」

 ミュディとクララベルはもう少し先かな。
 こうして、空の旅は順調に続き、ドラゴンロード王国に到着した。
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