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緑龍の村・夏祭り
第579話、打ち上げ華火
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ミュディは、妖狐族の人たちが集まる飲食店『キツネ亭』にやってきた。
そこで働く看板娘のレンゲとは親しい。休憩時間を利用し、相談しに来たのである。
レンゲも休憩時間のようだ。キツネ亭の隅にある円卓に座り、ミュディと一緒に昼食を食べる。
ちなみに、レンゲはステーキ、ミュディはサンドイッチだ。
さっそく、ミュディはレンゲに言う。
「あのね、魔法を改良したいの」
「改良?」
「うん。わたしの魔法、『華火』っていうの覚えてる?」
「あー、あの空で光るやつ」
レンゲは、四本の大きくふさふさの尻尾を揺らしながら言う。
尻尾の一本が淡く輝いた瞬間、小さな火の球が飛び、ミュディとレンゲの間で弾けた。
「こんな感じのやつ、だよね」
「う、うん。すごいね……」
「そうかな? で、これがどうしたの?」
「あのね、これを改良したいの。今のわたしだと、連続で二十以上は打てないの。お祭りの間中、打てるように改良したいなぁ、なんて」
「なるほどね」
レンゲはステーキを食べ終わり、「ふむ」と唸る。
魔法に関して、妖狐族に敵う種族はいない。ただの食堂の看板娘であるレンゲですら、ビッグバロッグ王国では魔導帝(全魔法使いのトップ)以上の腕前なのだ。
妖狐族には、魔法適性というものがない。全てに秀でた種族である。
少し考えた後、レンゲは思いついた。
「あ、じゃあさ。ミュディが魔法を打つんじゃなくて、予め魔法を貯めておくのは?」
「……え?」
「えっとね、ミュディの『華火』を術式ごとストックしておくの。それで、夏祭り当日に打ち上げるんだよ。そうすれば、ミュディが魔法を使う必要ないしね」
「……ごめん、どういう」
「そうだねぇ……ちょっと待って」
レンゲは立ち上がり、キツネ亭の二階へ。
そして、小さな箱を抱えて戻ってきた。
箱を開けると、赤い宝石のような石がたくさん詰まっていた。
「これ、もしかして」
「魔石ね。これに『華火』の術式を込めておけば、空に打ち上げるだけで魔法が発動すると思う。ミュディ、ちょっと魔法を使ってみて」
「え、こ、ここで?」
「うん。『華火』ね」
「でも」
「大丈夫大丈夫。ほらほら」
周りは、食事を取っている人たちが大勢いる。
ミュディの『華火』は空を彩る魔法だ。綺麗だが、爆破していることに変わりない。
レンゲはニコニコしているが。
「ミュディ、アタシを信じて!」
「……わかった。じゃあ」
ミュディは杖を取り出し、小声で詠唱をする。
そして、『華火』が発動する寸前で、レンゲが杖の先端を指で押さえた。
「よっと。術式と魔力もらいっ。あとはこれを魔石に移して、っと」
ミュディの魔力が霧散した───いや、霧散したのではない。術式ごと、レンゲの人差し指に『吸着』した。
レンゲの指には、ミュディの魔力と術式が集まっている。
その指をくるくる回しながら、魔石の一つに押し付けた。
「ほい、完成」
さらにレンゲは、完成した魔石を右手に持ち、左手に数個の魔石を握る。
「コピーして、っと……とりあえずこっちは残しておいて、こっちで実験してみよっか」
「…………」
あっさりと、実にあっさりとした手際だった。
魔法発動寸前の術式、魔力を人差し指に集め、それを魔石にコピーした。
ビッグバロッグ王国でやったら、国中の魔法師が腰を抜かす技術だ。
さらに、その魔石をコピー……もう、言葉も出ない。
「時限式の魔法陣の上に乗せて、数秒ごとに打ち上げればいいかな。村中に魔方陣を敷いて、魔石はどのくらい必要かなー……あ、妖狐族の里に行って、暇そうな連中にやってもらお」
「レンゲ!!」
「わわっ、なな、なに?」
「ありがとう!! わたし、よくわからないけど……レンゲに相談してよかった」
「そ、そう?」
「お礼に、この店の新しい制服をデザインするね。もちろん、お金は必要なし!」
「ホント!? やったぁ!! ねぇねぇ、フリル付けて。あとエプロンにキツネのイラスト入れてっ!!」
「まっかせて!!」
ミュディはドンと胸を叩いた。
◇◇◇◇◇◇
その後。
レンゲのコピーした『華火』の魔石を上空へ放つと、上空で『華火』が発動。実験は成功した。
『華火』の魔石は妖狐族の里で大量にコピーされ、なんと木箱で五百箱以上……実に、三百万個ほどの『華火』の魔石ができた。
コピーの魔法は、妖狐族にとって呼吸するのと同じくらい容易い魔法だったらしい。アシュトはお礼に妖狐族の里に大量の酒とスイカを送った。
夏祭りの夜は、ミュディの『華火』が夜空を彩ることだろう。
さて、この改良した『華火』だが。
「ねぇねぇ、この魔石……『打ち上げ華火』って名付けていい?」
「お、いいね。打ち上げ華火か」
ミュディはアシュトにそう言う。
夏祭り当日、村中に設置した『打ち上げ』の魔方陣の上に『打ち上げ華火』の魔石をセット。発射する予定だ。
きっと、祭りを大いに盛り上げてくれるだろう。
「うふふ。今から楽しみだな」
「俺も。さーて、祭りの準備はまだまだある。ミュディ、手伝ってくれ」
「うん!」
緑龍の村、初めてのお祭りの準備は、まだまだこれからだ。
そこで働く看板娘のレンゲとは親しい。休憩時間を利用し、相談しに来たのである。
レンゲも休憩時間のようだ。キツネ亭の隅にある円卓に座り、ミュディと一緒に昼食を食べる。
ちなみに、レンゲはステーキ、ミュディはサンドイッチだ。
さっそく、ミュディはレンゲに言う。
「あのね、魔法を改良したいの」
「改良?」
「うん。わたしの魔法、『華火』っていうの覚えてる?」
「あー、あの空で光るやつ」
レンゲは、四本の大きくふさふさの尻尾を揺らしながら言う。
尻尾の一本が淡く輝いた瞬間、小さな火の球が飛び、ミュディとレンゲの間で弾けた。
「こんな感じのやつ、だよね」
「う、うん。すごいね……」
「そうかな? で、これがどうしたの?」
「あのね、これを改良したいの。今のわたしだと、連続で二十以上は打てないの。お祭りの間中、打てるように改良したいなぁ、なんて」
「なるほどね」
レンゲはステーキを食べ終わり、「ふむ」と唸る。
魔法に関して、妖狐族に敵う種族はいない。ただの食堂の看板娘であるレンゲですら、ビッグバロッグ王国では魔導帝(全魔法使いのトップ)以上の腕前なのだ。
妖狐族には、魔法適性というものがない。全てに秀でた種族である。
少し考えた後、レンゲは思いついた。
「あ、じゃあさ。ミュディが魔法を打つんじゃなくて、予め魔法を貯めておくのは?」
「……え?」
「えっとね、ミュディの『華火』を術式ごとストックしておくの。それで、夏祭り当日に打ち上げるんだよ。そうすれば、ミュディが魔法を使う必要ないしね」
「……ごめん、どういう」
「そうだねぇ……ちょっと待って」
レンゲは立ち上がり、キツネ亭の二階へ。
そして、小さな箱を抱えて戻ってきた。
箱を開けると、赤い宝石のような石がたくさん詰まっていた。
「これ、もしかして」
「魔石ね。これに『華火』の術式を込めておけば、空に打ち上げるだけで魔法が発動すると思う。ミュディ、ちょっと魔法を使ってみて」
「え、こ、ここで?」
「うん。『華火』ね」
「でも」
「大丈夫大丈夫。ほらほら」
周りは、食事を取っている人たちが大勢いる。
ミュディの『華火』は空を彩る魔法だ。綺麗だが、爆破していることに変わりない。
レンゲはニコニコしているが。
「ミュディ、アタシを信じて!」
「……わかった。じゃあ」
ミュディは杖を取り出し、小声で詠唱をする。
そして、『華火』が発動する寸前で、レンゲが杖の先端を指で押さえた。
「よっと。術式と魔力もらいっ。あとはこれを魔石に移して、っと」
ミュディの魔力が霧散した───いや、霧散したのではない。術式ごと、レンゲの人差し指に『吸着』した。
レンゲの指には、ミュディの魔力と術式が集まっている。
その指をくるくる回しながら、魔石の一つに押し付けた。
「ほい、完成」
さらにレンゲは、完成した魔石を右手に持ち、左手に数個の魔石を握る。
「コピーして、っと……とりあえずこっちは残しておいて、こっちで実験してみよっか」
「…………」
あっさりと、実にあっさりとした手際だった。
魔法発動寸前の術式、魔力を人差し指に集め、それを魔石にコピーした。
ビッグバロッグ王国でやったら、国中の魔法師が腰を抜かす技術だ。
さらに、その魔石をコピー……もう、言葉も出ない。
「時限式の魔法陣の上に乗せて、数秒ごとに打ち上げればいいかな。村中に魔方陣を敷いて、魔石はどのくらい必要かなー……あ、妖狐族の里に行って、暇そうな連中にやってもらお」
「レンゲ!!」
「わわっ、なな、なに?」
「ありがとう!! わたし、よくわからないけど……レンゲに相談してよかった」
「そ、そう?」
「お礼に、この店の新しい制服をデザインするね。もちろん、お金は必要なし!」
「ホント!? やったぁ!! ねぇねぇ、フリル付けて。あとエプロンにキツネのイラスト入れてっ!!」
「まっかせて!!」
ミュディはドンと胸を叩いた。
◇◇◇◇◇◇
その後。
レンゲのコピーした『華火』の魔石を上空へ放つと、上空で『華火』が発動。実験は成功した。
『華火』の魔石は妖狐族の里で大量にコピーされ、なんと木箱で五百箱以上……実に、三百万個ほどの『華火』の魔石ができた。
コピーの魔法は、妖狐族にとって呼吸するのと同じくらい容易い魔法だったらしい。アシュトはお礼に妖狐族の里に大量の酒とスイカを送った。
夏祭りの夜は、ミュディの『華火』が夜空を彩ることだろう。
さて、この改良した『華火』だが。
「ねぇねぇ、この魔石……『打ち上げ華火』って名付けていい?」
「お、いいね。打ち上げ華火か」
ミュディはアシュトにそう言う。
夏祭り当日、村中に設置した『打ち上げ』の魔方陣の上に『打ち上げ華火』の魔石をセット。発射する予定だ。
きっと、祭りを大いに盛り上げてくれるだろう。
「うふふ。今から楽しみだな」
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「うん!」
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