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第六章
狼と風
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最初に気付いたのは、意外にもウルブスだった。
グリッツが馬の世話をするのを眺めつつ、昼寝でもしようと考えていたところ……ウルブスは、村の入口をバッと見たのだ。
「……? あの、どうしたんですか?」
「……来る。おい坊ちゃん、何か来るぜ。リリーシャの姫さんに伝えてきな」
「え? あの、何を」
「敵だよ敵。かなりの数の魔獣だ……やべぇなこりゃ。住人たちを逃がさねぇと」
「敵って……何も感じませんけど」
「オレが言うから間違いないっての。いいから行け!!」
「あ、は、はい!!」
グリッツは馬のブラシを投げ捨て、リリーシャの元へ。
リリーシャたちは、この村の宿となる空き家で、紅茶を飲んでいる最中だった。
グリッツは敬礼し、緊張しつつ言う。
「報告です! A級召喚士ウルブスから、『村にかなりの数の魔獣が迫っている』とのことです」
「何……? そうか、ついに来たか」
リリーシャは立ち上がる。
刀を二本差し、ダオームに命令する。
「ダオーム。戦闘準備を、それとグリッツはキリアスと協力し住人の避難を急げ。オズワルド先生……あとはお願いしても?」
「任せなさい。ふふ、まさに『予言』通り……」
オズワルドは立ち上がり、部屋を出て行った。グリッツもキリアスの元へ走る。
サンバルトは、リリーシャの隣に立つ。
「リリーシャ。私もキミと戦おう」
「ですが……いえ、わかりました。ウルブスが前線に立っていると思われます。四人で魔獣を押さえましょう」
「わかった。ところで、S級は……?」
「彼らは、オズワルド先生に任せます」
「……わかった。では行こう!」
リリーシャたちは戦闘準備を終え、ウルブスと合流した。
村の入口では、すでにウルブスが待っている。
魔獣はまだ現れていない。だが……リリーシャは感じた。
「これは……地鳴りか」
「ああ。奴さん、かなりの数だぜ?……どうする?」
「やるしかあるまい。いいか!! ここで魔獣を押さえるぞ!!」
リリーシャは双剣を抜き、アークナイトを召喚した。
サンバルトも光の不死鳥『シャイニング・レゾナンス』を召喚。ダオームも紫電を纏う斧『ライボルトアックス』を召喚し、構えを取る。
ウルブスは腰から二丁の拳銃を抜き、リリーシャに言う。
「姫さん。まずはオレにやらせてくれ」
「……そうだな。お前の召喚獣で数を減らせ」
「あい、あい、さー……」
ウルブスは二丁拳銃をクルクル回す。
「孤風の狼───『ウルフギャング』」
すると、ウルブスの傍に、薄緑色の狼が召喚された。
大きさは約一メートルほど。だが、一体だけではない。ウルブスを中心に、実態を持たない狼の群れが何十、何百と現れたのだ。
これが『相棒型』に分類される『軍隊型召喚獣』。同型の召喚獣を何体も召喚する、いわば召喚獣の群れを召喚する召喚士である。
そして───現れた。
村を襲いにきたのか、様々な魔獣が群れとなって襲ってきたのだ。
「行くぜ、オレの狼たち」
ウルブスが発砲すると、狼たちは走り出した。
同時に、ウルブスも走り出す。これに驚いたのはサンバルトだ。
「リリーシャ、私たちも」
「いえ、まずは奴に任せましょう。ウルブスは一匹狼だが……集団戦が得意なんです」
「え……?」
狼の一体がトカゲのような魔獣に喰らいつく。
ウルブスが拳銃を発砲し、トカゲの脳天を撃ち抜いた。
別の狼がオークの喉に喰らいつく。一体だけでは抑えきれないと感じたのか、何体もの狼がオークに喰らいつく、ウルブスはそこでトドメの銃弾を放った。
「なるほど……狼で動きを止め、銃でトドメを」
「ええ。ウルブスはあくまでトドメ……ですが、それだけではありません」
ウルブスは弾切れになり、空中に弾丸を放る。そして薬莢を一瞬で排出し、空中でリロードを終えた。
神業のような動きに、サンバルトは驚く。
そして、見た───狼の一匹が、銃に吸い込まれたのを。
「『狼の咆哮』……!」
ウルブスの銃から狼のようなエネルギー弾が発射された。
エネルギー弾は魔獣を貫通し、後ろにいた魔獣にも貫通する。
「今のは……」
「あれが『ウルフギャング』の能力。『エネルギーブラスト』です。あの狼はエネルギーの塊で、ウルブスの銃に宿り発射されることで高威力の弾丸になります」
「すごい……というかリリーシャ、詳しいね」
「ええ。軽薄な女たらしというところを除けば、奴は優秀なA級召喚士ですから」
「……うむ」
なぜか耳が痛いサンバルトだった。
すると、ウルブスが叫ぶ。
「お嬢さんおぼっちゃん!! 観客気分もいいけど手ぇ貸してくんない!? 姫、観戦料は朝までコースのデート一回ってところで!!」
「朝までだと!? 貴様、ふざけるな!! 行くぞ『シャイニング・レゾナンス』!!」
「オレも負けねぇぞぉぉぉぉっ!!」
サンバルトとダオームが加わり、戦局は大いに傾いた。
リリーシャは、チラリと村の外れを見た。
「……オズワルド先生、あとはよろしく」
そう呟き、刀を振って参戦した。
グリッツが馬の世話をするのを眺めつつ、昼寝でもしようと考えていたところ……ウルブスは、村の入口をバッと見たのだ。
「……? あの、どうしたんですか?」
「……来る。おい坊ちゃん、何か来るぜ。リリーシャの姫さんに伝えてきな」
「え? あの、何を」
「敵だよ敵。かなりの数の魔獣だ……やべぇなこりゃ。住人たちを逃がさねぇと」
「敵って……何も感じませんけど」
「オレが言うから間違いないっての。いいから行け!!」
「あ、は、はい!!」
グリッツは馬のブラシを投げ捨て、リリーシャの元へ。
リリーシャたちは、この村の宿となる空き家で、紅茶を飲んでいる最中だった。
グリッツは敬礼し、緊張しつつ言う。
「報告です! A級召喚士ウルブスから、『村にかなりの数の魔獣が迫っている』とのことです」
「何……? そうか、ついに来たか」
リリーシャは立ち上がる。
刀を二本差し、ダオームに命令する。
「ダオーム。戦闘準備を、それとグリッツはキリアスと協力し住人の避難を急げ。オズワルド先生……あとはお願いしても?」
「任せなさい。ふふ、まさに『予言』通り……」
オズワルドは立ち上がり、部屋を出て行った。グリッツもキリアスの元へ走る。
サンバルトは、リリーシャの隣に立つ。
「リリーシャ。私もキミと戦おう」
「ですが……いえ、わかりました。ウルブスが前線に立っていると思われます。四人で魔獣を押さえましょう」
「わかった。ところで、S級は……?」
「彼らは、オズワルド先生に任せます」
「……わかった。では行こう!」
リリーシャたちは戦闘準備を終え、ウルブスと合流した。
村の入口では、すでにウルブスが待っている。
魔獣はまだ現れていない。だが……リリーシャは感じた。
「これは……地鳴りか」
「ああ。奴さん、かなりの数だぜ?……どうする?」
「やるしかあるまい。いいか!! ここで魔獣を押さえるぞ!!」
リリーシャは双剣を抜き、アークナイトを召喚した。
サンバルトも光の不死鳥『シャイニング・レゾナンス』を召喚。ダオームも紫電を纏う斧『ライボルトアックス』を召喚し、構えを取る。
ウルブスは腰から二丁の拳銃を抜き、リリーシャに言う。
「姫さん。まずはオレにやらせてくれ」
「……そうだな。お前の召喚獣で数を減らせ」
「あい、あい、さー……」
ウルブスは二丁拳銃をクルクル回す。
「孤風の狼───『ウルフギャング』」
すると、ウルブスの傍に、薄緑色の狼が召喚された。
大きさは約一メートルほど。だが、一体だけではない。ウルブスを中心に、実態を持たない狼の群れが何十、何百と現れたのだ。
これが『相棒型』に分類される『軍隊型召喚獣』。同型の召喚獣を何体も召喚する、いわば召喚獣の群れを召喚する召喚士である。
そして───現れた。
村を襲いにきたのか、様々な魔獣が群れとなって襲ってきたのだ。
「行くぜ、オレの狼たち」
ウルブスが発砲すると、狼たちは走り出した。
同時に、ウルブスも走り出す。これに驚いたのはサンバルトだ。
「リリーシャ、私たちも」
「いえ、まずは奴に任せましょう。ウルブスは一匹狼だが……集団戦が得意なんです」
「え……?」
狼の一体がトカゲのような魔獣に喰らいつく。
ウルブスが拳銃を発砲し、トカゲの脳天を撃ち抜いた。
別の狼がオークの喉に喰らいつく。一体だけでは抑えきれないと感じたのか、何体もの狼がオークに喰らいつく、ウルブスはそこでトドメの銃弾を放った。
「なるほど……狼で動きを止め、銃でトドメを」
「ええ。ウルブスはあくまでトドメ……ですが、それだけではありません」
ウルブスは弾切れになり、空中に弾丸を放る。そして薬莢を一瞬で排出し、空中でリロードを終えた。
神業のような動きに、サンバルトは驚く。
そして、見た───狼の一匹が、銃に吸い込まれたのを。
「『狼の咆哮』……!」
ウルブスの銃から狼のようなエネルギー弾が発射された。
エネルギー弾は魔獣を貫通し、後ろにいた魔獣にも貫通する。
「今のは……」
「あれが『ウルフギャング』の能力。『エネルギーブラスト』です。あの狼はエネルギーの塊で、ウルブスの銃に宿り発射されることで高威力の弾丸になります」
「すごい……というかリリーシャ、詳しいね」
「ええ。軽薄な女たらしというところを除けば、奴は優秀なA級召喚士ですから」
「……うむ」
なぜか耳が痛いサンバルトだった。
すると、ウルブスが叫ぶ。
「お嬢さんおぼっちゃん!! 観客気分もいいけど手ぇ貸してくんない!? 姫、観戦料は朝までコースのデート一回ってところで!!」
「朝までだと!? 貴様、ふざけるな!! 行くぞ『シャイニング・レゾナンス』!!」
「オレも負けねぇぞぉぉぉぉっ!!」
サンバルトとダオームが加わり、戦局は大いに傾いた。
リリーシャは、チラリと村の外れを見た。
「……オズワルド先生、あとはよろしく」
そう呟き、刀を振って参戦した。
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