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第九章
決戦前/S級たちの想い
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決戦前夜。
戦いに参加する全ての召喚師たちは、アースガルズ王国に集結した。
魔獣側には、すでにベルゼブブが待機している。
残り数時間。朝日が昇ると同時に、全ての魔獣に仕込んだ『蟲』を解除。本能の赴くままに暴れさせ、アースガルズ王国を壊滅に持ち込む。
もちろん、召喚士の妨害も予定内だ。
ベルゼブブは、アースガルズ王国の遥か後方にある小高い丘にいた。
そして、小さな魔方陣を手から出現させ、それを地面に向ける。
地面から、装飾の施された立派な椅子が出現した。
すぐそばで見ていたアポカリプスは、椅子の前に跪く。そして、ベルゼブブも跪いた。
そして───空間に亀裂が入り、純白の魔帝ニュクス・アースガルズが現れた。
「準備、どう?」
「全て完了です。朝日が昇ると同時に『蟲』を解除。アースガルズ王国を蹂躙します」
「ん、そっか。じゃあ……二人も暴れていいよ」
ニュクスは椅子に座り、背もたれに寄り掛かった。
ベルゼブブは驚き立ち上がる。
「で、ですが! 主の身に危険が」
「あたしが負けると思う? もう身体は完璧。ここにいる全ての召喚獣があたしに向かってきても、傷一つ付けられない。それに……この子たちもいるしね」
ニュクスが左手で指を鳴らすと、巨大な黒狼ファフニールと怪鳥フレースヴェルグが出現した。
二匹は唸り声をあげると、魔獣たちの元へ向かう。
「久しぶりに見たいなぁ。ベルゼブブの戦い♪」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!」
ベルゼブブは奇声を上げると、身体がぐじゅぐじゅと音を立てる。
あまりの歓喜に、人間態が崩れていた。
アポカリプスは、跪いたままだ。
「アポカリプス、きみも」
「主の望むままに」
「ん……ちょーっと大人しくさせすぎたかも。影うっすぅ……」
もう少し自我を持たせればよかった。ニュクスはアポカリプスを見ながら苦笑する。
そして、左目が『第三の瞳』となり、遥か先を見据えた。
「アルフェン。見えてるんでしょ……? ここまで来なよ。相手してあげる♪」
◇◇◇◇◇◇
S級たちは、アースガルズ王国の外壁にいた。
外壁に備え付けられた見張り塔の屋上に、全員がそろっている。
全員、S級召喚士の黒い制服を着て、魔獣たちのいる最前線を見ていた。
もちろん、メルもいる。
「おい、お前……ここにいていいのか?」
ウィルが言うと、メルがニヤリと笑う。
「トリスメギストスなら来ないわ。あの子、いい歳してあたしにビビってる小物だしね。二十一の英雄の中で『撤退』担当だし、最前線に来る度胸なんてないわ。それに、ちょっと脅したから」
「お、脅し?」
「聞きたい?」
「……遠慮します」
思わず聞き返したフェニアに、メルは笑ってみた。
すると、サフィーが言う。
「これが、最後の戦い……ですよね」
「ええ。『表舞台』では最後の戦い」
「表舞台?」
「そ、強大な敵って意味ではね。まぁ、気にしなくていいわ。政治的な敵とか、あなたたちには背負わせる気ないから」
「……はい」
「サフィー。あなたは、あなたの戦いをしなさい」
「……はい!」
メルは、にっこり笑ってサフィーの肩を叩く。
すると、レイヴィニアとニスロクがみんなの前に出た。
「みんな、聞いてほしい」
「ぼくたち……今まで役立たずだったけど、本気で戦うぅ~」
二人は、いつになく真剣だった。
レイヴィニアは、嬉しそうに笑う。
「にしし。うち、みんなに会えて本当に幸せだぞ! おいしいものいっぱい食べたし、みんなすっごく優しかった!」
「ぼくも、いっぱいお昼寝できたぁ~……えへへ」
「やめろ」
「「……え?」」
「縁起でもねぇこと言うなボケ。ったく……」
ウィルが二人の話を遮る。
全員が、心配そうに二人を見ていた。
レイヴィニアは、決意したように言う。
「うちとニスロク。全力で戦うぞ」
「うん……!」
「アベルやヒュブリス、フロレンティア姉やベルゼブブ、オウガには『役立たず』って言われてた。でも……今は、みんなと一緒に戦いたい!」
「ぼくもぉ~!」
決意は固かった。
そんなレイヴィニアを、アネルは抱きしめる。
「ありがとう。レイヴィニア」
「アネル……」
「みんなと一緒。みんなと一緒に戦おう」
「うん!」
「ニスロク、あなたも」
「みんないっしょなら怖くないぃ~!」
ニスロクは両手をバタバタさせていた。
少し、緊張がほぐれた気がする。
そして、アルフェンは……遥か前方を見ていた。
「…………」
「アルフェン?」
「いる……ニュクス・アースガルズ」
「えっ」
アルフェンの右目が、赤と黄金に変わっていた。
そして、見た。全く同じ目が、こちらを見ているのを。
アルフェンは、右手を強く握りしめる。
そして───朝日が、昇り始めた。
魔獣たちが、少しずつ動きだす。
アースガルズ王国全部隊に命令が下される。
召喚獣が、召喚されていく。
ついに、戦いが始まった。
この世界を賭けた、魔帝と人間の戦いが。
アルフェンは、右腕を突き出して叫ぶ。
「奪え───『ジャガーノート』」
人と召喚獣の、世界を賭けた戦いが始まった。
戦いに参加する全ての召喚師たちは、アースガルズ王国に集結した。
魔獣側には、すでにベルゼブブが待機している。
残り数時間。朝日が昇ると同時に、全ての魔獣に仕込んだ『蟲』を解除。本能の赴くままに暴れさせ、アースガルズ王国を壊滅に持ち込む。
もちろん、召喚士の妨害も予定内だ。
ベルゼブブは、アースガルズ王国の遥か後方にある小高い丘にいた。
そして、小さな魔方陣を手から出現させ、それを地面に向ける。
地面から、装飾の施された立派な椅子が出現した。
すぐそばで見ていたアポカリプスは、椅子の前に跪く。そして、ベルゼブブも跪いた。
そして───空間に亀裂が入り、純白の魔帝ニュクス・アースガルズが現れた。
「準備、どう?」
「全て完了です。朝日が昇ると同時に『蟲』を解除。アースガルズ王国を蹂躙します」
「ん、そっか。じゃあ……二人も暴れていいよ」
ニュクスは椅子に座り、背もたれに寄り掛かった。
ベルゼブブは驚き立ち上がる。
「で、ですが! 主の身に危険が」
「あたしが負けると思う? もう身体は完璧。ここにいる全ての召喚獣があたしに向かってきても、傷一つ付けられない。それに……この子たちもいるしね」
ニュクスが左手で指を鳴らすと、巨大な黒狼ファフニールと怪鳥フレースヴェルグが出現した。
二匹は唸り声をあげると、魔獣たちの元へ向かう。
「久しぶりに見たいなぁ。ベルゼブブの戦い♪」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!」
ベルゼブブは奇声を上げると、身体がぐじゅぐじゅと音を立てる。
あまりの歓喜に、人間態が崩れていた。
アポカリプスは、跪いたままだ。
「アポカリプス、きみも」
「主の望むままに」
「ん……ちょーっと大人しくさせすぎたかも。影うっすぅ……」
もう少し自我を持たせればよかった。ニュクスはアポカリプスを見ながら苦笑する。
そして、左目が『第三の瞳』となり、遥か先を見据えた。
「アルフェン。見えてるんでしょ……? ここまで来なよ。相手してあげる♪」
◇◇◇◇◇◇
S級たちは、アースガルズ王国の外壁にいた。
外壁に備え付けられた見張り塔の屋上に、全員がそろっている。
全員、S級召喚士の黒い制服を着て、魔獣たちのいる最前線を見ていた。
もちろん、メルもいる。
「おい、お前……ここにいていいのか?」
ウィルが言うと、メルがニヤリと笑う。
「トリスメギストスなら来ないわ。あの子、いい歳してあたしにビビってる小物だしね。二十一の英雄の中で『撤退』担当だし、最前線に来る度胸なんてないわ。それに、ちょっと脅したから」
「お、脅し?」
「聞きたい?」
「……遠慮します」
思わず聞き返したフェニアに、メルは笑ってみた。
すると、サフィーが言う。
「これが、最後の戦い……ですよね」
「ええ。『表舞台』では最後の戦い」
「表舞台?」
「そ、強大な敵って意味ではね。まぁ、気にしなくていいわ。政治的な敵とか、あなたたちには背負わせる気ないから」
「……はい」
「サフィー。あなたは、あなたの戦いをしなさい」
「……はい!」
メルは、にっこり笑ってサフィーの肩を叩く。
すると、レイヴィニアとニスロクがみんなの前に出た。
「みんな、聞いてほしい」
「ぼくたち……今まで役立たずだったけど、本気で戦うぅ~」
二人は、いつになく真剣だった。
レイヴィニアは、嬉しそうに笑う。
「にしし。うち、みんなに会えて本当に幸せだぞ! おいしいものいっぱい食べたし、みんなすっごく優しかった!」
「ぼくも、いっぱいお昼寝できたぁ~……えへへ」
「やめろ」
「「……え?」」
「縁起でもねぇこと言うなボケ。ったく……」
ウィルが二人の話を遮る。
全員が、心配そうに二人を見ていた。
レイヴィニアは、決意したように言う。
「うちとニスロク。全力で戦うぞ」
「うん……!」
「アベルやヒュブリス、フロレンティア姉やベルゼブブ、オウガには『役立たず』って言われてた。でも……今は、みんなと一緒に戦いたい!」
「ぼくもぉ~!」
決意は固かった。
そんなレイヴィニアを、アネルは抱きしめる。
「ありがとう。レイヴィニア」
「アネル……」
「みんなと一緒。みんなと一緒に戦おう」
「うん!」
「ニスロク、あなたも」
「みんないっしょなら怖くないぃ~!」
ニスロクは両手をバタバタさせていた。
少し、緊張がほぐれた気がする。
そして、アルフェンは……遥か前方を見ていた。
「…………」
「アルフェン?」
「いる……ニュクス・アースガルズ」
「えっ」
アルフェンの右目が、赤と黄金に変わっていた。
そして、見た。全く同じ目が、こちらを見ているのを。
アルフェンは、右手を強く握りしめる。
そして───朝日が、昇り始めた。
魔獣たちが、少しずつ動きだす。
アースガルズ王国全部隊に命令が下される。
召喚獣が、召喚されていく。
ついに、戦いが始まった。
この世界を賭けた、魔帝と人間の戦いが。
アルフェンは、右腕を突き出して叫ぶ。
「奪え───『ジャガーノート』」
人と召喚獣の、世界を賭けた戦いが始まった。
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