のぞまぬ転生 暴国のパンドラ

夏カボチャ

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冒険者ギルド・・・2

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 盗賊団が壊滅する。それは村人からすれば、喜ばしい事だろう。

 しかし、私からすれば、面倒を自分から、背負い込んだ事にしかならない。

 他人から見たら、お人好しの考え無しと鼻で笑われるだろう、しかし、助けたくなったのだから仕方ない。

 一つ気になるのは、村に派遣されていた冒険者だ。
 同然だが、冒険者ギルドに真実が知られれば、只ではすまないだろう、そう考えたら、相手は次にどう出るか、幾つかの考えが頭を巡る。

 可能性で一番低いのは、自分から冒険者ギルドに名乗り出て、罪を自白するといった行為だ。 これはまず無いだろう。

 一番有りそうなのは、口封じの為に仲間を連れて、村を襲う方法だ。
 盗賊団を壊滅させたが、既に村は燃やされた後だった。そんなシナリオが出来上がる事だろう。

「ガスト、村人達に直ぐに移動するように伝えて、次が来るわよ」

「分かりました。今すぐに伝えて来ます」

 私の言葉にガストは頷くと、直ぐに村人達に大声で、逃げるように訴え始める。

 村を捨てて、逃げてさえくれれば、後は冒険者を捕らえて、なんとでもなるだろう。私の中でそう思いながら次の計画を思考する。

 そして、先ずは、私達が身を隠す。そうしなければ、相手も出てこないだろう。
 冒険者とはズル賢いやつも多い。

 私達の存在を危険視して、出てこなければ、わざわざ相手を捕まえに出向かねばならない、それは面倒でしかない。

 村の外で待機していたホーネットと、ラクネの二人と合流してから、私達は村を後にする。

 村を出る際、ホーネットに超小型の使役済み昆虫モンスターを数匹、見張りとして村に残すように伝える。
 もしもの為の保険だ。私達と入れ違いになれば、村人達はひとたまりもないからだ。

 しかし、予想外の出来事は、正しく起こるものだ。
 村を離れて、三十分もせずに、ホーネットが私に声をかける。

「ご主人様? ジュネル村のが騒がしいんだよねぇ~なんか、ヤバそうな感じかなぁ?」

 悪戯にそう口にするホーネット。私は直ぐにホーネットの使役してる昆虫モンスターと念話を繋ぎ、聞いている会話を直接、耳にする。

 それは村人に逃げるように説得するガストと村人達の会話であった。
 ガストは盗賊団がやられたら、次は裏切り者の冒険者達が村を襲う為、逃げて欲しいと、懇願するように必死に声を出している。

「なんて事だ、村を捨てて、どうやって生きろってんだ」

「こんな事なら、奴らに金を渡してる方が良かったんだ」

「そうだ、お前が変な奴らを呼び込んだからだ!」

「そ、そうだ。アイツらはもう居ないんだ。後は冒険者達に金を渡して、村はなんも知らないと話そう」

「バカ言うな、そんな言う分、信じる訳ねぇ、冒険者ってのは、言葉より事実を信じるんだ……」

「なら、裏切り者を差し出せば……村は救われるんじゃねぇか……」

 その言葉に、ガストへと視線がいっせいに向けられる。

「な、なにを言ってるんだ! 生きる為に逃げてくれ! 僕達は家畜じゃないんだ、誰かに飼われて生きるなんてゴメンだ!」

 しかし、会話が沈黙へと変わる。ガストが覚悟したように、溜め息を吐く。

「僕は、マリアと村を出る……冒険者達に、裏切り者は、逃亡したと言えばいいさ、僕を標的にして、本当に村が助かるならそれもいいさ」

 その言葉に、村人達が口を開く。

「マリアか……めでたい奴だな、盗賊達と数日村を離れてた奴は幸せだな……」

 服を力強く掴みかかる音、同時にガストの慌てたような声が響く。

「どう言う意味だ! 答えろ!」

「離しやがれ! 村で人質になってたガキも、女も、みんな奴隷商が連れていった……お前の娘もな」

 人が地面に膝をつく、鈍い音と、涙を流す絶望にみちた声、その後、駆け出していく慌てた足音の後に聞こえる叫び声。

 聞くに耐えないな……虫唾が走るよ、本当にさ……

「なんでだ、なんでだァァァッ! なんで止めなかった!」

「止められる訳ないだろうが……相手は奴隷商と護衛の冒険者達なんだぞ……無理言うな……」

「お前の娘も、人質にいただろッ! 自分の娘が売り飛ばされる瞬間を見てやがったのか!」

「黙れ! てめぇみたいにな! 娘が、娘がッてな、言ってらんねぇんだよ! 自分の命が大切で何が悪いッ!」

 突き飛ばされる音と、地面に人がぶつかる音、悔し涙と掠れた声、そこで念話を終了しようと考える私。

 次の瞬間、ガストの叫び声にならない声が念話越しに耳に響く。

「カハッ、な……!」

「悪いなガスト、お前を生きて村から出す訳にはいかねぇんだよ」

 私は、ホーネットに虫を引き上げさせる。

 念話が終了する。

「みんな、戻るわよ……ゴミ掃除しないと……すごくイライラするの」

「御意」「御心のままに」「うむ……」「了解です」「ラジャーだよ」

 私と共に五人の強者が動き出す。目的はゴミ掃除だ。塵一つ残さない、残す気もない。

 全員をダンジョンコアに一度戻すと、日暮れの道に出来た影を使い、即座に移動する。

 誰よりも何よりも早く、苛立ちが真っ黒な影になったようにする感じる。

 ジュネル村には、数分で辿り着くことになり、余りに無慈悲な光景に、拳を握り締める。

 村の入口に転がるガスト、凄まじい出血に腹を刺されているのだろう傷が生々しく、その悲惨さを物語る。

「オマエ等ァァァッ!」

 私の声に、体を震わす村人達、しかし、それも一瞬だった。私が一人だと見るやいなや、村の男達が、ニヤつきながら近くに集まり出す。

「これは、ついてるな……若い女が居なくてな、ガキだがかまわねぇ、どうせ、捕まえてから冒険者共に渡すんだからよ」

「そうだな、それなら、久々に、悪く思うなよ!」

 ジリジリと距離を詰める村人達。

「本当に……ゴミだわ、召喚、命令よ。骨すら残さないで喰らいなさい……イライラし過ぎたから、今すぐよ」

 次の瞬間、ダンジョンコアが輝きを放ち、一瞬でジュネル村の中がゴブリン、ウルフ、キラーエイプ、スライムといったモンスターの群れが埋めつくしていく。

 クイーン、ラクネ、ホーネットが私の前で膝をつき、ジャバとキングが私の両横に立ち、私の背後には巨大化したガマ爺が堂々とその姿を露にする。

「全員、行って!」

 その一言で、全てが終わりを迎える事になる。

 そして、私は目の前に転がるガストに問い掛ける。

「まだ生きてるのね? このまま、死ぬ?」

「じねない、マ、リァを……ガハッ……マリ……ァ」 

「人を捨てても、生きたいの?」

 ガストは、小さく頷く、それが最後の力なのだろうと、私は悟るとガストの肉体から魂を別の器に移す。

 錬金術を発動し、生き人形を作製する。

「アナタの肉体は限界なの、でも、アナタの心は引き継いであげるわ。アナタは今から私達の仲間よ」

 私が用意した器は、試練の神殿で"無限収納"に閉まっていたオークジェネラルの全身鎧だ。

 立派な鎧には巨大な盾と専用の戦鎚せんついがセットになっており、ミスリルを使用されている。

「ガスト、優しさは、捨てなさい……サービスよ」

 下位スキルを渡して、スキルトレードで、恐怖耐性MAXを無理矢理渡す。

「人間を捨てたなら、全てを受け入れなさい……無駄な感情は、色々と疲れるから、なれなさい」

 ガスト、流せない涙を拭うように兜を手で、拭うと私に膝をつく。

「パンドラ様に忠誠を、感謝致します」

 胸糞悪い、幕切れだわ……始まったばかりでこんなに不快な展開になるなんて、冒険者ギルドか……イライラするわね。


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