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第21話 白銀の姫
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屋敷に戻った私は、初めてのメイドの仕事と久しぶりに子どものように大泣きしたことで、すっかり疲れ切っていて、ベッドに入るとすぐに、ぐっすりと眠りに落ちた。
そして、その晩、なんだかとても不思議な夢を見た。
夢の中で、私はランドルフ家の屋敷の庭に立っていた。
目の前には、真っ白な綺麗な女の人がいる。
真っ白な女性…… 正確には、白銀に輝いてる。
ストレートの長い髪は細く繊細そうで、淡い白銀に輝き、白いシンプルなドレスを着ている。
なめらかな肌は色白で、私を見つめる瞳は薄いグレー色。
小さな唇はほのかにさくら色で、額に小さなダイヤモンドの飾りをしている。
めちゃくちゃ綺麗な女性!!
子どもの頃に読んだ絵本に出てくる雪の女王や天使さまみたい。
昔、パパと見た古いファンタジー映画に出てきたお姫様に似ている、と思った。
「ようやく貴女に会えました」
あれ?なんだか私のこと知ってる口ぶり?
「あなたは、誰ですか?」
夢だと思うと、いつもの私より大胆に質問もできた。
いつもなら、こんな綺麗な人を前にしたら、緊張と眩しすぎて、口をきくなんて無理なんだけど。 物陰に隠れて、もしくは遠くから自分が景色と同化して、ひっそり拝みたい。
いまの私は、大胆にいける。
「私はかつて、“白銀の姫”と呼ばれていました」
「白銀の姫……」 彼女にぴったりの呼び名だ。
「このような形でしか、まだ会えなくてごめんなさい。いつもはこの屋敷の主がいるから、貴女に近づけないでいたけれど、今夜は留守のようなので、こうして思念を送らせてもらいました。でも、屋敷の中では誰かに感づかれてしまうと困るので、貴女にここまで来てもらいました」
白銀の姫は声も綺麗で、威厳があるふうにも聞こえる。
思念、ということは、今、目の前にいるのは、実体のないってこと? 全体的に薄く儚く見えるのは、そういうこともあるのかな。
「じゃあ、いま白銀の姫は、遠くにいるのでしょうか?」
「ええ。ここより遠い北の地に」
「北の地?」
「貴女とは、ゆっくりと話したいことが山のようにあるのだけれど、あまり長くこうしているわけにもいきません。あやつらに見つかっては、大変です」
「あやつらって?」
「今はまだ……」
初めて聞くことばかりだ。
白銀の姫はなおも話を続ける。
「私は、貴女を守るもの。力を貸すもの……とでも言っておきましょう」
「守る?力を、貸す?」
なんか中二病のような夢になってきた……。
「右手をだして」
そう言われて、私はなんの疑いもなく、右手を差し出した。
「こう、ですか?」
なんとなく右手の甲を上にして出す。
白銀の姫は、自分の左手を彼女の顔の高さまであげる。
すると、握りしめた掌が白く輝き、そこから金の粉がさらさらと、一筋の砂のようにこぼれ落ちた。
溢れた一筋の金の砂は、積もるようにして、何かの小動物の足元から形作っていく。
みるみると、魔法のように姿を現したのは、真っ白なリスだった。
えっ!?白いリス!?
SNSとかで見たことあったけれど、実際に見るのは初めて。
目が赤くてウサギみたいで、可愛い!
手と口には木の実ではなく、金の細いブレスレットを持っている。
白いリスは、私の差し出した右手にぴょんと飛び乗り、手首を2,3回くるくると回った。
回ったあと、リスは白銀の姫の足元に戻ると、姿を消した。 すばしっこいリスが姿を現して消えるまで、あっという間だった。 まるで手品を見てるみたい。
けれどリスが消えたあと、私の右手には、リスが持っていた金の細い鎖のブレスレットが巻かれている。
きらきらと金色に輝いているブレスレットには、小さなダイヤモンドが一つ付いていた。
あ、白銀の姫の額飾りに似ている?
「その鎖は、あなたを守る弓となり盾となるでしょう。あなたが真に必要とするならば、あなたを支え助けになることでしょう」
これは、中二病の夢だ……
私がブレスレットに触れようとしたとき、それはスーッと右手首の中に染み込むように消えていった。
ええっ!?身体の中に入っていった!?
驚いたけれど、別に痛くも違和感に感じることもなかった。
「あの、消えちゃいましたけど。使いたいときは、どうやって使えば?」
「困ったときは、私の名を心の中で強く呼んで。そうすれば、あなたの宝石が力を貸すでしょう。力は弓に、守りは盾に。あなたならきっと使えるはずです」
「え?そんな……」
ちょっと、ざっくりすぎませんか?
そう思ったけど、何からどう聞けばよいのか分からない。 そうしているうちに、白銀の姫が言った。
「そろそろ限界です。私の力も使いすぎてしまいました。それに、これ以上はあなたにも危険が及びます」
ふと、白銀の姫は、心配そうな顔をした。
「どうか、われらの若き王をともに守り、この世界を助けてもらえないだろうか」
そういう彼女の顔は不安げで、その姿はだんだんと薄れていく。
「待って、どうして私なの!?」
「ミツキ、あなただから……」
「あなただからって……わかんないですよっ」
私が言い切らないうちに、白銀の姫の姿は消えた。
え……ええ!? そこを聞きたいのだけど……
どうして、私だから、なの?
疑問だけが残って、なんだかモヤモヤした状態で、目が覚めた。
そこは、最近毎朝目を覚ます、天蓋付きベッドのふわふわ布団の中だった。
カーテンの隙間から、明るい朝日が差し込んでいる。
もう朝になっていた。
右手首をおそるおそる触ってみる。全然何もなっていなかった。 我ながら、すごい夢だったなあ~ 20歳すぎて見る夢じゃないよね。
ほんと中二病。
聖女様の代わりになれないとか、昨夜、あんなこと言って、泣いちゃったせいかな。
どこかで自分もここにきた意味があって、それを求めるがゆえに、こんな夢を見ちゃったのかも知れないなぁ。
思わず苦笑いして、気が滅入りそうになる。
ちがうちがう!もう!
せっかくこの世界へ来たのだから、この世界のこと、大好きになって帰る。
昨夜、ルーセルにも、そう言ったじゃない。
みんなとも仲良くなるって決めたのだから! 朝からネガティブにならない、ならないっと。
私は自分にそう言い聞かせて、ぶんぶんと頭を振った。
それから、うーんっと声を出して伸びをすると、ベッドを降りた。
カーテンを開けると、気持ちの良い朝日を全身いっぱいに浴びる。
気持ちいいーっ!心機一転。 今日も異世界ライフ楽しもうっと!
何気なく視線を庭に落とすと、宿直から馬車で帰ってきたばかりで、玄関へと歩いていたレイと目が合った。
お互いが「あっ」 と口にして動きを止める。
一拍して、自分のネグリジェ姿に気づいて、慌ててピシャッとカーテンを閉めたのだった。
そして、その晩、なんだかとても不思議な夢を見た。
夢の中で、私はランドルフ家の屋敷の庭に立っていた。
目の前には、真っ白な綺麗な女の人がいる。
真っ白な女性…… 正確には、白銀に輝いてる。
ストレートの長い髪は細く繊細そうで、淡い白銀に輝き、白いシンプルなドレスを着ている。
なめらかな肌は色白で、私を見つめる瞳は薄いグレー色。
小さな唇はほのかにさくら色で、額に小さなダイヤモンドの飾りをしている。
めちゃくちゃ綺麗な女性!!
子どもの頃に読んだ絵本に出てくる雪の女王や天使さまみたい。
昔、パパと見た古いファンタジー映画に出てきたお姫様に似ている、と思った。
「ようやく貴女に会えました」
あれ?なんだか私のこと知ってる口ぶり?
「あなたは、誰ですか?」
夢だと思うと、いつもの私より大胆に質問もできた。
いつもなら、こんな綺麗な人を前にしたら、緊張と眩しすぎて、口をきくなんて無理なんだけど。 物陰に隠れて、もしくは遠くから自分が景色と同化して、ひっそり拝みたい。
いまの私は、大胆にいける。
「私はかつて、“白銀の姫”と呼ばれていました」
「白銀の姫……」 彼女にぴったりの呼び名だ。
「このような形でしか、まだ会えなくてごめんなさい。いつもはこの屋敷の主がいるから、貴女に近づけないでいたけれど、今夜は留守のようなので、こうして思念を送らせてもらいました。でも、屋敷の中では誰かに感づかれてしまうと困るので、貴女にここまで来てもらいました」
白銀の姫は声も綺麗で、威厳があるふうにも聞こえる。
思念、ということは、今、目の前にいるのは、実体のないってこと? 全体的に薄く儚く見えるのは、そういうこともあるのかな。
「じゃあ、いま白銀の姫は、遠くにいるのでしょうか?」
「ええ。ここより遠い北の地に」
「北の地?」
「貴女とは、ゆっくりと話したいことが山のようにあるのだけれど、あまり長くこうしているわけにもいきません。あやつらに見つかっては、大変です」
「あやつらって?」
「今はまだ……」
初めて聞くことばかりだ。
白銀の姫はなおも話を続ける。
「私は、貴女を守るもの。力を貸すもの……とでも言っておきましょう」
「守る?力を、貸す?」
なんか中二病のような夢になってきた……。
「右手をだして」
そう言われて、私はなんの疑いもなく、右手を差し出した。
「こう、ですか?」
なんとなく右手の甲を上にして出す。
白銀の姫は、自分の左手を彼女の顔の高さまであげる。
すると、握りしめた掌が白く輝き、そこから金の粉がさらさらと、一筋の砂のようにこぼれ落ちた。
溢れた一筋の金の砂は、積もるようにして、何かの小動物の足元から形作っていく。
みるみると、魔法のように姿を現したのは、真っ白なリスだった。
えっ!?白いリス!?
SNSとかで見たことあったけれど、実際に見るのは初めて。
目が赤くてウサギみたいで、可愛い!
手と口には木の実ではなく、金の細いブレスレットを持っている。
白いリスは、私の差し出した右手にぴょんと飛び乗り、手首を2,3回くるくると回った。
回ったあと、リスは白銀の姫の足元に戻ると、姿を消した。 すばしっこいリスが姿を現して消えるまで、あっという間だった。 まるで手品を見てるみたい。
けれどリスが消えたあと、私の右手には、リスが持っていた金の細い鎖のブレスレットが巻かれている。
きらきらと金色に輝いているブレスレットには、小さなダイヤモンドが一つ付いていた。
あ、白銀の姫の額飾りに似ている?
「その鎖は、あなたを守る弓となり盾となるでしょう。あなたが真に必要とするならば、あなたを支え助けになることでしょう」
これは、中二病の夢だ……
私がブレスレットに触れようとしたとき、それはスーッと右手首の中に染み込むように消えていった。
ええっ!?身体の中に入っていった!?
驚いたけれど、別に痛くも違和感に感じることもなかった。
「あの、消えちゃいましたけど。使いたいときは、どうやって使えば?」
「困ったときは、私の名を心の中で強く呼んで。そうすれば、あなたの宝石が力を貸すでしょう。力は弓に、守りは盾に。あなたならきっと使えるはずです」
「え?そんな……」
ちょっと、ざっくりすぎませんか?
そう思ったけど、何からどう聞けばよいのか分からない。 そうしているうちに、白銀の姫が言った。
「そろそろ限界です。私の力も使いすぎてしまいました。それに、これ以上はあなたにも危険が及びます」
ふと、白銀の姫は、心配そうな顔をした。
「どうか、われらの若き王をともに守り、この世界を助けてもらえないだろうか」
そういう彼女の顔は不安げで、その姿はだんだんと薄れていく。
「待って、どうして私なの!?」
「ミツキ、あなただから……」
「あなただからって……わかんないですよっ」
私が言い切らないうちに、白銀の姫の姿は消えた。
え……ええ!? そこを聞きたいのだけど……
どうして、私だから、なの?
疑問だけが残って、なんだかモヤモヤした状態で、目が覚めた。
そこは、最近毎朝目を覚ます、天蓋付きベッドのふわふわ布団の中だった。
カーテンの隙間から、明るい朝日が差し込んでいる。
もう朝になっていた。
右手首をおそるおそる触ってみる。全然何もなっていなかった。 我ながら、すごい夢だったなあ~ 20歳すぎて見る夢じゃないよね。
ほんと中二病。
聖女様の代わりになれないとか、昨夜、あんなこと言って、泣いちゃったせいかな。
どこかで自分もここにきた意味があって、それを求めるがゆえに、こんな夢を見ちゃったのかも知れないなぁ。
思わず苦笑いして、気が滅入りそうになる。
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昨夜、ルーセルにも、そう言ったじゃない。
みんなとも仲良くなるって決めたのだから! 朝からネガティブにならない、ならないっと。
私は自分にそう言い聞かせて、ぶんぶんと頭を振った。
それから、うーんっと声を出して伸びをすると、ベッドを降りた。
カーテンを開けると、気持ちの良い朝日を全身いっぱいに浴びる。
気持ちいいーっ!心機一転。 今日も異世界ライフ楽しもうっと!
何気なく視線を庭に落とすと、宿直から馬車で帰ってきたばかりで、玄関へと歩いていたレイと目が合った。
お互いが「あっ」 と口にして動きを止める。
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